広島県の主要遺跡/帝釈馬渡岩陰遺跡

提供: 広島大学デジタル博物館
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帝釈馬渡岩陰遺跡(比婆郡東城町)

帝釈峡遺跡群は広島県北西部の石灰岩地帯に立地している旧石器時代~近世の遺跡群で、現在52遺跡が確認されています。遺跡群の主体は石灰岩の岩陰(いわかげ)や洞窟(どうくつ)を利用した縄文時代の遺跡です。

帝釈馬渡岩陰遺跡は帝釈峡遺跡群調査の端緒となった遺跡で、1962年から3回の発掘調査が行われています。発掘調査では、旧石器時代から縄文時代前期に及ぶ5枚の文化層が発見されました。最下層の第5層は旧石器時代の文化層で、槍先形尖頭器(やりさきがたせんとうき)を製作する際にできる調整剥片やそれらを利用した削器(さっき)や石錐(いしきり)が少量出土しています。第4層では、無文土器、槍先形尖頭器(有茎尖頭器)、石鏃などが出土しました。帝釈峡遺跡群の縄文時代の中でもっとも古く位置づけられる資料です。また、第4層からはオオツノジカが出土しています。オオツノジカは大型の絶滅動物ですが、縄文時代の初頭までこの地域では生き残っており、狩猟の対象となっていたことがわかります。