「東広島キャンパスの生き物/過去のニュース/2021下半期」の版間の差分

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=2021年(下半期)の東広島キャンパスの生き物=
 
=2021年(下半期)の東広島キャンパスの生き物=
キャンパスで見られる生き物の2021年8月~12月の情報です.写真や名前をクリックすると解説ページに移動します(黄色く反転しているリンクは作成中のページです).解説ページの写真はクリックすると拡大します.
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キャンパスで見られる生き物の2021年7月~12月の情報です.写真や名前をクリックすると解説ページに移動します.解説ページの写真はクリックすると拡大します.
  
 
*[[東広島キャンパスの生き物|最新のニュースはこちら]]
 
*[[東広島キャンパスの生き物|最新のニュースはこちら]]
 
*[[#過去のニュース|過去のニュースはこちら]]
 
*[[#過去のニュース|過去のニュースはこちら]]
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==2021==
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===12月===
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*2021.12.11 東広島キャンパスで[[ヤマシギ]]が見られました.[[キジバト]]ほどの大きさで,林床に潜んでいると保護色のため見つけるのが困難です.
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ファイル: 20211211ヤマシギ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_277561s.jpg|250px|thumb|right|ヤマシギ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Dec. 11, 2021)|link=ヤマシギ
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===11月===
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*2021.11.19 東広島キャンパスで,渡ってきた冬鳥の[[ジョウビタキ]]や[[オオバン]],[[コガモ]],留鳥の[[カワセミ]]が観察できます.
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ファイル:20211119ジョウビタキ_東広島市鏡山_野崎撮影IMG_2328s.JPG|250px|thumb|right|ジョウビタキのオス(広島県東広島市鏡山;撮影:野崎このは, Nov. 19, 2021)|link=ジョウビタキ
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ファイル:20211119オオバン_東広島市鏡山_野崎撮影_IMG_2325s.JPG|250px|thumb|right|オオバン(広島県東広島市鏡山;撮影:野崎このは, Nov. 19, 2021)|link=オオバン
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ファイル:20211119コガモオス_東広島市鏡山_野崎撮影_IMG2363s.JPG|250px|thumb|right|コガモ(広島県東広島市鏡山;撮影:野崎このは, Nov. 19, 2021)|link=コガモ
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ファイル:20211119カワセミ_東広島市鏡山_本郷撮影_IMG_4759s .JPG|200px|thumb|right|カワセミ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 本郷圭祐,Nov. 19, 2021)|link=カワセミ
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*東広島キャンパスに[[ジョウビタキ]]や[[マヒワ]],[[オオバン]],[[マガモ]],[[ヒドリガモ]],[[ヨシガモ]]など多くの冬鳥が渡ってきています.
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ファイル:211104マガモ01 東広島市鏡山 藤川撮影 DSCN4181.JPG|200px|thumb|right|マガモ群飛の様子.雄個体らしき模様が確認できる(広島県東広島市鏡山; 撮影: 藤川亜也, Nov. 4, 2021)
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===トピックス===
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*東広島キャンパスの上空に2羽の[[コウノトリ]]が飛来しました.[[コウノトリ]]は国の特別天然記念物に指定されている大型の鳥類で,国内では一度野生化で絶滅したのちに現在は野生復帰の取り組みがなされています.東広島市にはここ数年間に毎年のように渡来しており,ため池や田んぼなどの周辺で観察されることがあります.
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ファイル:20211103コウノトリ_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0548s.JPG|250px|thumb|right|キャンパス上空を飛行中のコウノトリ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 3, 2021)|link=コウノトリ
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ファイル:20211002コウノトリ_東広島市_大塚撮影_DSCN3737s.JPG|250px|thumb|right|東広島市に飛来したコウノトリ.足環から兵庫県で生まれた1歳の個体だと分かった.(広島県東広島市; 撮影: 大塚 攻, Oct. 2, 2021)|link=コウノトリ
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===10月===
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*2021.10.26-28 秋が深まり,成熟した赤とんぼの仲間が目に付くようになりました.目にする機会が多いのは,[[マユタテアカネ_広島大学東広島キャンパス|マユタテアカネ]]です.個体数は少ないものの,類似種の[[ヒメアカネ_広島大学東広島キャンパス|ヒメアカネ]]や[[マイコアカネ_広島大学東広島キャンパス|マイコアカネ]]も生息するのでオスの識別ポイントを解説いたします.(大きさは マユタテ>マイコ=ヒメ)
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ファイル: 20211026マユタテアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266395s.jpg|250px|thumb|right|マユタテアカネ(オス)の頭部.黒斑を有する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=マユタテアカネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211026ヒメアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266594s.jpg|250px|thumb|right|ヒメアカネ(オス)の頭部.全体的に白く,黒斑はない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=ヒメアカネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211028マイコアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266866s.jpg|250px|thumb|right|マイコアカネ(オス)の頭部.全体的に青く,黒斑はない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 28, 2021)|link=マイコアカネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211026マユタテアカネ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266383s.jpg|250px|thumb|right|マユタテアカネ(オス)の腹部.先が強く反り返り,腹節の下部には黒斑がない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=マユタテアカネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211026ヒメアカネ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266637s.jpg|250px|thumb|right|ヒメアカネ(オス)の腹部.先は反り返らず,腹節の下部に明瞭な黒斑を有する.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=ヒメアカネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211026マイコアカネ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266337s.jpg|250px|thumb|right|マイコアカネ(オス)の腹部.先はやや反り返り,腹節の下部に黒斑がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=マイコアカネ_広島大学東広島キャンパス
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*[[アキアカネ_広島大学東広島キャンパス|アキアカネ]]は最もよく名前を知られているトンボの一種ですが,近年は地域によってはまとまった数を見ることができなくなりました.類似種に[[ナツアカネ_広島大学東広島キャンパス|ナツアカネ]]が存在し,成熟したオスは色の違いにより容易に識別可能です.
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ファイル: 20211026アキアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266324s.jpg|250px|thumb|right|アキアカネの成虫(オス).成熟すると腹部のみ赤くなる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=アキアカネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211026ナツアカネ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_266510s.jpg|250px|thumb|right|ナツアカネの成虫(オス).成熟すると全身が赤くなる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 26, 2021)|link=ナツアカネ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.10.24-31 雨が降ると活発になる生き物のひとつが陸生貝類(カタツムリやナメクジのなかま)です.久しぶりの雨で[[セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス|セトウチマイマイ]]や[[ヤマナメクジ_広島大学東広島キャンパス|ヤマナメクジ]]が這っていました.[[セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス|セトウチマイマイ]]は樹上性で建物の壁や樹木の上で見られ,基本的に軟体部背面に濃色の条線が入るのが特徴です.殻に入る模様や色は個体間の変異が大きく,見ていて飽きさせない魅力があります.[[ヤマナメクジ_広島大学東広島キャンパス|ヤマナメクジ]]はきのこが大好物の大型のナメクジで,道を這っていてその大きさに仰天したことのある方も多いのではないでしょうか.また,大型の[[マイマイ属の一種_広島大学東広島キャンパス|マイマイ属の一種]]はキャンパス内での生息域が限られており,見ることができたらちょっとラッキーです.彼らの生息環境の周りでは,大型のオサムシでありカタツムリのなかまの天敵[[マイマイカブリ_広島大学東広島キャンパス|マイマイカブリ]]に食べられたであろう死骸の殻が転がっていることもあります.
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ファイル:20211025セトウチマイマイ_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0232s.JPG|200px|thumb|right|セトウチマイマイ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 25, 2021)|link=セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル:20211021セトウチマイマイ_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0196s.JPG|200px|thumb|right|セトウチマイマイ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 21, 2021)|link=セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル:20211104セトウチマイマイ_東広島市_岩﨑撮影_DSC_0927s.JPG|250px|thumb|right|背面に模様がないセトウチマイマイ.(広島県東広島市; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 4, 2021)|link=セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル:20211025ヤマナメクジ_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0221s.JPG|250px|thumb|right|[[ヒトクチタケ_広島大学東広島キャンパス|ヒトクチタケ]]を食べるヤマナメクジ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 25, 2021)|link=ヤマナメクジ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20211025イズモマイマイ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_256235s.jpg|250px|thumb|right|マイマイ属の一種.軟体部には雲状紋がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 25, 2021)|link=イズモマイマイ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル:20211103マイマイカブリ_東広島市_岩﨑撮影_DSC_0877s.JPG|250px|thumb|right|マイマイカブリ(広島県東広島市; 撮影: 岩﨑元道, Nov. 3, 2021)|link=マイマイカブリ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.10.01-08 秋が深まる中姿を見せた2種の大型鱗翅類(チョウのなかま)を紹介します.昼間に花を訪れていたのは[[アサギマダラ_広島大学東広島キャンパス|アサギマダラ]]というチョウで,ゆったりとした動きで舞うように飛びます.渡り鳥のように長距離を移動することで知られ,これからの季節東広島キャンパスの周辺にも多くの個体が飛来します.夜間に街灯にくっついていたのは[[クスサン_広島大学東広島キャンパス|クスサン]]という大型のガで,東広島キャンパスの周辺では10月の終わりごろまで発生します.後翅に目のような模様(眼状紋という)があり,鳥などの天敵に襲われた際にはねを開いて模様を見せつけ,威嚇します.姿を見せる時間帯も外見も全く異なる2種ですが,ぜひ探してみてください.
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ファイル:20211005アサギマダラ_東広島市西条下見_岩﨑撮影_DSC_0060s.JPG|200px|thumb|right|アサギマダラ(広島県東広島市西条下見; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 5, 2021)|link=アサギマダラ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル:20211006クスサン_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0158s.JPG|200px|thumb|right|クスサン(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 6, 2021)|link=クスサン_広島大学東広島キャンパス
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*ビオトープに現れた[[ニホンマムシ]]です.本来夜行性のヘビですが,秋には昼間に見かけることも多くなります.毒ヘビに咬まれるケースはほとんどが気づかずに踏んだり触ったりする場合なので,水辺の近くや茂みを歩くときは足元に注意してください.人の存在に気づくとあちらから逃げていくことが多いので,見つけてもむやみに近づいたり刺激したりしないようにしましょう.東広島キャンパスには[[ニホンマムシ]]をはじめ人に危害を及ぼすこともある生き物も数多く生息していますが,彼らのことを正しく知り,適切な距離感で観察できるようになると,危険な生き物というだけではない,生態系の一部としての彼らの素顔が見えてくるはずです.
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ファイル:20211004ニホンマムシ_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0978s.JPG|200px|thumb|right|ニホンマムシ(広島県東広島市; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 4, 2021)|link=ニホンマムシ
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*こちらは生態実験園に現れた[[シマヘビ]]です.[[ニホンアカガエル]]などを狙って水辺にいることが多いですが,[[ニホンマムシ]]と異なり毒牙を持っていません.東広島キャンパスには7種のヘビがいますが,[[シマヘビ]]は[[ニホンマムシ]]と並んで見かける機会が多いヘビです.まれに体のほとんどが黒く染まる黒化型が出現することがあり,そちらは一般にカラスヘビと呼ばれています.
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ファイル:20211008シマヘビ_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0196s.JPG|200px|thumb|right|シマヘビ(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 8, 2021)|link=シマヘビ
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ファイル:20211010ニホンアカガエル_東広島市鏡山_岩﨑撮影_DSC_0323s.JPG|200px|thumb|right|ニホンアカガエル.キャンパスでの個体数が多くカエル食の生物の餌資源となっている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 岩﨑元道, Oct. 10, 2021)|link=ニホンアカガエル
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===9月===
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*2021.09.16 キャンパス内で[[スズムシ_広島大学東広島キャンパス|スズムシ]],[[エンマコオロギ_広島大学東広島キャンパス|エンマコオロギ]],[[マツムシ_広島大学東広島キャンパス|マツムシ]]が鳴いています.これらは有名な鳴く虫であり,それぞれ鳴き声が印象的です.[[スズムシ_広島大学東広島キャンパス|スズムシ]]は「リーン…リーン…」,[[エンマコオロギ_広島大学東広島キャンパス|エンマコオロギ]]は「コロコロリー…」,[[マツムシ_広島大学東広島キャンパス|マツムシ]]は「チンチロリン」と聞こえる声で鳴きます.いずれも夜にキャンパス内を歩いているとよく聞こえますが,姿を見つけるのはやや難しいです.
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ファイル: 20210910スズムシ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238201s.jpg|250px|thumb|right|鳴くスズムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎,Sep. 16, 2021)|link=スズムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210916エンマコオロギ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238902s.jpg|250px|thumb|right|鳴くエンマコオロギの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎,Sep. 16, 2021)|link=エンマコオロギ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210916マツムシ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238967s.jpg|250px|thumb|right|鳴くマツムシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎,Sep. 16, 2021)|link=マツムシ_広島大学東広島キャンパス
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*森の中では色鮮やかなキノコが見られることがあります.[[ソライロタケ_広島大学東広島キャンパス|ソライロタケ]]は美しい青色のキノコで,広島県では準絶滅危惧種に選定されています.竹林や広葉樹林などの林床に見られます.[[アカイボカサタケ_広島大学東広島キャンパス|アカイボカサタケ]]も同様の環境に見られ,[[ソライロタケ_広島大学東広島キャンパス|ソライロタケ]]とは対照的な色をしています.[[モミジタケ_広島大学東広島キャンパス|モミジタケ]]も林床で見られ,珊瑚のような形が特徴的です.
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ファイル: 20210909ソライロタケ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_237855s.jpg|250px|thumb|right|ソライロタケ.キャンパスでは主に広葉樹林の林床に見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 9, 2021)|link=ソライロタケ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210915アカイボカサタケ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238851s.jpg|250px|thumb|right|アカイボカサタケ.苔むした倒木から発生していることが多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Sep. 15, 2021)|link=アカイボカサタケ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210908モミジタケ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_237278s.jpg|250px|thumb|right|モミジタケ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎,Sep. 8, 2021)|link=モミジタケ_広島大学東広島キャンパス
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*西条も秋めいて参りましたが,以下3種のセミはまだ鳴き声を聞くことができます.
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ファイル: 20210831ツクツクボウシ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_235350s.jpg|250px|thumb|right|ツクツクボウシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 31, 2021)|link=ツクツクボウシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210827ミンミンゼミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_234230s.jpg|250px|thumb|right|ミンミンゼミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 27, 2021)|link=ミンミンゼミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210830チッチゼミ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_234991s.jpg|250px|thumb|right|チッチゼミの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 30, 2021)|link=チッチゼミ_広島大学東広島キャンパス
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===トピックス===
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*東広島キャンパスで再び[[ムネアカハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス|ムネアカハラビロカマキリ]]が発見されました.キャンパスでは2019年に初めて確認されました.在来の[[ハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス|ハラビロカマキリ]]に比べ大型で,名前通り胸部が全体的に赤いのが特徴です.本種は中国原産の外来種で,在来種を駆逐することが懸念されています.個別ページに詳細な識別方法が掲載されていますので,キャンパス内で発見された場合は情報提供をお願いします.
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ファイル: 20210831ムネアカハラビロカマキリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_235643s.jpg|250px|thumb|right|ムネアカハラビロカマキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎,Aug. 31, 2021)|link=ムネアカハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210831ムネアカハラビロカマキリ胸部_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_235678s.jpg|250px|thumb|right|ムネアカハラビロカマキリの成虫(オス).前胸腹板が全体的に赤い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 31, 2021)|link=ムネアカハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20191009ムネアカハラビロカマキリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_81833s.jpg|250px|thumb|right|ムネアカハラビロカマキリの成虫(メス).赤で囲った前脚腿節の顆粒が[[ハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス|ハラビロカマキリ]]より明らかに多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Oct. 9, 2019)|link=ムネアカハラビロカマキリ_広島大学東広島キャンパス
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===8月===
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*2021,08.01-23 夜のキャンパス内では鳴く虫が発生しています.ウマオイ類は林縁部や草地に見られる肉食性のキリギリスで,キャンパスでは[[ハヤシノウマオイ_広島大学東広島キャンパス|ハヤシノウマオイ]]と[[ハタケノウマオイ_広島大学東広島キャンパス|ハタケノウマオイ]]が混生しています.[[ハヤシノウマオイ_広島大学東広島キャンパス|ハヤシノ]]は「スィーーー・チョン」とゆっくりとしたテンポで鳴き,[[ハタケノウマオイ_広島大学東広島キャンパス|ハタケノ]]は「シ・チョン!シ・チョン!」と早いテンポで鳴くことで識別できます(形態による識別は困難).丈の高い[[ススキ]]が茂る草地では,[[カヤキリ_広島大学東広島キャンパス|カヤキリ]]が見られます.日本最大級のキリギリスで,「ジャーーーーー」と非常に大きい声で鳴きます.
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ファイル: 20210805ハタケノウマオイ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_290285s.jpg|250px|thumb|right|鳴くハタケノウマオイの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎,Aug. 5, 2021)|link=ハタケノウマオイ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210809ハヤシノウマオイ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_230811s.jpg|250px|thumb|right|鳴くハヤシノウマオイの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 9, 2021)|link=ハヤシノウマオイ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210803カヤキリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_289864s.jpg|250px|thumb|right|鳴くカヤキリの成虫(オス).同時期に鳴く[[クサキリ_広島大学東広島キャンパス|クサキリ]]よりも声のボリュームが大きい.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 3, 2021)|link=カヤキリ_広島大学東広島キャンパス
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*[[ヤママユ_広島大学東広島キャンパス|ヤママユ]]が発生しています.本州で見られる蛾では最大級で,オスは翅が細く,メスは翅が丸いです.[[ゴマフボクトウ_広島大学東広島キャンパス|ゴマフボクトウ]]も発生しており,細長い形と青い斑紋が特徴です.
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<gallery mode="nolines" widths="250" heights="250">
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ファイル: 20210808ヤママユ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_290698s.jpg|250px|thumb|right|ヤママユの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 8, 2021)|link=ヤママユ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210804ヤママユ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_290067s.jpg|250px|thumb|right|ヤママユの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 4, 2021)|link=ヤママユ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210819ゴマフボクトウ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_242594s.jpg|250px|thumb|right|ゴマフボクトウの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Aug. 19, 2021)|link=ゴマフボクトウ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.08.23 キャンパス内で[[チッチゼミ_広島大学東広島キャンパス|チッチゼミ]]が鳴いています.キャンパスで最も遅い時期に鳴くセミです.
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*2021.08.20 キャンパス内で[[ツクツクボウシ_広島大学東広島キャンパス|ツクツクボウシ]]が鳴いています.
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*2021.08.04 キャンパス内で[[クマゼミ_広島大学東広島キャンパス|クマゼミ]]が鳴き始めました.
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*2021.08.03 キャンパス内で[[ミンミンゼミ_広島大学東広島キャンパス|ミンミンゼミ]]が鳴き始めました.
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===トピックス===
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*6月28日に,東広島キャンパスにおいて[[アライグマ]]が発見されました.5頭の幼獣が固まって見つかったことから構内で繁殖をしている可能性が高いです.[[アライグマ]]は特定外来生物に指定されており,農業や生態系に大きな影響を与えています.特に学内では,[[ニホンアカガエル_広島大学東広島キャンパス|ニホンアカガエル]]や[[ニホンイシガメ]]など在来の両生類や爬虫類に対する捕食圧が懸念されます.[[ホンドタヌキ]]や[[ニホンアナグマ]]に似ますが,目の周りの黒い模様が左右繋がって見えること,尾が縞々模様であることなどが特徴です.
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ファイル: 20210628アライグマ幼獣_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_225401s.jpg |250px|thumb|right|アライグマの幼獣.5頭確認された.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 28, 2021)|link=アライグマ
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===7月===
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*2021.07.08-07.30 7月上旬~中旬は,[[ニイニイゼミ_広島大学東広島キャンパス|ニイニイゼミ]]の声がよく聞こえました.「チィー…」と長く鳴き続けます.日没からは,セミたちの羽化の様子を観察することができました.[[ヒグラシ_広島大学東広島キャンパス|ヒグラシ]]は薄暗い森林内の低木で,[[クマゼミ_広島大学東広島キャンパス|クマゼミ]]は公園や道路脇の植栽樹木などで羽化をしていることが多いです.
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ファイル: 20210716ニイニイゼミ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_233603s.jpg|250px|thumb|right|鳴くニイニイゼミの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 16, 2021)|link=ニイニイゼミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210724ヒグラシ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_237895s.jpg|250px|thumb|right|羽化中のヒグラシの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 24, 2021)|link=ヒグラシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210724クマゼミ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_237864s.jpg|250px|thumb|right|羽化中のクマゼミの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 24, 2021)|link=クマゼミ_広島大学東広島キャンパス
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*夜の林縁部では[[ウスバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス|ウスバカゲロウ]]がよく飛んでいます.翅には目立った模様はなく,ゆらゆらと飛翔します.砂地にすり鉢状の巣を作るアリジゴクとはこの[[ウスバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス|ウスバカゲロウ]]の幼虫のことです.アリジゴクは巣に落ちた虫などを大アゴで捕らえ,体液を吸い取ります.
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ファイル: 20210727ウスバカゲロウ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238336s.jpg|250px|thumb|right|ウスバカゲロウの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 27, 2021)|link=ウスバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210726ウスバカゲロウ幼虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238257s.jpg|250px|thumb|right|ウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 26, 2021)|link=ウスバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210726ウスバカゲロウ幼虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_238245s.jpg|250px|thumb|right|クモを捕らえたウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 26, 2021)|link=ウスバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス
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*7月中旬まではあまり見られなかった[[ミヤマクワガタ_広島大学東広島キャンパス|ミヤマクワガタ]]ですが,下旬になるにつれて樹液を吸う姿を観察できるようになりました.[[カブトムシ_広島大学東広島キャンパス|カブトムシ]]は7月を通して個体数が多く,オス同士で激しく争う様子も見られました.[[ベニスズメ_広島大学東広島キャンパス|ベニスズメ]]などのスズメガ類も夜に樹液を吸っていました.
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ファイル: 20210724ミヤマクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_237758s.jpg|250px|thumb|right|ミヤマクワガタの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 24, 2021)|link=ミヤマクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210722カブトムシ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_235368s.jpg|250px|thumb|right|争うカブトムシの成虫(オス).頭部のツノで相手を投げ飛ばす.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 22, 2021)|link=カブトムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210723ベニスズメ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_236109s.jpg|250px|thumb|right|樹液を吸うベニスズメの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 23, 2021)
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*昼の樹液にはカナブン類が多く見られます.東広島キャンパスでは主に[[カナブン_広島大学東広島キャンパス|カナブン]]と[[アオカナブン_広島大学東広島キャンパス|アオカナブン]]の2種がよく見られます.まれに[[オオムラサキ_広島大学東広島キャンパス|オオムラサキ]]が樹液に集まる姿も観察することができます.薄暗い林内では,昼間でも[[オニベニシタバ_広島大学東広島キャンパス|オニベニシタバ]]が樹液を吸いに現れます.
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ファイル: 20210711アオカナブン成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_232081s.jpg|250px|thumb|right|アオカナブン(右)とカナブン(左).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 11, 2021)|link=アオカナブン_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210721オオムラサキ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_235044s.jpg|250px|thumb|right|[[アベマキ]]の樹液を吸うオオムラサキの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 21, 2021)|link=オオムラサキ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210730オニベニシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_239665s.jpg|250px|thumb|right|オニベニシタバの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 30, 2021)|link=オニベニシタバ_広島大学東広島キャンパス
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*枝の切れ端に擬態しているツマキシャチホコ類です.[[クロツマキシャチホコ_広島大学東広島キャンパス|クロツマキシャチホコ]]はキャンパスで最も個体数の多いツマキシャチホコ類で,翅頂の黄白色紋の前縁が茶褐色に色づいています.一方の[[ムクツマキシャチホコ_広島大学東広島キャンパス|ムクツマキシャチホコ]]は,キャンパス内での個体数は少なく,翅頂の黄白色紋の前縁は黒色に縁取られます.また,翅の中央付近の白斑が目立ちます.これら2種に加え,日本にはツマキシャチホコとタカサゴツマキシャチホコの計4種のツマキシャチホコ類が分布しています.[[モンクロシャチホコ_広島大学東広島キャンパス|モンクロシャチホコ]]はこれらにあまり似ていませんが,同じ属に分類されます.
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ファイル: 20210723クロツマキシャチホコ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_236104s.jpg|250px|thumb|right|クロツマキシャチホコの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 23, 2021)|link=クロツマキシャチホコ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210723ムクツマキシャチホコ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_236081s.jpg|250px|thumb|right|ムクツマキシャチホコの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 23, 2021)|link=ムクツマキシャチホコ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210722モンクロシャチホコ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_235669s.jpg|250px|thumb|right|モンクロシャチホコの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 22, 2021)|link=モンクロシャチホコ_広島大学東広島キャンパス
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*キリギリスの仲間です.日当たりの良い草地では[[キリギリス_広島大学東広島キャンパス|ニシキリギリス]]が鳴いています.「チョン・ギース!」と断続的に鳴きます.湿った丈の低い草地では[[ヒメギス_広島大学東広島キャンパス|ヒメギス]]が見られます.全体的に黒褐色をしており,弱く短い音で「シリリリリ…」と鳴きます.夜間の樹上や薮では[[ヤブキリ_広島大学東広島キャンパス|ヤブキリ]]が鳴きます.[[ヒメギス_広島大学東広島キャンパス|ヒメギス]]よりも強い音で「シリリリリ…」と鳴きます.
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ファイル: 20210711ニシキリギリス成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_231878s.jpg|250px|thumb|right|ニシキリギリスの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 11, 2021)|link=キリギリス_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210711ヒメギス成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_231253s.jpg|250px|thumb|right|ヒメギスの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 11, 2021)|link=ヒメギス_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210709ヤブキリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_230112s.jpg|250px|thumb|right|ヤブキリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 9, 2021)|link=ヤブキリ_広島大学東広島キャンパス
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*大型のカミキリムシです.[[シロスジカミキリ_広島大学東広島キャンパス|シロスジカミキリ]]は雑木林に多く見られ,[[アラカシ]]や[[コナラ]]などのブナ科についている姿がよく見られます.下旬には産卵をしている個体を観察することができました.[[クワカミキリ_広島大学東広島キャンパス|クワカミキリ]]は[[イチジク_広島大学東広島キャンパス|イチジク]]や[[マグワ]]などに寄生します.[[ミヤマカミキリ_広島大学東広島キャンパス|ミヤマカミキリ]]は[[クリ]]や[[アベマキ]]などに集まります.[[クワカミキリ_広島大学東広島キャンパス|クワカミキリ]]と[[ミヤマカミキリ_広島大学東広島キャンパス|ミヤマカミキリ]]は体色が似ていますが,[[クワカミキリ_広島大学東広島キャンパス|クワカミキリ]]は触角が縞々で,鞘翅の付け根に黒い顆粒が多いことが特徴です.
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ファイル: 20210728シロスジカミキリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_239339s.jpg|250px|thumb|right|産卵中のシロスジカミキリの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 28, 2021)|link=シロスジカミキリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210714クワカミキリ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_232852s.jpg|250px|thumb|right|クワカミキリの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 14, 2021)|link=クワカミキリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210712ミヤマカミキリ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_232428s.jpg|250px|thumb|right|ミヤマカミキリの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 12, 2021)|link=ミヤマカミキリ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.07.26 東広島キャンパスで[[ツクツクボウシ_広島大学東広島キャンパス|ツクツクボウシ]]が鳴き始めました.
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*2021.07.19 東広島キャンパスで[[アブラゼミ_広島大学東広島キャンパス|アブラゼミ]]が鳴き始めました.
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*東広島キャンパスでは[[ニイニイゼミ_広島大学東広島キャンパス|ニイニイゼミ]]と[[ヒグラシ_広島大学東広島キャンパス|ヒグラシ]]が鳴いています.草地では[[キリギリス_広島大学東広島キャンパス|ニシキリギリス]]が鳴いています.
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*2021.06.22-07.07 6月下旬から7月にかけても,雨が降る日が続きました.小雨が降る[[生態実験園]]ではオタマジャクシから変態したばかりの[[ニホンアカガエル_広島大学東広島キャンパス|ニホンアカガエル]]や[[シュレーゲルアオガエル_広島大学東広島キャンパス|シュレーゲルアオガエル]]の幼体が数多く見られます.林縁の葉上では陸生プラナリアである[[ゲオプラナ亜科の一種_広島大学東広島キャンパス|ゲオプラナ亜科の一種]]も観察することができました.コウガイビル同様多くの眼点(視覚器官)をもち,小動物を捕らえて捕食します.
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ファイル: 20210625ニホンアカガエル幼体_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_221095s.jpg|250px|thumb|right|ニホンアカガエルの幼体.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 25, 2021)|link=ニホンアカガエル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210623シュレーゲルアオガエル幼体_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219883s.jpg|250px|thumb|right|シュレーゲルアオガエルの幼体.まだ尾が残っている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 23, 2021)|link=シュレーゲルアオガエル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210629ゲオプラナ亜科の一種_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_226231s.jpg|250px|thumb|right|ゲオプラナ亜科の一種.雨天の[[生態実験園]]に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 29, 2021)|link=ゲオプラナ亜科の一種_広島大学東広島キャンパス
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*[[アラカシ]]の樹液では[[ノコギリクワガタ_広島大学東広島キャンパス|ノコギリクワガタ]]が見られました.大型のクワガタムシで雌雄ともに赤みを帯びます.オスは大きさによって大アゴの形が異なり,大型個体では湾曲し小型個体では真っ直ぐになります.樹液にはスズメバチの仲間も飛来するので観察の際には要注意です.他のスズメバチは深夜には樹液に集まらないことが多いですが,[[オオスズメバチ_広島大学東広島キャンパス|オオスズメバチ]]の女王や[[モンスズメバチ_広島大学東広島キャンパス|モンスズメバチ]]は夜明けまで滞在していることがあり,懐中電灯目掛けて飛んでくることもあります.その際には慌てずライトを消して対処しましょう.
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ファイル: 20210624ノコギリクワガタ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220387s.jpg|250px|thumb|right|ノコギリクワガタ.オスがメスに覆い被さり,防衛している.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2021)|link=ノコギリクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210624モンスズメバチ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220638s.jpg|250px|thumb|right|モンスズメバチの成虫(メス).頭部の単眼は暗色斑に覆われる(赤矢印の先).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2021)|link=モンスズメバチ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210627ヒメスズメバチ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_224966s.jpg|250px|thumb|right|樹液を吸うヒメスズメバチの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 27, 2021)|link=ヒメスズメバチ_広島大学東広島キャンパス
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*樹液に集まるヤガ科には,Catocala(カトカラ)というグループが存在します.後翅に鮮やかな斑紋をもつ蛾が多く,初夏~晩夏にかけて観察することができます.ここでは,カトカラの中で○○キシタバという名を冠する種を掲載します.(おおよその出現時期順に並べています.)
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ファイル: 20210623アサマキシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220346s.jpg|250px|thumb|right|アサマキシタバの成虫.カトカラでは最も出現時期が早い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 23, 2021)|link=アサマキシタバ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210624フシキキシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220520s.jpg|250px|thumb|right|フシキキシタバの成虫.後翅の黒色斑が細い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2021)|link=フシキキシタバ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210625コガタキシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220873s.jpg|250px|thumb|right|コガタキシタバの成虫.前翅基部の暗色斑が広い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 25, 2021)|link=コガタキシタバ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210623ウスイロキシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220336s.jpg|250px|thumb|right|ウスイロキシタバの成虫.前翅前縁に大きい黒色斑が並ぶ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 23, 2021)|link=ウスイロキシタバ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210624マメキシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220612s.jpg|250px|thumb|right|マメキシタバの成虫.吸密中も後翅を晒すことが少ない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2021)|link=マメキシタバ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210702キシタバ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_226852s.jpg|250px|thumb|right|キシタバの成虫.○○キシタバでは最も大型の種類で,前翅が黄褐色.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 2, 2021)|link=キシタバ_広島大学東広島キャンパス
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*梅雨時期の里山のチョウたちです.開けた草地の[[ノアザミ]]には[[ウラギンヒョウモン_広島大学東広島キャンパス|ウラギンヒョウモン]]が,林縁部の[[ノアザミ]]には[[ホソバセセリ_広島大学東広島キャンパス|ホソバセセリ]]が蜜を吸いに現れます.[[ヒメジョオン]]には夏型の[[トラフシジミ_広島大学東広島キャンパス|トラフシジミ]]が飛来していました.春に発生する個体に比べて全体的に茶褐色なのが特徴です.
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ファイル: 20210707ウラギンヒョウモン成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229317s.jpg|250px|thumb|right|[[ノアザミ]]で吸蜜するウラギンヒョウモンの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 7, 2021)|link=ウラギンヒョウモン_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210702ホソバセセリ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_227072s.jpg|250px|thumb|right|[[ノアザミ]]で吸蜜するホソバセセリの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 2, 2021)|link=ホソバセセリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210629トラフシジミ成虫夏型_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_225643s.jpg|250px|thumb|right|[[ヒメジョオン]]で吸蜜するトラフシジミの成虫(夏型).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 29, 2021)|link=トラフシジミ_広島大学東広島キャンパス
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*林縁部の[[アオハダ]]の葉裏などでしばしば見られる[[エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|エサキモンキツノカメムシ]]ですが,酷似する近縁種に[[モンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|モンキツノカメムシ]]がいます.出現時期や環境が被るので識別が難しいですが,[[エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|エサキモンキ]]では背面の斑紋がハート形になるのに対し、[[モンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|モンキ]]では半円形になります.また,[[ウシカメムシ_広島大学東広島キャンパス|ウシカメムシ]]は体長8 mmほどで小型でありながら,二本の鋭い角が目を引きます.
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ファイル: 20210624エサキモンキツノカメムシ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220606s.jpg|250px|thumb|right|エサキモンキツノカメムシの成虫.背面の斑紋は切れ込みが入ってハート形をしており,体色は黄色味が強い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2021)|link=エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210624モンキツノカメムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220600s.jpg|250px|thumb|right|モンキツノカメムシの成虫.背面の斑紋は半円形で,体色は緑がかる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 24, 2021)|link=モンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210623ウシカメムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220060s.jpg|250px|thumb|right|ウシカメムシの成虫.肩部の角が特徴.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 23, 2021)|link=ウシカメムシ_広島大学東広島キャンパス
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*[[ガマ]]や[[ヨシ]]など,抽水植物の多いため池では[[アオヤンマ_広島大学東広島キャンパス|アオヤンマ]]が生息します.全身が鮮やかな緑色をしており,抽水植物の間を縫うように飛びます.また,同様に水草の豊富なため池には[[チョウトンボ_広島大学東広島キャンパス|チョウトンボ]]も見られます.蝶のようにひらひらと舞うように飛び,東広島キャンパスでは数も多く目にする機会が多いトンボです.湿地では日本最小のトンボである[[ハッチョウトンボ_広島大学東広島キャンパス|ハッチョウトンボ]]が見られます.
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ファイル: 20210623アオヤンマ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219907s.jpg|250px|thumb|right|アオヤンマの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 23, 2021)|link=アオヤンマ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210707チョウトンボ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229614s.jpg|250px|thumb|right|チョウトンボの成虫.羽化直後の個体は光沢が強い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 7, 2021)|link=チョウトンボ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210622ハッチョウトンボ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219418s.jpg|250px|thumb|right|ハッチョウトンボの成虫(オス).全長は500円玉よりも小さい.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 22, 2021)|link=ハッチョウトンボ_広島大学東広島キャンパス
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*東広島キャンパスで見られる大型のコガネムシには,[[コフキコガネ_広島大学東広島キャンパス|コフキコガネ]]と[[オオコフキコガネ_広島大学東広島キャンパス|オオコフキコガネ]]がいます.両種ともに体表が細毛で覆われているのが特徴ですが,名が指すほど体長に差がなく,やや識別に難儀します.しかし,[[コフキコガネ_広島大学東広島キャンパス|コフキ]]では毛の色が黄褐色なのに対し,[[オオコフキコガネ_広島大学東広島キャンパス|オオコフキ]]では毛の色が灰白色といった特徴があります(これらの毛は脱落している場合もあるので注意).[[ヒメコガネ_広島大学東広島キャンパス|ヒメコガネ]]は変異の大きいコガネムシで,赤・緑・青と様々な色の個体を見つけることができます.[[ドウガネブイブイ_広島大学東広島キャンパス|ドウガネブイブイ]]と[[アオドウガネ_広島大学東広島キャンパス|アオドウガネ]]もよく見られるコガネムシです.
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ファイル: 20210707コフキコガネ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229232s.jpg|250px|thumb|right|コフキコガネの成虫(メス).黄褐色の毛に覆われる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 7, 2021)|link=コフキコガネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210629オオコフキコガネ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_225630s.jpg|250px|thumb|right|オオコフキコガネの成虫(メス).灰白色の毛に覆われる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 29, 2021)|link=オオコフキコガネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210706ヒメコガネ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229125s.jpg|250px|thumb|right|ヒメコガネの成虫.緑色の個体.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 6, 2021)|link=ヒメコガネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210706ヒメコガネ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229208s.jpg|250px|thumb|right|ヒメコガネの成虫.赤みの強い個体.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 6, 2021)|link=ヒメコガネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210702アオドウガネ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_227182s.jpg|250px|thumb|right|アオドウガネの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 2, 2021)|link=アオドウガネ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210629ドウガネブイブイ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_225696s.jpg|250px|thumb|right|ドウガネブイブイの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 29, 2021)|link=ドウガネブイブイ_広島大学東広島キャンパス
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*アミメカゲロウ目の昆虫です.[[キカマキリモドキ_広島大学東広島キャンパス|キカマキリモドキ]]と[[オオツノトンボ_広島大学東広島キャンパス|オオツノトンボ]]はそれぞれカマキリ,トンボに似ていますが,それらとは別のグループに属しています.[[ヤマトヒロバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス|ヤマトヒロバカゲロウ]]は初夏に発生する[[カスリヒロバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス|カスリヒロバカゲロウ]]と入れ替わるように出現し,7月中はよく見られます.
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ファイル: 20210623キカマキリモドキ成虫オス_東広島市鏡山南葉撮影_IMG_220258s.jpg|250px|thumb|right|キカマキリモドキの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 23, 2021)|link=キカマキリモドキ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210629オオツノトンボ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_226027s.jpg|250px|thumb|right|オオツノトンボの成虫.昼間は林縁部の草むらで休んでいる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 29, 2021)|link=オオツノトンボ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210702ヤマトヒロバカゲロウ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_226856s2.jpg|250px|thumb|right|ヤマトヒロバカゲロウの成虫.前翅後縁の中央付近に黒点がある(赤矢印).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jul. 2, 2021)|link=ヤマトヒロバカゲロウ_広島大学東広島キャンパス
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===6月===
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*2021.06.13-18 東広島キャンパスでは[[ゲンジボタル_広島大学東広島キャンパス|ゲンジボタル]]が舞っています.主に小川や渓流を生息地とし,日本産ホタルの中でも大型種で光もよく目立ちます.かつてはキャンパス内の湿地で[[ヘイケボタル_広島大学東広島キャンパス|ヘイケボタル]]も多く見られましたが,[[アメリカザリガニ]]の侵入などとともに激減し,現在では数年に一度目撃されるのみになってしまいました.これらの2種に加え,キャンパス内では[[オオマドボタル_広島大学東広島キャンパス|オオマドボタル]]と[[オバボタル_広島大学東広島キャンパス|オバボタル]],[[ムネクリイロボタル_広島大学東広島キャンパス|ムネクリイロボタル]]の計5種が確認されています.後3種は昼行性で,強く発光することはありません.ここでは[[オオマドボタル_広島大学東広島キャンパス|オオマドボタル]]を除いた4種の写真を掲載します.
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ファイル: 20210615ゲンジボタル成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219143s.jpg|250px|thumb|right|発光するゲンジボタルの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=ゲンジボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210616ヘイケボタル成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219197s.jpg|250px|thumb|right|ヘイケボタルの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 16, 2021)|link=ヘイケボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618オバボタル成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220130s.jpg|250px|thumb|right|オバボタルの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=オバボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210601ムネクリイロボタル成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_215645s.jpg|250px|thumb|right|ムネクリイロボタルの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 1, 2021)|link=ムネクリイロボタル_広島大学東広島キャンパス
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*[[アラカシ]]や[[アベマキ]]などのブナ科から染み出す樹液に多くのクワガタムシが集まるようになりました.[[スジクワガタ_広島大学東広島キャンパス|スジクワガタ]]と[[コクワガタ_広島大学東広島キャンパス|コクワガタ]]は同所的に見られ酷似していますが,[[スジクワガタ_広島大学東広島キャンパス|スジクワガタ]]の大型個体(オス)では大顎の内歯が二股に分かれて2本に見え,一方[[コクワガタ_広島大学東広島キャンパス|コクワガタ]]の大型個体(オス)では大顎の内歯が1本だけであることで識別できます.しかし,メスやオスの小型個体では当てはまらないため要注意です.[[ネブトクワガタ_広島大学東広島キャンパス|ネブトクワガタ]]は他の甲虫が集まらない樹種([[モミ]]や[[ケンポナシ]]など)に集まっていることが多いです.
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ファイル: 20210617スジクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219920s.jpg|250px|thumb|right|スジクワガタの成虫(オス).内歯は二股に分かれ,斧のような形状.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=スジクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210601コクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_216222s.jpg|250px|thumb|right|コクワガタの成虫(オス).内歯は1本のみ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 1, 2021)|link=コクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210602ネブトクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_217391s.jpg|250px|thumb|right|ネブトクワガタの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 2, 2021)|link=ネブトクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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*個性的な甲虫たちです.[[アカガネサルハムシ_広島大学東広島キャンパス|アカガネサルハムシ]]はヤマトタマムシのような赤と緑の金属光沢が美しいハムシで,主に[[ノブドウ]]の周囲で観察されます.[[ゴマダラオトシブミ_広島大学東広島キャンパス|ゴマダラオトシブミ]]は揺り籠(葉で巻いた産室)を切り落とさないタイプのオトシブミで,ブナ科植物(主に[[クリ]])の葉上で見られます.[[キノコゴミムシ_広島大学東広島キャンパス|キノコゴミムシ]]は[[アベマキ]]の樹液や硬質菌([[カワラタケ_広島大学東広島キャンパス|カワラタケ]]など)で覆われた枯れ木などに見られるゴミムシで,[[ヨツボシケシキスイ_広島大学東広島キャンパス|ヨツボシケシキスイ]]や[[ミヤマオビオオキノコムシ_広島大学東広島キャンパス|オオキノコムシ類]]に似た斑紋を有します.
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ファイル: 20210615アカガネサルハムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218752s.jpg |250px|thumb|right|アカガネサルハムシの成虫.[[ノブドウ]]に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=アカガネサルハムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210615ゴマダラオトシブミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218890s.jpg|250px|thumb|right|ゴマダラオトシブミの成虫.主に[[クリ]]の葉を食べる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=ゴマダラオトシブミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618キノコゴミムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220214s.jpg |250px|thumb|right|キノコゴミムシの成虫.[[ミヤマオビオオキノコムシ_広島大学東広島キャンパス|オオキノコムシ類]]に似る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=キノコゴミムシ_広島大学東広島キャンパス
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*梅雨期はイラガ科の蛾をよく見かけます.多くの種で幼虫がデンキムシと呼ばれる有毒の派手なケムシですが,成虫は無毒です.[[ヒロヘリアオイラガ_広島大学東広島キャンパス|ヒロヘリアオイラガ]],[[クロシタアオイラガ_広島大学東広島キャンパス|クロシタアオイラガ]],[[アオイラガ_広島大学東広島キャンパス|アオイラガ]]などのアオイラガ類は緑と褐色を基調としており,やや同定が難しいグループです.
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ファイル: 20210616イラガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219205s.jpg|250px|thumb|right|イラガの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 16, 2021)|link=イラガ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210615ヒロヘリアオイラガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218992s.jpg|250px|thumb|right|ヒロヘリアオイラガの成虫.[[アオイラガ_広島大学東広島キャンパス|アオイラガ]]に似るが,前翅外縁の褐色部は一様に色が濃い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=ヒロヘリアオイラガ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618クロシタアオイラガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220140s.jpg|250px|thumb|right|クロシタアオイラガの成虫.[[アオイラガ_広島大学東広島キャンパス|アオイラガ]]や[[ヒロヘリアオイラガ_広島大学東広島キャンパス|ヒロヘリアオイラガ]]に比べ小型(開翅長は30 mmに満たない).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=クロシタアオイラガ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210612ムラサキイラガ交尾_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_222903s.jpg|250px|thumb|right|交尾中のムラサキイラガ.翅と腹部が直角になるようなとまり方をする.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 12, 2021)|link=ムラサキイラガ_広島大学東広島キャンパス
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*葉が茂り見つけづらくはなりましたが,早朝や夕方には夏鳥の活発な姿が見られます.[[ホトトギス]]はオスは「テッペンカケタカ!」と聞きなしされる声でよく鳴いていますが,姿を観察するのはやや難しいです.[[コサメビタキ]]は秋の渡り期まではキャンパス内で見ることができます.[[オオルリ]]は朝に[[ネズ]]の一番上にとまって囀る様子を観察することができました.
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ファイル: 20210611ホトトギスメス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_222526s.jpg |250px|thumb|right|ホトトギス(メス).「ピピピピピ!」と尻上がりに鳴く.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=ホトトギス
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ファイル: 20210611コサメビタキ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_221551s.jpg|250px|thumb|right|コサメビタキ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=コサメビタキ
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ファイル: 20210618オオルリオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220344s.jpg|250px|thumb|right|囀るオオルリ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=オオルリ
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*初夏の間にしか鳴き声を聞くことができないバッタ類の紹介をします.[[ナキイナゴ_広島大学東広島キャンパス|ナキイナゴ]]は[[ススキ]]などが茂る丘陵の草地に多く,オスは日中脚と翅をこすり合わせて「ジキジキジキ...」と鳴きます.[[キンヒバリ_広島大学東広島キャンパス|キンヒバリ]]は[[生態実験園]]や[[ふれあいビオトープ]]の湿地に多く,主に夜間「リッリッリッリーー」と高い声で鳴きます.[[コガタコオロギ_広島大学東広島キャンパス|コガタコオロギ]]は空き地や荒地の物陰で「ビー!!」と鳴き,意識すると夜の広大通りやブールバールでよく鳴いているのがわかります.
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ファイル: 20210617ナキイナゴ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219731s.jpg |250px|thumb|right|ナキイナゴの成虫(オス).メスより黄色く,翅が長い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=ナキイナゴ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210615キンヒバリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219067s.jpg|250px|thumb|right|葉の裏から身を乗り出して鳴くキンヒバリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 20, 2021)|link=キンヒバリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618コガタコオロギ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影IMG_220049s.jpg |250px|thumb|right|求愛するコガタコオロギ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=コガタコオロギ_広島大学東広島キャンパス
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*ハエの仲間です.[[シオヤアブ_広島大学東広島キャンパス|シオヤアブ]]は飛翔する昆虫を奇襲するムシヒキアブの一種で,[[エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|エサキモンキツノカメムシ]]を捕食していました.[[ハチモドキハナアブ_広島大学東広島キャンパス|ハチモドキハナアブ]]はドロバチやトックリバチにベイツ型擬態しているハナアブで,[[アベマキ]]の樹液に集まります.[[イシハラクロチョウバエ_広島大学東広島キャンパス|イシハラクロチョウバエ]]は林縁部で見られるチョウバエで,葉の上でクルクルとせわしなく動き回ります.
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ファイル: 20210617シオヤアブ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219687s.jpg|250px|thumb|right|シオヤアブの成虫(オス).[[エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|エサキモンキツノカメムシ]]を捕食している.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=シオヤアブ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210611ハチモドキハナアブ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_222180s.jpg|250px|thumb|right|ハチモドキハナアブの成虫.樹液に集まる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=ハチモドキハナアブ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210617イシハラクロチョウバエ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219976s.jpg |250px|thumb|right|イシハラクロチョウバエの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=イシハラクロチョウバエ_広島大学東広島キャンパス
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*6月の上旬~中旬にかけては,[[アカシジミ_広島大学東広島キャンパス|アカシジミ]]や[[ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス|ウラナミアカシジミ]]など樹上性のシジミチョウであるゼフィルスを観察することができました.夕方になると活性が高まり,[[コナラ]]や[[アベマキ]]の周囲を飛翔する姿が見られます.[[ゴイシシジミ_広島大学東広島キャンパス|ゴイシシジミ]]は成虫がササ類につくアブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)の分泌液を吸うため,ササの茂る環境で観察されます.
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ファイル: 20210611アカシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_221909s.jpg |250px|thumb|right|アカシジミの成虫.午前中は不活発.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=アカシジミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ウラナミアカシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220485s2.jpg|250px|thumb|right|ウラナミアカシジミの成虫.萌芽更新が盛んな[[コナラ]]や[[アベマキ]]の周囲に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ゴイシシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220062s.jpg |250px|thumb|right|ゴイシシジミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ゴイシシジミ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.06.5-06.12 キャンパス内で見られるコマチグモ科3種の紹介です.[[カバキコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|カバキコマチグモ]]は在来種のクモの中でも強い毒をもつとされ,不用意に掴むと咬まれる恐れがあるので,観察の際には要注意です.本種は[[ススキ]]が繁茂する草地で見られることが多いですが,後2種は樹上性です.[[アシナガコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|アシナガコマチグモ]]は雌雄ともに足が長く,夜になると樹上を活発に動きます.[[ヤサコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|ヤサコマチグモ]]は前2種に比べると小型のコマチグモで,メスでは脚が短いです.本種も夜に樹上を徘徊しています.
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ファイル: 20210609カバキコマチグモ幼体_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219899s.jpg|250px|thumb|right|カバキコマチグモの幼体.幼体は体色が青い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=カバキコマチグモ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210606アシナガコマチグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219079s.jpg|250px|thumb|right|アシナガコマチグモの成体(メス).上顎が発達している.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 6, 2021)|link=アシナガコマチグモ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ヤサコマチグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229970s.jpg|250px|thumb|right|ヤサコマチグモの成体(メス).[[アシナガコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|アシナガコマチグモ]]に比べて小型で脚が短い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ヤサコマチグモ_広島大学東広島キャンパス
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*田植えが終わった[[生態実験園]]の水田では、[[ケラ_広島大学東広島キャンパス|ケラ]]が泳ぐ姿を観察することができました.基本地中に生息している本種ですが,水面を滑るように泳ぐこともできます.[[ケラ_広島大学東広島キャンパス|ケラ]]の多い湿地には[[ミイデラゴミムシ_広島大学東広島キャンパス|ミイデラゴミムシ]]も多く見られます.つままれたりすると,腹部の先端から高温のガスを噴射しますがその音が「プーッ!!」とおならのような音であることから「へっぴり虫」と呼ばれてきました.
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ファイル: 20210605ケラ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218588s.jpg|200px|thumb|right|田んぼで泳ぐケラの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 5, 2021)|link=ケラ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210605ミイデラゴミムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218639s.jpg|200px|thumb|right|ミイデラゴミムシの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 5, 2021)|link=ミイデラゴミムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ミイデラゴミムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219900s.jpg|200px|thumb|right|ミイデラゴミムシの成虫.死んだミミズを食べている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ミイデラゴミムシ_広島大学東広島キャンパス
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*梅雨時期に見られる蛾を紹介します.[[シンジュサン_広島大学東広島キャンパス|シンジュサン]]はヤママユ科の大型種で,夜に外灯の周りをゆったりと飛翔する姿が見られます.翅には4つの三日月状斑があるのが特徴です.[[アケビコノハ_広島大学東広島キャンパス|アケビコノハ]]は年に数回成虫が出現します.この時期は[[ビロードイチゴ]]などのキイチゴ類の汁を吸うようです.[[ゴマケンモン_広島大学東広島キャンパス|ゴマケンモン]]は地衣類のような模様が特徴で,[[ケンモンミドリキリガ_広島大学東広島キャンパス|ケンモンミドリキリガ]]に似ていますが,本種は梅雨時期にのみ現れ,[[ケンモンミドリキリガ_広島大学東広島キャンパス|ケンモンミドリキリガ]]は晩秋にのみ現れます.
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ファイル: 20210604シンジュサン成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_217982s.jpg|200px|thumb|right|シンジュサンの成虫(メス).メスは翅の形が丸みを帯びる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 4, 2021)|link=シンジュサン_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210606アケビコノハ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219210s.jpg|200px|thumb|right|[[ビロードイチゴ]]の汁を吸うアケビコノハの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 6, 2021)|link=アケビコノハ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ゴマケンモン成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220543s.jpg|200px|thumb|right|ゴマケンモンの成虫.地衣類のような模様をしている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ゴマケンモン_広島大学東広島キャンパス
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2022年1月7日 (金) 01:55時点における最新版

2021年(下半期)の東広島キャンパスの生き物

キャンパスで見られる生き物の2021年7月~12月の情報です.写真や名前をクリックすると解説ページに移動します.解説ページの写真はクリックすると拡大します.

2021

12月

  • 2021.12.11 東広島キャンパスでヤマシギが見られました.キジバトほどの大きさで,林床に潜んでいると保護色のため見つけるのが困難です.

11月

トピックス

  • 東広島キャンパスの上空に2羽のコウノトリが飛来しました.コウノトリは国の特別天然記念物に指定されている大型の鳥類で,国内では一度野生化で絶滅したのちに現在は野生復帰の取り組みがなされています.東広島市にはここ数年間に毎年のように渡来しており,ため池や田んぼなどの周辺で観察されることがあります.

10月

  • 2021.10.26-28 秋が深まり,成熟した赤とんぼの仲間が目に付くようになりました.目にする機会が多いのは,マユタテアカネです.個体数は少ないものの,類似種のヒメアカネマイコアカネも生息するのでオスの識別ポイントを解説いたします.(大きさは マユタテ>マイコ=ヒメ)
  • アキアカネは最もよく名前を知られているトンボの一種ですが,近年は地域によってはまとまった数を見ることができなくなりました.類似種にナツアカネが存在し,成熟したオスは色の違いにより容易に識別可能です.
  • 2021.10.24-31 雨が降ると活発になる生き物のひとつが陸生貝類(カタツムリやナメクジのなかま)です.久しぶりの雨でセトウチマイマイヤマナメクジが這っていました.セトウチマイマイは樹上性で建物の壁や樹木の上で見られ,基本的に軟体部背面に濃色の条線が入るのが特徴です.殻に入る模様や色は個体間の変異が大きく,見ていて飽きさせない魅力があります.ヤマナメクジはきのこが大好物の大型のナメクジで,道を這っていてその大きさに仰天したことのある方も多いのではないでしょうか.また,大型のマイマイ属の一種はキャンパス内での生息域が限られており,見ることができたらちょっとラッキーです.彼らの生息環境の周りでは,大型のオサムシでありカタツムリのなかまの天敵マイマイカブリに食べられたであろう死骸の殻が転がっていることもあります.
  • 2021.10.01-08 秋が深まる中姿を見せた2種の大型鱗翅類(チョウのなかま)を紹介します.昼間に花を訪れていたのはアサギマダラというチョウで,ゆったりとした動きで舞うように飛びます.渡り鳥のように長距離を移動することで知られ,これからの季節東広島キャンパスの周辺にも多くの個体が飛来します.夜間に街灯にくっついていたのはクスサンという大型のガで,東広島キャンパスの周辺では10月の終わりごろまで発生します.後翅に目のような模様(眼状紋という)があり,鳥などの天敵に襲われた際にはねを開いて模様を見せつけ,威嚇します.姿を見せる時間帯も外見も全く異なる2種ですが,ぜひ探してみてください.
  • ビオトープに現れたニホンマムシです.本来夜行性のヘビですが,秋には昼間に見かけることも多くなります.毒ヘビに咬まれるケースはほとんどが気づかずに踏んだり触ったりする場合なので,水辺の近くや茂みを歩くときは足元に注意してください.人の存在に気づくとあちらから逃げていくことが多いので,見つけてもむやみに近づいたり刺激したりしないようにしましょう.東広島キャンパスにはニホンマムシをはじめ人に危害を及ぼすこともある生き物も数多く生息していますが,彼らのことを正しく知り,適切な距離感で観察できるようになると,危険な生き物というだけではない,生態系の一部としての彼らの素顔が見えてくるはずです.
  • こちらは生態実験園に現れたシマヘビです.ニホンアカガエルなどを狙って水辺にいることが多いですが,ニホンマムシと異なり毒牙を持っていません.東広島キャンパスには7種のヘビがいますが,シマヘビニホンマムシと並んで見かける機会が多いヘビです.まれに体のほとんどが黒く染まる黒化型が出現することがあり,そちらは一般にカラスヘビと呼ばれています.

9月

  • 2021.09.16 キャンパス内でスズムシエンマコオロギマツムシが鳴いています.これらは有名な鳴く虫であり,それぞれ鳴き声が印象的です.スズムシは「リーン…リーン…」,エンマコオロギは「コロコロリー…」,マツムシは「チンチロリン」と聞こえる声で鳴きます.いずれも夜にキャンパス内を歩いているとよく聞こえますが,姿を見つけるのはやや難しいです.
  • 森の中では色鮮やかなキノコが見られることがあります.ソライロタケは美しい青色のキノコで,広島県では準絶滅危惧種に選定されています.竹林や広葉樹林などの林床に見られます.アカイボカサタケも同様の環境に見られ,ソライロタケとは対照的な色をしています.モミジタケも林床で見られ,珊瑚のような形が特徴的です.
  • 西条も秋めいて参りましたが,以下3種のセミはまだ鳴き声を聞くことができます.

トピックス

  • 東広島キャンパスで再びムネアカハラビロカマキリが発見されました.キャンパスでは2019年に初めて確認されました.在来のハラビロカマキリに比べ大型で,名前通り胸部が全体的に赤いのが特徴です.本種は中国原産の外来種で,在来種を駆逐することが懸念されています.個別ページに詳細な識別方法が掲載されていますので,キャンパス内で発見された場合は情報提供をお願いします.

8月

  • 2021,08.01-23 夜のキャンパス内では鳴く虫が発生しています.ウマオイ類は林縁部や草地に見られる肉食性のキリギリスで,キャンパスではハヤシノウマオイハタケノウマオイが混生しています.ハヤシノは「スィーーー・チョン」とゆっくりとしたテンポで鳴き,ハタケノは「シ・チョン!シ・チョン!」と早いテンポで鳴くことで識別できます(形態による識別は困難).丈の高いススキが茂る草地では,カヤキリが見られます.日本最大級のキリギリスで,「ジャーーーーー」と非常に大きい声で鳴きます.
  • ヤママユが発生しています.本州で見られる蛾では最大級で,オスは翅が細く,メスは翅が丸いです.ゴマフボクトウも発生しており,細長い形と青い斑紋が特徴です.
  • 2021.08.23 キャンパス内でチッチゼミが鳴いています.キャンパスで最も遅い時期に鳴くセミです.
  • 2021.08.20 キャンパス内でツクツクボウシが鳴いています.
  • 2021.08.04 キャンパス内でクマゼミが鳴き始めました.
  • 2021.08.03 キャンパス内でミンミンゼミが鳴き始めました.

トピックス

  • 6月28日に,東広島キャンパスにおいてアライグマが発見されました.5頭の幼獣が固まって見つかったことから構内で繁殖をしている可能性が高いです.アライグマは特定外来生物に指定されており,農業や生態系に大きな影響を与えています.特に学内では,ニホンアカガエルニホンイシガメなど在来の両生類や爬虫類に対する捕食圧が懸念されます.ホンドタヌキニホンアナグマに似ますが,目の周りの黒い模様が左右繋がって見えること,尾が縞々模様であることなどが特徴です.

7月

  • 2021.07.08-07.30 7月上旬~中旬は,ニイニイゼミの声がよく聞こえました.「チィー…」と長く鳴き続けます.日没からは,セミたちの羽化の様子を観察することができました.ヒグラシは薄暗い森林内の低木で,クマゼミは公園や道路脇の植栽樹木などで羽化をしていることが多いです.
  • 夜の林縁部ではウスバカゲロウがよく飛んでいます.翅には目立った模様はなく,ゆらゆらと飛翔します.砂地にすり鉢状の巣を作るアリジゴクとはこのウスバカゲロウの幼虫のことです.アリジゴクは巣に落ちた虫などを大アゴで捕らえ,体液を吸い取ります.
  • 7月中旬まではあまり見られなかったミヤマクワガタですが,下旬になるにつれて樹液を吸う姿を観察できるようになりました.カブトムシは7月を通して個体数が多く,オス同士で激しく争う様子も見られました.ベニスズメなどのスズメガ類も夜に樹液を吸っていました.
  • 昼の樹液にはカナブン類が多く見られます.東広島キャンパスでは主にカナブンアオカナブンの2種がよく見られます.まれにオオムラサキが樹液に集まる姿も観察することができます.薄暗い林内では,昼間でもオニベニシタバが樹液を吸いに現れます.
  • 枝の切れ端に擬態しているツマキシャチホコ類です.クロツマキシャチホコはキャンパスで最も個体数の多いツマキシャチホコ類で,翅頂の黄白色紋の前縁が茶褐色に色づいています.一方のムクツマキシャチホコは,キャンパス内での個体数は少なく,翅頂の黄白色紋の前縁は黒色に縁取られます.また,翅の中央付近の白斑が目立ちます.これら2種に加え,日本にはツマキシャチホコとタカサゴツマキシャチホコの計4種のツマキシャチホコ類が分布しています.モンクロシャチホコはこれらにあまり似ていませんが,同じ属に分類されます.
  • キリギリスの仲間です.日当たりの良い草地ではニシキリギリスが鳴いています.「チョン・ギース!」と断続的に鳴きます.湿った丈の低い草地ではヒメギスが見られます.全体的に黒褐色をしており,弱く短い音で「シリリリリ…」と鳴きます.夜間の樹上や薮ではヤブキリが鳴きます.ヒメギスよりも強い音で「シリリリリ…」と鳴きます.
  • 2021.06.22-07.07 6月下旬から7月にかけても,雨が降る日が続きました.小雨が降る生態実験園ではオタマジャクシから変態したばかりのニホンアカガエルシュレーゲルアオガエルの幼体が数多く見られます.林縁の葉上では陸生プラナリアであるゲオプラナ亜科の一種も観察することができました.コウガイビル同様多くの眼点(視覚器官)をもち,小動物を捕らえて捕食します.
  • アラカシの樹液ではノコギリクワガタが見られました.大型のクワガタムシで雌雄ともに赤みを帯びます.オスは大きさによって大アゴの形が異なり,大型個体では湾曲し小型個体では真っ直ぐになります.樹液にはスズメバチの仲間も飛来するので観察の際には要注意です.他のスズメバチは深夜には樹液に集まらないことが多いですが,オオスズメバチの女王やモンスズメバチは夜明けまで滞在していることがあり,懐中電灯目掛けて飛んでくることもあります.その際には慌てずライトを消して対処しましょう.
  • 樹液に集まるヤガ科には,Catocala(カトカラ)というグループが存在します.後翅に鮮やかな斑紋をもつ蛾が多く,初夏~晩夏にかけて観察することができます.ここでは,カトカラの中で○○キシタバという名を冠する種を掲載します.(おおよその出現時期順に並べています.)
  • ガマヨシなど,抽水植物の多いため池ではアオヤンマが生息します.全身が鮮やかな緑色をしており,抽水植物の間を縫うように飛びます.また,同様に水草の豊富なため池にはチョウトンボも見られます.蝶のようにひらひらと舞うように飛び,東広島キャンパスでは数も多く目にする機会が多いトンボです.湿地では日本最小のトンボであるハッチョウトンボが見られます.
  • 東広島キャンパスで見られる大型のコガネムシには,コフキコガネオオコフキコガネがいます.両種ともに体表が細毛で覆われているのが特徴ですが,名が指すほど体長に差がなく,やや識別に難儀します.しかし,コフキでは毛の色が黄褐色なのに対し,オオコフキでは毛の色が灰白色といった特徴があります(これらの毛は脱落している場合もあるので注意).ヒメコガネは変異の大きいコガネムシで,赤・緑・青と様々な色の個体を見つけることができます.ドウガネブイブイアオドウガネもよく見られるコガネムシです.

6月

  • 2021.06.13-18 東広島キャンパスではゲンジボタルが舞っています.主に小川や渓流を生息地とし,日本産ホタルの中でも大型種で光もよく目立ちます.かつてはキャンパス内の湿地でヘイケボタルも多く見られましたが,アメリカザリガニの侵入などとともに激減し,現在では数年に一度目撃されるのみになってしまいました.これらの2種に加え,キャンパス内ではオオマドボタルオバボタルムネクリイロボタルの計5種が確認されています.後3種は昼行性で,強く発光することはありません.ここではオオマドボタルを除いた4種の写真を掲載します.
  • アラカシアベマキなどのブナ科から染み出す樹液に多くのクワガタムシが集まるようになりました.スジクワガタコクワガタは同所的に見られ酷似していますが,スジクワガタの大型個体(オス)では大顎の内歯が二股に分かれて2本に見え,一方コクワガタの大型個体(オス)では大顎の内歯が1本だけであることで識別できます.しかし,メスやオスの小型個体では当てはまらないため要注意です.ネブトクワガタは他の甲虫が集まらない樹種(モミケンポナシなど)に集まっていることが多いです.
  • 梅雨期はイラガ科の蛾をよく見かけます.多くの種で幼虫がデンキムシと呼ばれる有毒の派手なケムシですが,成虫は無毒です.ヒロヘリアオイラガクロシタアオイラガアオイラガなどのアオイラガ類は緑と褐色を基調としており,やや同定が難しいグループです.
  • 葉が茂り見つけづらくはなりましたが,早朝や夕方には夏鳥の活発な姿が見られます.ホトトギスはオスは「テッペンカケタカ!」と聞きなしされる声でよく鳴いていますが,姿を観察するのはやや難しいです.コサメビタキは秋の渡り期まではキャンパス内で見ることができます.オオルリは朝にネズの一番上にとまって囀る様子を観察することができました.
  • 初夏の間にしか鳴き声を聞くことができないバッタ類の紹介をします.ナキイナゴススキなどが茂る丘陵の草地に多く,オスは日中脚と翅をこすり合わせて「ジキジキジキ...」と鳴きます.キンヒバリ生態実験園ふれあいビオトープの湿地に多く,主に夜間「リッリッリッリーー」と高い声で鳴きます.コガタコオロギは空き地や荒地の物陰で「ビー!!」と鳴き,意識すると夜の広大通りやブールバールでよく鳴いているのがわかります.
  • 6月の上旬~中旬にかけては,アカシジミウラナミアカシジミなど樹上性のシジミチョウであるゼフィルスを観察することができました.夕方になると活性が高まり,コナラアベマキの周囲を飛翔する姿が見られます.ゴイシシジミは成虫がササ類につくアブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)の分泌液を吸うため,ササの茂る環境で観察されます.
  • 2021.06.5-06.12 キャンパス内で見られるコマチグモ科3種の紹介です.カバキコマチグモは在来種のクモの中でも強い毒をもつとされ,不用意に掴むと咬まれる恐れがあるので,観察の際には要注意です.本種はススキが繁茂する草地で見られることが多いですが,後2種は樹上性です.アシナガコマチグモは雌雄ともに足が長く,夜になると樹上を活発に動きます.ヤサコマチグモは前2種に比べると小型のコマチグモで,メスでは脚が短いです.本種も夜に樹上を徘徊しています.
  • 田植えが終わった生態実験園の水田では、ケラが泳ぐ姿を観察することができました.基本地中に生息している本種ですが,水面を滑るように泳ぐこともできます.ケラの多い湿地にはミイデラゴミムシも多く見られます.つままれたりすると,腹部の先端から高温のガスを噴射しますがその音が「プーッ!!」とおならのような音であることから「へっぴり虫」と呼ばれてきました.


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