タワヤモリ

提供: 広島大学デジタル博物館
2017年1月24日 (火) 20:46時点におけるIkeda (トーク | 投稿記録)による版
ナビゲーションに移動検索に移動

広島大学 > デジタル自然史博物館 > メインページ > 郷土の動物 > 広島県の爬虫類 > タワヤモリ | 広島県の動物図鑑 / 和名順

タワヤモリ成体(広島県廿日市市; 撮影: 田守泰裕, Mar. 20, 2016)
タワヤモリ成体(オス)(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)
タワヤモリ成体頭部(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)
タワヤモリの雌雄の比較(背中).オス(写真左)は尾の付け根が大きく膨らみ,側肛疣が発達する.メス(写真右)は膨らみがなく側肛疣はオスほど発達しない.雌雄ともに側肛疣は1対(写真ではメスの右側の側肛疣は右後肢に隠れている).尾にはW字形の模様は出ない.(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)
タワヤモリの雌雄の比較(側面).オス(写真上)は尾の付け根が大きく膨らみ,側肛疣(そっこうゆう)(白矢印)が大きく発達する.メス(写真下)は膨らみがなく側肛疣(白矢印)が発達しない.雌雄ともに側肛疣は1対.(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)
タワヤモリの雌雄の比較(腹面).オス(写真左)は尾の付け根が大きく膨らみ,側肛疣が発達する.メス(写真右)は膨らみがなく側肛疣はオスほど発達しない.雌雄ともに側肛疣は1対で,前肛孔(ぜんこうこう)がない.(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)
ニホンヤモリ(上)とタワヤモリ(下)の比較.タワヤモリの方がやや体色が濃い.ニホンヤモリの尾にはW字型の模様が出ることが多い.(撮影: 大川博志, Jan. 20, 2015)
タワヤモリとニホンヤモリの比較(尾).タワヤモリは体色が濃く,尾の斑紋が顕著(写真左).ニホンヤモリの尾にはW字型の模様が出ることが多い(写真右).(撮影: 池田誠慈, タワヤモリはDec. 18, 2015. ニホンヤモリはJun. 15, 2015)
タワヤモリとニホンヤモリの比較(胴背面).タワヤモリが均一な鱗のみが並ぶのに対し(写真左),ニホンヤモリは大型の顆粒状鱗(かりゅうじょうりん)が交じる.クリックして拡大画像.(撮影: 池田誠慈, タワヤモリはDec. 18, 2015. ニホンヤモリはJun. 15, 2015)
タワヤモリの卵.1度に1対(2個)の卵が産みつけられる.同じ場所に続けて産み付けられることがあり,卵の殻が塚のようになることがある.(広島県呉市; 撮影: 大川博志, Jan. 20, 2015)
自切していないタワヤモリの幼体.タワヤモリは体色が濃く,尾の斑紋が顕著.(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)
日没まで岩の割れ目に潜むタワヤモリ.(広島県廿日市市; 撮影: 田守泰裕, May 18, 2016)
日没後岩場の表面に現れたタワヤモリの成体(メス).(広島県廿日市市; 撮影: 田守泰裕, May 18, 2016)
日没後,岩場の表面に現れたタワヤモリの成体.(メス).(広島県廿日市市; 撮影: 田守泰裕, May 18, 2016)
岩の割れ目で越冬中のタワヤモリ成体.(広島県廿日市市; 撮影: 田守泰裕, Mar. 20, 2016)
タワヤモリのふん.白い部分は尿酸の結晶.(広島県廿日市市; 撮影: 田守泰裕, May 18, 2016)

タワヤモリ Gekko tawaensis

分類

動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 爬虫綱 Reptilia > 有鱗目 Squamata > トカゲ亜目 Lacertilia > ヤモリ科 Gekkonidae > ヤモリ属 Gekko > タワヤモリ Gekko tawaensis

解説

  • 近畿・中国・四国・九州の瀬戸内海沿岸部と島嶼部,四国の太平洋側に分布する日本固有種.
  • 広島県では,島嶼部や沿岸部の低山地にわずかに生息している.
  • 島嶼部ではウバメガシトベラ,沿岸部ではアカマツが生えるような乾燥した岩場を好む.
  • 肢の指の裏には微細な毛が密集した指下板(しかばん)があり,ファンデルワールス力(van der Waals forces)により垂直な壁面などに吸着することができる.
  • 本種は尾の付け根の両側に側肛疣(そっこうゆう)という,いぼ状構造の大型鱗を1対もつ.オスのものはメスより大きい.
  • 類似種のニホンヤモリは総排泄腔の上に分泌物を出す腺孔(前肛孔(ぜんこうこう))をもつが,本種は前肛孔をもたない.
  • ニホンヤモリとの識別点は,本種の胴背面には大型の顆粒状鱗(かりゅうじょうりん)がないこと,側肛疣が1対であること,前肛孔をもたないこと,尾の付け根の斑紋がW字型でないことなどである.
  • 和名並びに学名の由来は,現在の香川県さぬき市多和(たわ)で発見されたことによる.
  • 咬まれると「一日に七分(約2cm)」ずつ腐るという言い伝えから,七分蛇(ひちぶじゃ,またはひちびしゃ)と呼ばれるが,無毒.広島県北部の一部では,小型サンショウウオを「ひちぶしょう」と呼んでいるが,どちらも人里離れた所に生息する得体の知れない生き物ということから,毒を持っているのではないかと疑われたようだ.

天然記念物・RDB

  • 環境省RDBカテゴリ:準絶滅危惧 (NT)
  • 広島県RDBカテゴリ(2011):絶滅危惧II類 (VU)
  • 「広島市の生物」(広島版レッドデータブック):広島市の絶滅のおそれのあるもの・軽度懸念

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

  • なし

英名

  • Tawa gecko

広島県方言

  • ひちぶ,ひちぶしゃ,ひちびしゃ(広島県島嶼部)
  • とびはみ(四国)

備考

文献(引用)

更新履歴

  • 2015.11.26 ページ作成.
  • 2015.12.29 解説追加.

広島大学 > デジタル自然史博物館 > メインページ > 郷土の動物 > 広島県の爬虫類 > タワヤモリ | 広島県の動物図鑑 / 和名順 にもどる