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* 本州(関東平野,仙台平野を除く)・四国・九州に分布.国外では,朝鮮半島・中国・ロシア沿海州の一部に分布.
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* 成熟したオスは金色や黄緑色になり,雌雄で体色が異なる.
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* 背面に背中線があり,腹面には模様がない点で[[ナゴヤダルマガエル]]と区別できる.
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* 繁殖期は4月下旬~5月中旬の,田植えの準備がちょうど終わった頃.
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* 幼生(オタマジャクシ)の尾びれには斑紋がない.成長すると背面に背中線が出て,内臓は透けて見えない.
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* 水田が乾田化され,夏期に行われる「中干し」により生存率が下がり,個体数は減少傾向にある.
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* 水田のような止水域は繁殖場所に使われるが,取水口付近に作られる「ひよせ(陽寄せ)」や排水口(尻水)付近に作られる用水路などは成体や幼体のよい待避所となり,そのようなものが水田に隣接して残っているところでは個体数が多い傾向にあると思われる.
  
== 天然記念物・RDB ==
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ファイル:20150404トノサマガエル(オス)池田撮影IMG_0426.JPG|200px|thumb|right|トノサマガエル(オス).背面の中央に背中線をもつ.(三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Apr. 4, 2015)
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ファイル: 20210525トノサマガエルオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_212470s.jpg|200px|thumb|right|鳴くトノサマガエルの成体(オス).鳴嚢が両頬にある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 25, 2021)
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ファイル:20150615トノサマガエル_廿日市市宮島町_田守撮影_DSC_0137.JPG|200px|thumb|right|トノサマガエル(広島県廿日市市宮島町; 撮影: 田守泰裕, Jun. 15, 2015)
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ファイル:20160522トノサマガエル幼生背面_東広島市西条町_池田撮影_IMG_10555.JPG|200px|thumb|right|トノサマガエルの幼生(オタマジャクシ)の背面.成長すると背中線が現れる.(広島県東広島市西条町; 撮影: 池田誠慈, May 22, 2016)
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ファイル:20160522トノサマガエル幼生側面_東広島市西条町_池田撮影_IMG_10572.JPG|200px|thumb|right|トノサマガエルの幼生(オタマジャクシ)の側面.体背面や尾筋に不明瞭な黒点がある.尾びれには明瞭な網目状模様がない.(広島県東広島市西条町; 撮影: 池田誠慈, May 22, 2016)
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ファイル:20160522トノサマガエル幼生水上側面_東広島市西条町_池田撮影_IMG_10579.JPG|200px|thumb|right|水上に出したトノサマガエルの幼生(オタマジャクシ)の側面.体背面や尾筋に不明瞭な黒点がある.尾びれには明瞭な網目状模様がない.(広島県東広島市西条町; 撮影: 池田誠慈, May 22, 2016)
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ファイル:20160522トノサマガエル幼生腹面_東広島市西条町_池田撮影_IMG_10582.JPG|200px|thumb|right|トノサマガエルの幼生(オタマジャクシ)の腹面.内臓は透けて見えない.(広島県東広島市西条町; 撮影: 池田誠慈, May 22, 2016)
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ファイル:20180727トノサマガエル幼体_東広島市鏡山_池田撮影_IMG_30203s.JPG|200px|thumb|right|トノサマガエル幼体(広島県東広島市鏡山; 撮影: 池田誠慈, Jul. 27, 2018)
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== 備考 ==
 
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* 2015.12.11 参考文献追加.
 
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2021年6月8日 (火) 18:53時点における版

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トノサマガエル(オス).オスには婚姻色が現れるため雌雄で体色が異なる.オスの基色は金色ないし緑色.(三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Apr. 4, 2015)
トノサマガエル(オス)の腹面.腹面には模様がない.オスは前肢第1指に灰褐色の婚姻瘤(こんいんりゅう)をもつ(白矢印).(三原市沼田東町; 撮影: 池田誠慈, Apr. 4, 2015)
鳴くトノサマガエルの成体(オス).生態実験園では2年前から繁殖が確認されている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 28, 2020)

トノサマガエル Pelophylax nigromaculatus

分類

動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 両生綱 Amphibia > 無尾目 Anura > アカガエル科 Ranidae > トノサマガエル属 Pelophylax > トノサマガエル Pelophylax nigromaculatus

解説

  • 本州(関東平野,仙台平野を除く)・四国・九州に分布.国外では,朝鮮半島・中国・ロシア沿海州の一部に分布.
  • 広島県では,沿岸部から山間部に分布.
  • 成熟したオスは金色や黄緑色になり,雌雄で体色が異なる.
  • 背面に背中線があり,腹面には模様がない点でナゴヤダルマガエルと区別できる.
  • 繁殖期は4月下旬~5月中旬の,田植えの準備がちょうど終わった頃.
  • 幼生(オタマジャクシ)の尾びれには斑紋がない.成長すると背面に背中線が出て,内臓は透けて見えない.
  • 水田が乾田化され,夏期に行われる「中干し」により生存率が下がり,個体数は減少傾向にある.
  • 水田のような止水域は繁殖場所に使われるが,取水口付近に作られる「ひよせ(陽寄せ)」や排水口(尻水)付近に作られる用水路などは成体や幼体のよい待避所となり,そのようなものが水田に隣接して残っているところでは個体数が多い傾向にあると思われる.

天然記念物・RDB

  • 環境省RDBカテゴリ:準絶滅危惧(NT)
  • 広島県RDBカテゴリ(2011):準絶滅危惧(NT)

慣用名・英名・広島県方言

慣用名

英名

  • black-spotted pond frog

広島県方言

  • かえる
  • どんびき
  • とのさま

ギャラリー

備考

参考文献

  • 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島.
  • 前田憲男・松井正文. 1999. 改訂版 日本カエル図鑑. 233 pp. 文一総合出版, 東京.
  • 松井正文・関 慎太郎. 2008. カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 79 pp. 文一総合出版, 東京.
  • 国領康弘. 1979. トノサマガエル. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 146-147. 家の光協会, 東京.

更新履歴

  • 2015.07.12 ページ作成.
  • 2015.12.11 参考文献追加.

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