クラスター根
提供: 広島大学デジタル博物館
ナビゲーションに移動検索に移動クラスター根 Cluster Root
概要
- 低リン耐性の高い植物が形成する特殊な形態の根.
- 小根が密になり,試験管ブラシのような構造となる.
機能
- 表面積を拡大するだけでなく,土壌中に未利用のまま残っている難利用性リンを有効に利用するために,有機酸および酸性ホスファターゼを爆発的に分泌させることが知られている.
- リン酸トランスポーターの発現量も増大させるため,リン吸収に特化した構造と言える.
その他
- 1889年,Englerによって初めて観察・記述された.Proteaceae(ヤマモガシ科)で見つかったことから,プロテオイド根(Proteoid Root)と名付けられたが,のちに他の植物でも似たような形状の根が確認されたため,その見た目からクラスター根と呼ばれるようになった。
- マメ科,ヤマモガシ科,ヤマモモ科,モクマオウ科,カバノキ科,グミ科,ウリ科,クワ科で発見されている.
- クラスター根を形成する植物種の多くがオーストラリアやアフリカ,南アメリカなどの南半球を中心に分布しているが,北アメリカやヨーロッパ,アジア,太平洋諸島などの北半球にも分布している.貧栄養な地域に優占する.
- 日本では宮島自然植物実験所周辺に自生するヤマモガシやヤマモモからクラスター根が見つかっている.
- 2020年,モデル植物としてシロバナルーピン(マメ科ルピナス属)の全ゲノム情報が解読された.
- 同様な根の形態変化として,ダウシフォーム根やキャピラロイド根も知られている.