広島県の植物相と植生

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広島県の植物相と植生(広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会 1997

はじめに

 植物相flora)とは,ある一定の地域に自生している植物の全種類を意味し,それを記述したものを植物誌Flola)という.フロラとは,もともと,ラテン語で花の意味であるが,英語では,小文字で始まる場合は植物相を,大文字で始まる場合は印刷されたもの,すなわち植物誌を意味する(Stace 1980).植物誌は,その地域の自然を知る基礎資料となり,また,農林・水産業の発展など応用面でも重要なものである.一方,植生vegetation)とは,ある地域に生育している植物の集団を指す概念である.その地域の植物の全体像を把握するには,植物相植生の研究は車の両輪のように必須の条件である.学問の分野で見るならば,植物相の研究はspecies)の識別を基礎においた分類学の領域であり,植生の研究は植物と環境の相互作用を研究する生態学に属する.

 植物相の調査において,対象となる「ある一定の地域」とは,島や山などのように自然的にまとまった地域の場合もあるし,市町村から国に及ぶ行政区域の場合もある.本書は広島県を対象としているので,行政区域の場合である.日本の都道府県は,藩政時代の国を基礎としているが,その多くは分水嶺や河川・海岸線などによって区切られた自然地理区に基づいている.広島県も安芸国と備後国で,北は中国山脈,南は瀬戸内海,西は冠山山群と小瀬川によって区切られた領域である.愛媛県との境界が芸予諸島を人為的に分割し,また岡山県との境界も自然地理的とはいい難いが,広島県は概ね自然的なまとまりをもった地域といっても差し支えないであろう.

  1. 黎明期
  2. 明治・大正より昭和前期(1868~1945年)
  3. 戦後(1945年)~現代

本章の引用文献


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