解説
- ニホンマムシでは,幼蛇のときには尾の先が黄色いという特徴がある.成長するに従って色は褪せていく.
- 幼蛇や若い個体では,狩り場で尾を上にあげてとぐろを巻く姿勢がみられる.
- 老熟すると銭形紋はだんだんと不明瞭になる.
- 幼蛇でもしっかりと毒性をもつ.小さいからと手を出してはいけない.
- 変異は大きい.同定には注意を要する.
ニホンマムシ幼蛇.尾の先が黄色い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 18, 2019)
若いニホンマムシ.尾を立ててとぐろを巻く姿勢.(広島県東広島市; 撮影: 岩﨑元道, May. 7, 2022)
若いニホンマムシ.赤みの強いもの.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 27, 2019)
若いニホンマムシ.変異が大きい.(広島県東広島市; 撮影: 岩﨑元道, Jul. 15, 2021)
2頭のニホンマムシ成蛇.(広島県廿日市市; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 15, 2022)
ニホンマムシ成蛇.赤みの強いもの.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 26, 2021)
- アオダイショウの幼蛇は孵化時でも35㎝程度と,他のヘビの幼蛇と比べても大きい.
- 動いているとニホンマムシのようにも見える明瞭な模様がアオダイショウの幼蛇にはあり,毒ヘビへの擬態になっているという説がある.
- 地の体色は薄く模様がはっきりしているのが一般的.成長するにつれ体色は緑色を帯び,幼蛇の模様は消えていく.
- ニホンマムシとの識別点として,瞳孔の形が明暗で変化せず,大きさが変わっても丸いままである.
アオダイショウ幼蛇.マムシのような銭形紋ではないが遠目では判別しにくい.(広島県廿日市市; 撮影: 岩﨑元道, May. 23, 2020)
アオダイショウの幼蛇.模様はマムシへの擬態とも言われている.(広島県東広島市西条町田口; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 11, 2023)
アオダイショウ成蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Apr. 15, 2020)
- シマヘビの幼蛇は「アズキヘビ」とよばれ,成蛇と異なりしま模様はまだ目立たず,体色は赤みを帯びる.
- ある程度成長するとすぐに明瞭なしま模様があらわれるのが一般的だが,黒化個体では幼蛇のうちから全身が光沢のある黒色であることがほとんど.
シマヘビの幼蛇.アズキヘビと呼ばれる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 4, 2019)
シマヘビ黒化個体幼蛇.全身がくまなく黒い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 13, 2022)
若いシマヘビ.幼蛇の模様がまだ一部残っている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 8, 2019)
若いシマヘビ黒化個体.顔に通常のシマヘビの体色が一部みられる.(広島県広島市; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 3, 2020)
シマヘビ成蛇.(広島県竹原市; 撮影: 岩﨑元道, Jun. 13, 2021)
- ジムグリでは,幼蛇は黒いまだら模様があり体色は赤みが強い.
- 成長すると次第に模様は薄れ,体色も地味なものになる.
ジムグリ幼蛇.目を見張るような鮮やかな模様をもつ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 25, 2022)
ジムグリ幼蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 29, 2020)
若いジムグリ.(広島県廿日市市; 撮影: 岩﨑元道, May. 23, 2020)
ジムグリ成蛇.模様はもうほとんど目立たない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 14, 2022)
- ヒバカリの場合,幼蛇では体色が黒っぽいが,成熟すると赤みを帯びたり,薄い褐色となる.
- 幼蛇や若い個体では特に,後頭部から首筋などに2列の白い斑点状の模様がみられることがある.
- ほかのヘビと比べても幼蛇は殊更に小さく,ぱっと見てヘビだと思われないこともある.
ヒバカリ幼蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, May. 21, 2022)
若いヒバカリ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, May. 24, 2022)
ヒバカリ成蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Jun. 13, 2022)
- シロマダラの場合,幼蛇では白黒のコントラストが明瞭だが,成熟していくにつれて赤みを帯びたり,色がくすんだりすることがある.
シロマダラ幼蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Sep. 21, 2020)
若いシロマダラ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Apr. 11, 2022)
シロマダラ成蛇.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 16, 2019)
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