シロシャクジョウ

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シロシャクジョウの花(広島県廿日市市宮島町; 撮影: 向井誠二, August 17, 2007)

シロシャクジョウ Burmannia cryptopetala Makino

シノニム

その他

分類

種子植物門 Spermatophyta > 被子植物亜門 Angiospermae > 単子葉植物綱 Monocotyledoneae > ヒナノシャクジョウ科 Burmanniaceae > ヒナノシャクジョウ属 Burmannia

解説

  • シロシャクジョウは,ヒナノシャクジョウ科ヒナノシャクジョウ属の腐生植物で,ヒナノシャクジョウ同様に白色で樹林内に生育する.植物体は地上部が高さ3–10 cmで,緑葉をもたず全体が白色.花被は乳白色で,先が黄色い裂片をもち,子房には明瞭な3 枚の翼が発達する.花期は8 月中旬から10 月下旬.日本から台湾,中国の海南島に分布する.
  • 広島県を含む中国地方からはこれまで未記録であり,向井ほか(2007)ではじめて報告された.比較的低海抜の常緑樹林内で見つかった.シロシャクジョウが見つかった場所では,ヒナノシャクジョウやホンゴウソウも生育が確認された.詳細については,向井ほか(2007)を参照されたい.
  • Saprophytic plant, up to 3–10 cm in height. Native to SW areas of Japan, Taiwan and a S area of Chania with an E Asia endemic distribution. White flowers with three wings on ovary open in middle of August to end of October. This is the new record from Hiroshima Pref. in Chugoku District, SW Japan (see Mukai et al. 2007).
  • 小型の多年生草本.光合成を行わない菌従属栄養植物.植物体は白色で,ヒナノシャクジョウにやや遅れて開花が始まる.本種は,2007年8月,宮島自然植物実験所の情報をもとにモロコシソウを調査していた北本照子と澤田つや子両氏によって発見された.発見者らはキリシマシャクジョウとしていたが,宮島自然植物実験所が現地調査を行い,著者のひとり坪田が本種と同定した.向井ほか(2007)によってはじめて宮島から報告され,その後の継続調査でもほぼ同じ場所で毎年開花が確認されている.広島県を含む中国地方では,宮島が現在知られる唯一の自生地である.また,兵庫県(丹波)から過去に報告があるが,1941年以降確認されていない(兵庫県農政環境部環境創造局自然環境課,2010).このため,宮島は本種の現在知られる分布の北限と考えられる.宮島の生育地では花茎数は比較的多く見つかるが,生育場所も限られている.また,一つの個体が不明瞭であるため個体数は正確に把握できていない.生育地は国有林で森林管理所の管理下にある森林内にあるが,今後生育地周辺の植生の遷移の進行に伴い環境が変化することが予想され,シロシャクジョウの生育に悪影響を与えることが危惧される.向井ほか(2007)が述べているように,広島県のレッドリストに追加すべき種である.なお,植物体の写真は,広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所(2007,2009)や坪田・向井(2008)で示されている.
  • 2007年8月,北本照子と澤田つや子によって発見された.発見者らはキリシマシャクジョウであろうとしたが,坪田が本種と確認した.中国地方では唯一の自生地である.個体数は多いが生育範囲は狭く,植生遷移の進行による環境の変化が生育に悪影響を与えることが危惧される.広島県のRDB種に追加すべきである.

花期

分布・産地・天然記念物

  • 廿日市市宮島町

標本

  • 宮島町(Coll. S. Mukai & S. Nagatani m-3743 in HIRO-MY; Coll. T. Seki & S. Mukai m-2007901 in HIRO-MY, HIRO-MY 26602, 27489).

慣用名・英名・広島県方言

備考

  • 環境庁コード:64570

文献(出典)

向井ほか(2007),宮島の植物と自然(2007,2009),坪田・向井(2008)

引用文献


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