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2010年4月6日 (火) 15:32時点における版
コシダ Dicranopteris linearis Bernh
[= Polypodium linearis Burm.f.; Gleichenia linearis (Burm.f.) Clarke; Dicranopteris dichotoma (Thunb.) Bernh.; Polypodium dichotomum Thunb.]
解説
高さ0.3-3 mになる常緑多年生の中型のシダ.朝鮮半島から日本列島,中国の南部,台湾,東南アジア,インドにかけて,アジアの温帯から熱帯を中心に広く分布.アフリカやオセアニアのものも同種とする場合がある.日本では福島県以南の本州,四国,九州,沖縄など暖帯に広く分布する.広島県では日当たりのよい乾燥した山地の斜面や山麓に群生し,普通.
根茎は堅く,地中を長く匍匐し,赤褐色で,表面に鱗片がなく赤褐色の毛がある.葉(地上部の各中軸枝)はやや硬質で,葉の表面は光沢があり,裏面は黄白色でまばらに毛が残る.ほぼ各節ごとに分枝し,高さ0.3-数 mに達し,葉柄は長さ15-100 ㎝程度.葉の羽片(末端の中軸枝)は長さ10-40 cm,幅3-10 ㎝.コシダの場合,中軸から分枝した主枝の羽片がさらに分岐する.羽片の主枝は柄があるが,副枝は無柄.それぞれの羽片は披針形で羽状に深裂する.各裂片は線形で全縁.初夏葉の裂片の裏面の中肋と辺縁の中程に1列の黄緑色の胞子嚢群(ソーラス)をつける.各胞子嚢群には8-15個の胞子嚢が含まれる.
春に古い羽片の付け根から新芽を出し,葉柄をのばして新しい羽片を展開する.毎年1対または数対の羽片を出すため,羽片が重なり,草丈が高くなり,場所によっては数mに達する.群生した場所では斜面一面がコシダで覆われ,歩くことが困難になるほど茂る.
宮島ではウラジロとともに乾燥した斜面で優占し,森林の遷移に影響を与えていることが知られている(黒田ほか 2001).
籠などの工芸品の素材として利用される.籠など工芸品への利用は分布域の広い範囲で見られる.ウラジロ同様,栽培は難しい.
和名は小さなシダの意味から.
慣用名
備考
- 環境庁コード: 1040
文献(出典)
- 広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(編). 1997. 広島県植物誌. Pp. 832. 中国新聞社, 広島.
- 黒田有寿茂・池田誠慈・向井誠二・豊原源太郎. 2001. 宮島におけるコシダ(Dicranopteris linearis)とウラジロ(Gleichenia japonica)の分布様式とそれら2種の森林群落へ及ぼす影響. Hikobia 13: 387-396.