「クラスター根」の版間の差分
提供: 広島大学デジタル博物館
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[[ファイル: 20210628ヤマモモクラスター根_廿日市市宮島産_愛原撮影_P6282569.JPG |200px|thumb|right|ヤマモモのクラスター根(水耕栽培)(廿日市市宮島町; 撮影: 愛原健司, Jun. 28, 2021)]] | [[ファイル: 20210628ヤマモモクラスター根_廿日市市宮島産_愛原撮影_P6282569.JPG |200px|thumb|right|ヤマモモのクラスター根(水耕栽培)(廿日市市宮島町; 撮影: 愛原健司, Jun. 28, 2021)]] | ||
[[ファイル: 20210420ヤマモモクラスター根_廿日市市宮島産_愛原撮影_P4202350s.JPG |200px|thumb|right|ヤマモモのクラスター根(根箱栽培)(廿日市市宮島町; 撮影: 愛原健司, Apr. 20, 2021)]] | [[ファイル: 20210420ヤマモモクラスター根_廿日市市宮島産_愛原撮影_P4202350s.JPG |200px|thumb|right|ヤマモモのクラスター根(根箱栽培)(廿日市市宮島町; 撮影: 愛原健司, Apr. 20, 2021)]] | ||
+ | =形態= | ||
*低リン耐性の高い植物が形成する特殊な形態の根. | *低リン耐性の高い植物が形成する特殊な形態の根. | ||
*小根が密になり,試験管ブラシのような構造となる. | *小根が密になり,試験管ブラシのような構造となる. | ||
+ | =生理= | ||
*表面積を拡大するだけでなく,土壌中に未利用のまま残っている難利用性リンを有効に利用するための有機酸および酸性ホスファターゼを爆発的に分泌させることが知られている. | *表面積を拡大するだけでなく,土壌中に未利用のまま残っている難利用性リンを有効に利用するための有機酸および酸性ホスファターゼを爆発的に分泌させることが知られている. | ||
+ | =形成種= | ||
*1889年,Englerによって初めて観察・記述された.Proteaceae(ヤマモガシ科)で見つかったことから,プロテオイド根(Proteoid Root)と名付けられたが,のちに他の植物でも似たような形状の根が確認されたため,その見た目からクラスター根と呼ばれるようになった。 | *1889年,Englerによって初めて観察・記述された.Proteaceae(ヤマモガシ科)で見つかったことから,プロテオイド根(Proteoid Root)と名付けられたが,のちに他の植物でも似たような形状の根が確認されたため,その見た目からクラスター根と呼ばれるようになった。 | ||
*マメ科ルピナス属,ヤマモガシ科,ヤマモモ科,モクマオウ科,カバノキ科がよく知られている. | *マメ科ルピナス属,ヤマモガシ科,ヤマモモ科,モクマオウ科,カバノキ科がよく知られている. |
2021年7月2日 (金) 20:17時点における版
クラスター根 Cluster Root
形態
- 低リン耐性の高い植物が形成する特殊な形態の根.
- 小根が密になり,試験管ブラシのような構造となる.
生理
- 表面積を拡大するだけでなく,土壌中に未利用のまま残っている難利用性リンを有効に利用するための有機酸および酸性ホスファターゼを爆発的に分泌させることが知られている.
形成種
- 1889年,Englerによって初めて観察・記述された.Proteaceae(ヤマモガシ科)で見つかったことから,プロテオイド根(Proteoid Root)と名付けられたが,のちに他の植物でも似たような形状の根が確認されたため,その見た目からクラスター根と呼ばれるようになった。
- マメ科ルピナス属,ヤマモガシ科,ヤマモモ科,モクマオウ科,カバノキ科がよく知られている.
- クラスター根を形成する植物種の多くがオーストラリアやアフリカ,南アメリカなどの南半球に分布しているが,北アメリカやヨーロッパ,アジア,太平洋諸島などの温帯地域にも分布している.貧栄養な地域に優占する.
- 日本では宮島自然植物実験所周辺に自生するヤマモガシやヤマモモからクラスター根が見つかっている.
- 2020年,モデル植物としてシロバナルーピン(マメ科ルピナス属)の全ゲノム情報が解読された.