ハマゴウ

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ハマゴウ Vitex rotundifolia L.fil.

シノニム

その他

  • Vitex rotundifolia Linn.fil.(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997で採用.)

分類

種子植物門 Spermatophyta > 被子植物亜門 Angiospermae > 双子葉植物綱 Dicotyledoneae > クマツヅラ科 Verbenaceae > ハマゴウ属 Vitex

解説

  • 暖地の日当たりの良い砂浜などの砂礫地に生育する小低木.
  • 茎は這い,高さ約10-30 cm程度.
  • 葉は対生につき,やや肉厚で柔らかく,長さ3-4 cm程度の楕円形-広卵形.葉の表面はやや白みを帯びた緑色で,裏面は灰白色の短毛が密生する.
  • 一般的に常緑と記述されるが,広島県では落葉するのが一般的.
  • 花は唇花で円錐花序.花弁は青紫色で,中程に白色の部分がある.精油分を含み,花を含めた植物体全体に芳香がある.
  • 果実は球形で,直径5 mm程度,秋に黒く成熟する.
  • 果実は蔓荊子(マンケイシ),茎葉は蔓荊葉(まんけいよう)と呼ばれる生薬.
  • 漢方では滋養強壮,鎮痛,鎮静,解熱,消炎作用をもつとされる.浴湯料として用いられる場合もある.
  • 和名の由来は,植物体全体に芳香があるため.枕元に置くと安眠できるなど,古くから香として用いられていたことから「浜香」と呼ばれ,これが転じたとされる.また,「浜未浜比(はまはひ)」「浜這」が転訛したともされる.
  • 属名Vitexは,カゴを編んだことから,結ぶという意味のvieoに由来.種小名のrotundifoliaは円形の葉の意味.
  • ハマゴウは海岸の砂礫地に根を張り,幹枝をはるため,暴風時に海岸の砂浜の流出を防ぐ役割もある.近年,海岸の開発の影響で,ハマゴウの群落が激減している.
  • 琉球列島以南には,三出複葉で,幹が立ち上がり,花がやや小降りのものがあり,ミツバハマゴウと呼ばれる.

花期

  • 花期は7-9月.
  • 宮島では8月上旬が一般的.

分布・産地・天然記念物

分布

  • 東北地方南部以南の本州から四国,九州,沖縄まで自生し,東アジアから東南アジア,オーストラリアまで広く分布する.
  • 砂礫地の海岸に自生する海浜植物の一種であるが,淡水の琵琶湖にも生育する.

産地

天然記念物

標本

  • 宮島(rn-6490),広島市金輪島(mt-6982),倉橋島(mt-9200),川尻町海岸(mt-12207),上蒲刈島(ss-8903),安浦町柏島(yy-4298),内海町横島(sf-2777),尾道市満越(sf-2835),福山市走島(yy-12936)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

  • ハマゴオ

英名

広島県方言

備考

  • 環境庁コード: 47960

文献(出典)

  • 関ほか(1975),橋本ほか(1980),土井(1983),江塚・松本(1985),広島市教育委員会(1988),広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)

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