タラヨウ

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タラヨウ Ilex latifolia Thunb.

シノニム

その他

分類

種子植物門 Spermatophyta > 被子植物亜門 Angiospermae > 双子葉植物綱 Dicotyledoneae > モチノキ科 Aquifoliaceae > モチノキ属 Ilex

解説

  • 常緑の高木.樹高20 mを超すが,ふつう3-5 m.
  • 枝は粗く,灰褐色の粗い樹皮をもち,幹は比較的直立する.
  • 葉は長楕円形で互生し,大きくて革質,無毛.硬質で表面に光沢があり,葉縁に粗く鋭い鋸歯がある.葉は長さ12-17 cm,幅5-8 cm.タバコの火をつけるなど熱を加えると,黒変する(紫環反応).
  • 雌雄異株.
  • 花は淡黄緑色,小さくて目立たない.花弁は4枚.雄しべ4本,雌花にも不稔の雄しべがある.雌しべ1本,花柱は短く,子房上位.
  • 果実は球形で径8 mmほど.晩秋に熟して赤く色づく.核果で,外果皮が赤く,中果皮は液質,内果皮は硬く核果となる.核果は数個あり,内部に真の種子がある.
  • 庭木として利用されるが,寺の境内などにもよく植栽される.
  • 葉の裏に尖ったもので文字が書けることから「はがきの木」とも呼ばれ,郵便局に植えられていることがある.
  • 和名は貝多羅葉(ばいたらよう)になぞらえたものであるが,真の貝多羅葉は,昔,インドで経典をヤシ科のウチワヤシBorassus flabelliferの葉に書いたもので,タラヨウとは類縁関係はない.廿日市市の洞雲寺(とううんじ)には本物の貝多羅葉に経典を書いたものが保存されている.

花期

  • 4-5月
  • 春に淡薄黄緑色の花を葉腋につける.

ノート

廿日市郵便局(平成15年8月27日植樹)の看板より

郵便局の木「タラヨウ」
タラヨウは郵便局のシンボルツリーです.葉の裏に先の尖ったもので字を書くとその跡が黒く残るので,古代インドで手紙や文章を書くのに用いた多羅樹の葉になぞらえてその名がつけられました.一説には「はがきの木」とも言われています.

分布・産地・天然記念物

分布

  • 本州(静岡県以西),四国,九州の暖地に分布する.中国大陸中部にも分布.
  • 広島県では,島嶼部から吉備高原面にかけて,とくに岩の多い所に分布する傾向がある.

産地

天然記念物

標本

  • 大和町棲真寺(yy-10390),弥栄峡(yy-3094),広島市長者山(mt-5811),野呂山(mt-8332),安芸津町三津(hh-6883),三次市鳳源寺(hh-7667),廿日市市明石(hh-6126),宮島(ts-2244),似島(rn-10118),沼隈町横倉(sf-3481),三原市高坂町(sf-5897),本郷町女王滝(yk-6634),尾道市吉浦町(yk-6856),府中市久佐町(sf-257)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

  • タラヨオ

英名

広島県方言

  • モンツキシバ
  • ノコギリシバ

備考

  • 環境庁コード: 33390

文献(出典)


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