宮島の植物 宮島の植物と自然

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宮島の植物

豊かな植物相

 宮島で見られる植物は非常に多く,これまでに700 種以上の維管束植物が確認されています.この数は,広島県で確認されている植物の数の約1/3 です.

本土側と異なる植物相

 宮島は,本土に近いにもかかわらず,植物の種類が本土側とは大きく異なります.

1.貴重な植物が存在します.また,普通に見られる植物であっても,人の影響を免(まぬが)れて,自然の状態で生活していることに価 値(かち)があります.理由として,豊(ゆた)かな自然植生が存在することが考えられます.例えば,オオカグマ,カギカズラカンコノキカンザブロウノキ,コケセンボンギク,コテリハキンバイ,コバンモチ,シロバイ,シバナ,ヒメハシゴシダ,ヒナノシャクジョウ,ホウライカズラ,ホウロクイチゴ,ホンゴウソウ,マツバラン,ミヤジマシモツケ,ミミズバイ,モロコシソウ,ヤマモガシなどがあげられます.

2.貴重な植物が多く存在する一方で,本土や他の島に普通に見られる植物が非常に少ない傾向があります.とくに,里山(さとやま)の植物や人里(ひとざと)や路傍(ろぼう)に見られる植物が欠如(けつじょ)しているか非常に少ない傾向があります.理由として,農業がほとんど営(いとな)まれてこなかったことが考えられます.前者の例としてはアベマキ,イヌツゲ,コナラ,クリ,ナツハゼ,ネザサ,フジ,後者の例としてはウツボグサ,キンミズヒキ,ササクサ,スギナ,スズメノテッポウ,チヂミザサ,ツリガネニンジン,ノアザミ,ノビル,ヒガンバナなどがあげられます.

分布の上で貴重な植物

 宮島は,植物の分布を考える上で重要な場所です.宮島では,暖(あたた)かいところに生育(せいいく)する植物と,寒(さむ)いところに生育する植物が共存(きょうぞん)しています.あるいは,宮島付近を北限(ほくげん)にする植物や,広島県では宮島以外ではほとんど見られない植物も多くあります.例えば,ヤマモガシ,コバンモチ,タイミンタチバナ,モロコシソウ,ハスノハカズラ,ナンゴクウラシマソウ,ホウロクイチゴ,ヒメハシゴシダ,オオカグマなどがあげられます.また,ホンゴウソウやヒナノシャクジョウ,シロシャクジョウなどの腐生(ふせい)植物も確認されています.

動物への耐性をもつ植物

 宮島にはニホンジカなどの大型哺乳類(ほにゅうるい)が存在するため,動物からの採食圧(さいしょくあつ)に耐(た)えたり,食べられないようなしくみをもつ植物が多く見られます.例えば,カンコノキホウロクイチゴアセビシキミ,シバなどがあげられます.

「宮島の植物と自然」内のページ

「宮島の植物と自然」(広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所 2009)内で掲載されているページ.

  • 24-25 pp.

文献(引用)


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