タワヤモリ

提供: 広島大学デジタル博物館
Gekko tawaensisから転送)
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タワヤモリ成体(メス).岩の隙間で集団越冬していた.(広島県; 撮影: 宗像優生, Mar. 6, 2024)
タワヤモリ成体(メス).激しく体色変化する.(広島県; 撮影: 宗像優生, Mar. 6, 2024)
タワヤモリ成体頭部(広島県三原市; 撮影: 池田誠慈, Dec. 18, 2015)

タワヤモリ Gekko tawaensis

分類

動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 爬虫綱 Reptilia > 有鱗目 Squamata > トカゲ亜目 Lacertilia > ヤモリ科 Gekkonidae > ヤモリ属 Gekko > タワヤモリ Gekko tawaensis

解説

  • 近畿・中国・四国・九州の瀬戸内海沿岸部と島嶼部,四国の太平洋側に分布する日本固有種.
  • 広島県では,島嶼部や沿岸部の低山地にわずかに生息している.
  • 島嶼部ではウバメガシトベラ,沿岸部ではアカマツが生えるような乾燥した岩場を好む.
  • 肢の指の裏には微細な毛が密集した指下板(しかばん)があり,ファンデルワールス力(van der Waals forces)により垂直な壁面などに吸着することができる.
  • 本種は尾の付け根の両側に側肛疣(そっこうゆう)という,いぼ状構造の大型鱗を1対もつ.オスのものはメスより大きい.
  • 類似種のニホンヤモリは総排泄腔の上に分泌物を出す腺孔(前肛孔(ぜんこうこう))をもつが,本種は前肛孔をもたない.
  • ニホンヤモリとの識別点は,本種の胴背面には大型の顆粒状鱗(かりゅうじょうりん)がないこと,側肛疣が1対であること,前肛孔をもたないこと,尾の付け根の斑紋がW字型でないことなどである.
  • 和名並びに学名の由来は,現在の香川県さぬき市多和(たわ)で発見されたことによる.
  • 咬まれると「一日に七分(約2cm)」ずつ腐るという言い伝えから,七分蛇(ひちぶじゃ,またはひちびしゃ)と呼ばれるが,無毒.広島県北部の一部では,小型サンショウウオを「ひちぶしょう」と呼んでいるが,どちらも人里離れた所に生息する得体の知れない生き物ということから,毒を持っているのではないかと疑われたようだ.

天然記念物・RDB

  • 環境省RDBカテゴリ:準絶滅危惧(NT)
  • 広島県RDBカテゴリ(2003):絶滅危惧II類(VU)
  • 広島県RDBカテゴリ(2011):絶滅危惧II類(VU)
  • 広島県RDBカテゴリ(2021):絶滅危惧II類(VU)
  • 「広島市の生物」(広島版レッドデータブック):広島市の絶滅のおそれのあるもの・軽度懸念

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

  • なし

英名

  • Tawa gecko

広島県方言

  • ひちぶ,ひちぶしゃ,ひちびしゃ(広島県島嶼部)
  • とびはみ(四国)

ギャラリー

備考

文献(引用)

更新履歴

  • 2015.11.26 ページ作成.
  • 2015.12.29 解説追加.
  • 2021.05.28 ギャラリーに変更.

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