広島県の主要遺跡/帝釈観音堂洞窟遺跡

提供: 広島大学デジタル博物館
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帝釈観音堂洞窟遺跡(神石郡神石町)

帝釈観音堂洞窟遺跡は下帝釈地域の中心的な遺跡のひとつです。現在は発掘調査が中断されていますが、1964年から30回に及ぶ発掘調査が行われ、縄文時代を中心に、旧石器時代、弥生時代、中・近世の遺構・遺物が発見されています。

縄文時代の遺構・遺物は第3層~第22層を中心に発見されており、縄文時代の初頭から人々が生活していたことがわかりました。厚さ4mに及ぶ堆積層の中には縄文時代の遺構や遺物が下層から上層に向かって順序良く包含されていました。とくに、縄文時代後期と前期以前の文化層は厚く、良好な縄文土器の編年資料を提供しました。また、骨針、貝輪、貝小玉など豊富な骨角製品や貝製品が出土しています。貝製品の一部は海産の貝を利用しており、この地域では産出しないサヌカイトの原材がまとまって出土するなど沿岸地域の人々との交易の様子もうかがうことができます。

出土遺物には、狩猟用具である石鏃のほかに、植物加工具である敲石(たたきいし)などや網のおもりである石錘(せきすい)などが出土しており、狩猟、漁労、植物採取など複合的な生業が営まれたことがわかります。また、埋葬跡(墓)も認められ、拠点的な集落であったことがうかがえます。