「系統解析について」の版間の差分
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2021年8月28日 (土) 06:24時点における最新版
系統解析について
系統解析
- 生物の歴史を明らかにすること.
- 過去には形態形質にもとづいて解析が行われていたが,現在では分子情報にもとづいた研究が一般的.
分子系統解析 molecular phylogenetic analysis
- DNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列などの生体高分子の配列情報を用いて生物種やタンパク質などの系譜を推定するもの.
系統樹について
- 進化の過程を推測し,木の形に表したもの.系統樹は,近似的に各生物の系統関係を表したものである.はじめに遺伝子の交流がなくなり(隔離),次に個体群の交流がなくなり,さらに形態が変化して,最後に種が分化する.現在では一般にDNAの塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列などの分子データを用いることが多い.
系統樹構築法
- 距離行列法 Distance matrix method
- 平均距離法 UPGMA,Unweighted Pair-Group Method with Arithmetric mean
- 近隣結合法 Neighbor-Joining method (NJ)
- 最節約法(最節約法)Maximum Parsimony method (MP)
- 最尤法 Maximum Likelihood method (ML)
系統樹のもつ意味合い
- さまざまな研究を行う上での基礎データとなりうる.
- 化石や種の解釈とは異なり,統計的に客観的な信頼の目安が得られる.
- データが増えれば着実にモデルがより現実的になり,正しい系統樹に収斂していくことが期待できる.
系統樹を読む上での注意点
- ランダムな変動を伴うため,限られたデータからいつも正しい系統樹が導かれるとは限らない.
- 少ない数の遺伝子のデータを用いた場合,あくまでも種の系統樹ではなく,遺伝子の系統樹である.
- モデルや仮定のため,実際の進化過程の近似であり,多かれ少なかれ必ず現実との間にずれが生じる可能性がある.
参考文献
関連ページ
- 分子系統学
- 分子系統解析
- 系統解析について
- 坪田博美・有川智己. 2003. 分子系統解析法. 日本蘚苔類学会記念出版物編集委員会(編), コケ類研究の手引き, 79-88 pp.
- 坪田博美・有川智己. 2011. 新・分子系統解析法. 日本蘚苔類学会創立40周年記念出版委員会(編), 改訂新版・コケ類研究の手引き, 69-82 pp. 日本蘚苔類学会, 東広島. [Tsubota, H. & Arikiawa, T. 2011. Molecular phylogenetic inference. In Furuki, T., H. Akiyama, T. Arikawa & M. Itouga, Methids in Bryological Research, newly revised edition, 69-82 pp. The Bryological Society of Japan, Higashi-hiroshima.]
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