「弥山原始林の植物と植生」の版間の差分

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宮島のシンボルであるモミジ(モミジは広島県の県木,県花である)は[[イロハモミジ]]や[[オオモミジ]]であるが,それらは本来宮島に自生しない植物で,植栽されたものである.紅葉谷公園のモミジには,その他[[トウカエデ]]のような外国のカエデも植栽されている.[[ウリハダカエデ]]は比較的寒い地域に分布するが,宮島に自生している.
宮島のシンボルであるモミジ(モミジは広島県の県木、県花である)は[[イロハモミジ]]や[[オオモミジ]]であるが、それらは本来宮島に自生しない植物で、植栽されたものである。紅葉谷公園のモミジには、その他[[トウカエデ]]のような外国のカエデも植栽されている。[[ウリハダカエデ]]は比較的寒い地域に生息するが、宮島に自生している。
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弥山原始林は弥山(529.8 m)の北斜面一帯の森林を指しており,宮島では最も自然の保たれてきた所である.弥山原始林の植生は大まかに3つの帯に分けられる.(山麓部の緩斜面,海抜300 mより低い山地,300 m以上の山地).
弥山原始林は弥山(529.8m)の北斜面一帯の森林を指しており、宮島では最も自然の保たれてきた所である。弥山原始林の植生は大まかに3つの帯'二分けられる。(山麓部の緩斜面、海抜300 mより低い山地,300m以上の山地)。
 
  
 
== 1. 山麓部 ==
 
== 1. 山麓部 ==
宮島では、山麓部の緩斜面にはクスノキ・クマノミズキ群落が大元公園や紅葉谷公園   付近ではモミ-ミミズパイ群落が見られる。
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宮島では,山麓部の緩斜面にはクスノキ・クマノミズキ群落が,大元公園や紅葉谷公園付近ではモミ-ミミズバイ群落が見られる.
   モミ、クスノキ、カヤ、ミミズパイ、カンザブロウノキ、シキミ、アセビ、イヌガシ、シロ ダモ、タイミンタチバナ、ホウロクイチゴ、ハスノハカズラ、イズセンリョウ、ヒメイタビ、キ ッコウハグマ
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   モミ、クスノキ、カヤ、ミミズパイ、カンザブロウノキ、シキミ、アセビ、イヌガシ、シロダモ、タイミンタチバナ、ホウロクイチゴ、ハスノハカズラ、イズセンリョウ、ヒメイタビ、キッコウハグマ
  
 
== 2. 海抜300 m以下の斜面 ==
 
== 2. 海抜300 m以下の斜面 ==
海抜高300m以下の斜面にはコジイ群落が発達する。夕イミンタチバナ、シリブカガ シ、トキワガキ、ウパメガシ、ミミズバイなどは300m以下の所に出現する。
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海抜高300m以下の斜面にはコジイ群落が発達する。夕イミンタチバナ、シリブカガシ、トキワガキ、ウパメガシ、ミミズバイなどは300m以下の所に出現する。
  ブナ科(コジイ、シリブカガシ、アラカシ)、ツバキ科(ヤブツバキ、サカキ、ヒサカキ.モ ッコク)、クスノキ科(シロダモ、イヌガシ、ヤブニッケイ)、ハイノキ科(クロキ、クロバ イ、ミミズパイ、カンザブロウノキ)、モクセイ科のネズミモチ、バラ科のカナメモチ、シ キミ科のシキミなどの照葉樹が豊富であり、サカキカズラ、テイカカズラ、マツブサ、ウ ラジロマタタビ、ミツバアケビ、サンカクヅルなどの木生つる植物が多く見られ、林床  にはペニシダなどの陰生植物がみられる。
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  ブナ科(コジイ、シリブカガシ、アラカシ)、ツバキ科(ヤブツバキ、サカキ、ヒサカキ.モッコク)、クスノキ科(シロダモ、イヌガシ、ヤブニッケイ)、ハイノキ科(クロキ、クロバ イ、ミミズパイ、カンザブロウノキ)、モクセイ科のネズミモチ、バラ科のカナメモチ、シ キミ科のシキミなどの照葉樹が豊富であり、サカキカズラ、テイカカズラ、マツブサ、ウラジロマタタビ、ミツバアケビ、サンカクヅルなどの木生つる植物が多く見られ、林床  にはペニシダなどの陰生植物がみられる。
  
 
== 3. 海抜300 m以上の斜面 ==
 
== 3. 海抜300 m以上の斜面 ==
海抜300m以上の斜面にモミ・アカガシ群落が発達する。アカガシ、ウラジロガシ、ツ  クバネガシ、ハイノキ、ミヤマシキミなどは主として300m以上の山地に見られる。
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海抜300m以上の斜面にモミ・アカガシ群落が発達する。アカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、ハイノキ、ミヤマシキミなどは主として300m以上の山地に見られる。
  モミ、ツガ、アカガシ、ツクパネガシ、ウラジロガシ、カゴノキ、イヌガシ、シロダモ、ヤブ ニッケイ、シキミ、ソヨゴ、クロパイ、ハイノキ、ヤブツパキ、ヒサカキ、サカキなどが出 現し、林床に、ミヤマシキミ、サンヨウアオイ、ベニシダなどの陰生植物が見られる。
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  モミ、ツガ、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、カゴノキ、イヌガシ、シロダモ、ヤブ ニッケイ、シキミ、ソヨゴ、クロバイ、ハイノキ、ヤブツバキ、ヒサカキ、サカキなどが出 現し、林床に、ミヤマシキミ、サンヨウアオイ、ベニシダなどの陰生植物が見られる。
  
 
== 4. 二次林 ==
 
== 4. 二次林 ==
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アカマツニ次林にはクロバイ、ヤブツバキなどの照葉樹の他にネジキ、リョウブ、ウリハダカエデ、コバノミツバツツジなどの落葉広葉樹が混生し、林床には陽生植物のコシダやウラジロが密生することが多い。ネズ、ヤマツツジ、ススキ、ガンピ、ミヤマママコナなどの陽生植物を持つ型とイヌガシ、シロダモなどの陰牛植物を持つ型に分けられる。
 
アカマツニ次林にはクロバイ、ヤブツバキなどの照葉樹の他にネジキ、リョウブ、ウリハダカエデ、コバノミツバツツジなどの落葉広葉樹が混生し、林床には陽生植物のコシダやウラジロが密生することが多い。ネズ、ヤマツツジ、ススキ、ガンピ、ミヤマママコナなどの陽生植物を持つ型とイヌガシ、シロダモなどの陰牛植物を持つ型に分けられる。
  
== 関連ページ ==
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==[[テンプレート:宮島の植物|関連ページ]]==
*[[宮島の植物に関する研究]]
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{{テンプレート:宮島の植物}}
*[[宮島の植物と植生]]
 
  
 
[[Category:宮島]]
 
[[Category:宮島]]
 
[[Category:植生]]
 
[[Category:植生]]
 
[[Category:植物]]
 
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2021年2月5日 (金) 07:14時点における版

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海から望む広島県廿日市市宮島 Miyajima Is., Hiroshima, SW Japan(撮影: 坪田博美; May 21, 2007)

弥山原始林の植物と植生

宮島のシンボルであるモミジ(モミジは広島県の県木,県花である)はイロハモミジオオモミジであるが,それらは本来宮島に自生しない植物で,植栽されたものである.紅葉谷公園のモミジには,その他トウカエデのような外国のカエデも植栽されている.ウリハダカエデは比較的寒い地域に分布するが,宮島に自生している. 弥山原始林は弥山(529.8 m)の北斜面一帯の森林を指しており,宮島では最も自然の保たれてきた所である.弥山原始林の植生は大まかに3つの帯に分けられる.(山麓部の緩斜面,海抜300 mより低い山地,300 m以上の山地).

1. 山麓部

宮島では,山麓部の緩斜面にはクスノキ・クマノミズキ群落が,大元公園や紅葉谷公園付近ではモミ-ミミズバイ群落が見られる.    モミ、クスノキ、カヤ、ミミズパイ、カンザブロウノキ、シキミ、アセビ、イヌガシ、シロダモ、タイミンタチバナ、ホウロクイチゴ、ハスノハカズラ、イズセンリョウ、ヒメイタビ、キッコウハグマ

2. 海抜300 m以下の斜面

海抜高300m以下の斜面にはコジイ群落が発達する。夕イミンタチバナ、シリブカガシ、トキワガキ、ウパメガシ、ミミズバイなどは300m以下の所に出現する。   ブナ科(コジイ、シリブカガシ、アラカシ)、ツバキ科(ヤブツバキ、サカキ、ヒサカキ.モッコク)、クスノキ科(シロダモ、イヌガシ、ヤブニッケイ)、ハイノキ科(クロキ、クロバ イ、ミミズパイ、カンザブロウノキ)、モクセイ科のネズミモチ、バラ科のカナメモチ、シ キミ科のシキミなどの照葉樹が豊富であり、サカキカズラ、テイカカズラ、マツブサ、ウラジロマタタビ、ミツバアケビ、サンカクヅルなどの木生つる植物が多く見られ、林床  にはペニシダなどの陰生植物がみられる。

3. 海抜300 m以上の斜面

海抜300m以上の斜面にモミ・アカガシ群落が発達する。アカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、ハイノキ、ミヤマシキミなどは主として300m以上の山地に見られる。   モミ、ツガ、アカガシ、ツクバネガシ、ウラジロガシ、カゴノキ、イヌガシ、シロダモ、ヤブ ニッケイ、シキミ、ソヨゴ、クロバイ、ハイノキ、ヤブツバキ、ヒサカキ、サカキなどが出 現し、林床に、ミヤマシキミ、サンヨウアオイ、ベニシダなどの陰生植物が見られる。

4. 二次林

弥山原始林内の二次林としてアカマツークロパイ群落がある。 アカマツニ次林にはクロバイ、ヤブツバキなどの照葉樹の他にネジキ、リョウブ、ウリハダカエデ、コバノミツバツツジなどの落葉広葉樹が混生し、林床には陽生植物のコシダやウラジロが密生することが多い。ネズ、ヤマツツジ、ススキ、ガンピ、ミヤマママコナなどの陽生植物を持つ型とイヌガシ、シロダモなどの陰牛植物を持つ型に分けられる。

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