「DNAバーコーディング」の版間の差分
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DNAバーコーディングでは,標準化された領域のDNAの塩基配列(マーカー)を用いて生物種を特定する.マーカーとして利用される領域は,種内変異が少ない一方で種間変異の大きい領域が理想的であり,そのような性質をもつ多くの領域がDNAバーコーディング領域としていくつか提案されている.また,DNAバーコーディングに用いられる塩基配列は,PCRを使った増幅の際に,種特異的なプライマーではなく,多くの分類群で共通して利用できるユニバーサルプライマーが利用でき,かつ比較的短い領域が好ましい. | DNAバーコーディングでは,標準化された領域のDNAの塩基配列(マーカー)を用いて生物種を特定する.マーカーとして利用される領域は,種内変異が少ない一方で種間変異の大きい領域が理想的であり,そのような性質をもつ多くの領域がDNAバーコーディング領域としていくつか提案されている.また,DNAバーコーディングに用いられる塩基配列は,PCRを使った増幅の際に,種特異的なプライマーではなく,多くの分類群で共通して利用できるユニバーサルプライマーが利用でき,かつ比較的短い領域が好ましい. | ||
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2015年1月6日 (火) 20:33時点における版
DNAバーコーディング DNA barcoding
DNAバーコーディング(DNA barcoding)は,Hebert et al.(2003)によって提唱された手法で, DNAの配列情報を使って生物を同定するものである.近年,DNAのシークエンスが容易になり,様々な分野で広く行われるようになっている(Meier,2008).
標本庫に収蔵されている標本は,すべてが完全標本とは限らず,さまざまな状態のものが存在する.例えば,花や果実がないものや,時期や成長段階の違いにより同定に必要な形態が確認できないものがある.また,標本によっては破損や虫害などによる劣化で状態が悪く,断片的な情報しか得られない場合もある.これらの標本について同定を行う必要がある場合に,有効な手法のひとつとしてDNAバーコーディングがあげられる.DNAバーコーディングは,同定したい生物の形態情報ではなくDNAの塩基配列情報を使って同定する手法である(Hebert et al. 2003a).
DNAバーコーディングの原理
DNAバーコーディングは,専門家の同定した証拠標本から得られた配列情報(バーコード)のデータベース(DNAバーコードライブラリ)や検索システムからなる生物種同定支援システムを利用して,もっとも類似する配列情報を同定結果とする(Hebert et al. 2003a, 神保ほか 2008, Krishnamurthy & Francis 2012).実際に,これまで同定が困難であった標本や外来種に対するDNAバーコーディングの適用で,種や属レベルでの同定が可能になっている(坪田ほか 2012b, 2013, 2014b, cなど).
DNAバーコーディングで用いるマーカー
DNAバーコーディングでは,標準化された領域のDNAの塩基配列(マーカー)を用いて生物種を特定する.マーカーとして利用される領域は,種内変異が少ない一方で種間変異の大きい領域が理想的であり,そのような性質をもつ多くの領域がDNAバーコーディング領域としていくつか提案されている.また,DNAバーコーディングに用いられる塩基配列は,PCRを使った増幅の際に,種特異的なプライマーではなく,多くの分類群で共通して利用できるユニバーサルプライマーが利用でき,かつ比較的短い領域が好ましい.
引用文献
- Hebert 2003.