コケ/基礎/分類/苔類
提供: 広島大学デジタル博物館
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苔類(タイ類)
世界に約68科,330属,8,000種が知られる.日本には46科,131属,約620種が生育する.
蒴柄は急速に成長し,透明,軟弱.気孔は発達しない.
苔類はゼニゴケ類とウロコゴケ類の2つに分類される.これら2つ亜綱はそれぞれいくつかの形態的特徴でまとめられている.
形 質 | ウロコゴケ亜綱 | ゼニゴケ亜綱 | |
配偶体関連 | 体 制 | 茎葉状・葉状 | 葉状 |
仮 根 | +(平滑) | +(平滑・有紋) | |
気室孔 | − | + | |
油 体 | +(全細胞) | 特定の少数の細胞 | |
造卵器 | 頸部4,5細胞列 | 頸部6細胞列 | |
胞子体関連 | 蒴 柄 | 長柄 | 短・無柄 |
蒴 壁 | 1・多層 | 1層 | |
蒴の裂開 | たてに4裂片 | 不規則 | |
胞子母細胞 | 4葉にくびれる | くびれない | |
胞 子 | 明瞭な極性なし | 明瞭な極性あり(trireteあり) |
ゼニゴケ類(ゼニゴケ亜綱)
世界に12科27属450種が知られ,日本には9科18属39種が分布する.
植物体は多細胞層からなる葉状体体制をとる.ふつう葉状体の背面に気室孔と気室が発達する(肉眼では小さな白点にみえる).
仮根は単細胞で,葉状体の腹面には複数列に規則正しく配列した鱗片(しばしば濃赤紫色に着色)と仮根が発達する.
造卵器と造精器は特別の枝(それぞれ雌器托と雄器托で,これは葉状体が特殊に変形した部分と解釈されているもの)につく.造卵器は偽花被で包まれる.
蒴壁は1層.ウキゴケ科のものは造卵器も造精器も葉状体に埋もれて形成され,蒴も無柄でゼニゴケ類にあっては特異な形態をもつ.
ウロコゴケ類(ウロコゴケ亜綱)
世界に56科309属7,500種が知られ,日本には37科113属約580種が分布する.
苔類の種の大部分がこの仲間に属する.
植物体の形態は多様で,茎と葉が分化する茎葉体体制をもつもの(コマチゴケ目とウロコゴケ目)と茎と葉が分化しない葉状体の体制をもつもの(フタマタゴケ目)とがある.
葉身細胞には油体がある.
造卵器は花被に包まれる.造卵器の頸部はコマチゴケ目では4細胞列(横断面では中心の1個の細胞の周りを4個の細胞が取り巻く),ウロコゴケ目では5細胞列(横断面では中心の1個の細胞の周りを5個の細胞が取り巻く),フタマタゴケ目では5-9細胞列からなる.蒴壁は多層.
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