オオサンショウウオの部屋/オオサンショウウオって?

提供: 広島大学デジタル博物館
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オオサンショウウオって?

このページでは,国の特別天然物オオサンショウオがどんな生き物なのか簡単にご紹介していきます.

国の特別天然記念物です

オオサンショウウオは両生類として唯一国の特別天然記念物に指定されています.特別天然記念物は彫刻や建造物で言うところの「国宝」に相当するもので,天然記念物の中でも「世界的にまたは国家的に特に価値が特に高いもの」が特別天然記念物に指定されています.文化財であるので許可なく捕まえたりすることはできません.文化財保護法上は法隆寺を修理するのと同じ扱いになります。

生きた化石

オオサンショウウオとほぼ同じ姿をした化石が約3000万年前の地層から見つかっています.3000万円前というと人間の祖先がオナガザルと分化した時期に当たります.生物として大先輩に当たりますね.

世界でここだけ

オオサンショウウオの仲間は世界に3種生息しています.他の2種は北米(アメリカオオサンショウウオ)と中国(チュウゴクオオサンショウウオ)に生息しています.オオサンショウウオの分布は中国地方の山間部に限られており,東日本には生息していません.毎年海外から多くの研究者がオオサンショウウオを見るために東広島を訪れています.

その素顔

カエル等と同じ両生類の仲間ですが,その大きさはずば抜けて大きく全長150 cmにも達します.一生を川の中で過ごし,じっと待ち伏せして吸い込むようにえさを食べます.その生活は非常にゆったりとしており,呼吸も1時間に数度ほど.1週間に魚1匹食べれば生きていけるといわれている省エネな生き物です.

オオサンショウウオの一年

毎年9月に繁殖を行い,オスはその後巣穴で卵を守ります.10月ごろには卵がかえり,幼生はおなかについた卵黄の栄養で大きくなります.2月頃には手足も生えそろい,巣穴から旅立っていきます.

オオサンショウウオの一生

その成長は非常にゆっくりとしていて,成熟し繁殖するまで十数年かかるといわれています.飼育下では50年以上生きる事も確認されていて人と同じくらい生きるのではとも言われています.

なぞの多いその生態

何歳まで生きるのか,巣穴から旅立った幼生はどこに行っているのか等他の生き物ではわかっている事でも明らかになっていない謎がオオサンショウウオには数多く存在しています.寿命50年を超える長命な生き物なので,息の長い研究が求められます.

抱える問題

中国から持ち持ち込まれたチュウゴクオオサンショウウオが日本の河川で日本のオオサンショウウオと交配し大きな問題となっています.交配したものはハイブリッドと呼ばれ,その数は年々増え続け京都の鴨川では中国種とハイブリッドが98%にも及んでいます.外来種の持ち込みは自然界に取り返しのつかない影響を及ぼしてしまいます.

河川環境の変化により,生息地の分断,巣穴や隠れ家の消失の問題も起きています.今は生息が確認されている河川でも10年後にも同じように見られるかはわかりません.オオサンショウウオのすみやすい川づくりが求められています.