広島県の主要遺跡/冠遺跡群

提供: 広島大学デジタル博物館
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冠遺跡群(廿日市市吉和)

冠遺跡群は石器石材として広く利用される冠山安山岩(かんむりやまあんざんがん)の石材原産地に形成された遺跡群です。旧石器時代を中心として、縄文時代、弥生時代の遺跡が数十ヶ所以上確認されています。 これまで、広島県教育委員会、(財)広島県埋蔵文化財調査センター、広島大学によって発掘調査が行われており、旧石器時代の石材採集や石器製作の様子が少しずつ明らかにされています。

これまで、冠遺跡A地点・B地点・C地点・D地点や冠遺跡スキー場頂上地点などの発掘調査が行われ、後期旧石器時代を中心に、縄文時代早期・前期・後期、弥生時代の遺構・遺物が発見されています。 冠山安山岩がいつ頃から利用され始めたのかは不明ですが、おそくとも後期旧石器時代の初め頃には利用していたことが明らかにされています。また、広島県教育委員会の発掘調査によって、冠遺跡スキー場地点周辺には大型の原石(転石)が広く分布し、地層が薄くなった部分に露出した原石を後期旧石器時代前半(約30000年前)に利用していたことがわかりました。このほかに、斜面の裾や河原に堆積した転石を石器の石材として広く利用しているようです。

後期旧石器時代の遺跡は、出土の石器群から見て、後期旧石器時代前半期・後半期・末の大きく3つの時期に形成されています。後期旧石器時代前半期の遺跡は、冠遺跡D地点、冠遺跡スキー場頂上地点など冠遺跡群が位置する冠高原西部を中心に分布しているようです。後期旧石器時代後半期の遺跡は冠高原の全域で確認することができ、冠山安山岩がもっとも大規模に利用された時期です。後期旧石器時代末は、冠遺跡第10地点・第11地点や冠遺跡D地点・第4地点など冠高原の低地部を中心として点々と確認することができます。