「モミジについて」の版間の差分
提供: 広島大学デジタル博物館
ナビゲーションに移動検索に移動(同じ利用者による、間の10版が非表示) | |||
2行目: | 2行目: | ||
= モミジとその仲間 = | = モミジとその仲間 = | ||
− | + | モミジという標準和名をもつ植物は存在せず,[[カエデ属|カエデ属''Acer'']]の植物の総称としてモミジが用いられる.[[カエデ属]]の植物は世界で140種程度あり,おもに北半球に分布する.その中でも,日本や中国といった東アジア地域に多くの種が分布する.[[カエデ属]]植物の特徴は,落葉性で,単葉または羽状複葉の葉が向かい合って枝につき(対生),果実は二つに別れ,それぞれ大きな翼をもち,種子を一つ含むことなどである.果実は成熟するとくるくると回りながら落下する.葉は掌状のものが多い. | |
+ | |||
+ | [[カエデ科|カエデ科Aceraceae]]は約150種ほどがあるが,おもに温帯に分布し,落葉木本が多く,そのほとんどがカエデ属に属す.[[カエデ科]]にはカエデ属以外に中国産のキンセンセキ属''Dipteronia''などがある.[[カエデ科]]は分子系統学的な研究により,ムクロジ科に含まれることが明らかになっており,APG分類体系では[[ムクロジ科]]に含められる. | ||
= 宮島でみられるモミジ・カエデの仲間 = | = 宮島でみられるモミジ・カエデの仲間 = | ||
+ | [[関・中西・鈴木・堀川_1975|関ほか(1975)]]によれば,[[コハウチワカエデ]]と[[イロハモミジ|イロハモミジ(タカオカエデ,イロハカエデ)]],[[オオモミジ]],[[ヤマモミジ]],[[ミヤジマカエデ]],[[テツカエデ]],[[ウリカエデ]],[[ウリハダカエデ]],[[トウカエデ]]が報告されている.[[広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会_1997|広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)]]で,これまで広島県から[[ヤマモミジ]]と報告されたもの([[ 堀川・鈴木・安藤・中西_1959|堀川ほか 1959]],[[山下_1988|山下 1988]]など)は[[オオモミジ]]であると述べられている. | ||
+ | |||
+ | ;[[イロハモミジ]]:葉縁に一重のぎざぎざ(鋸歯)がある.葉は全体に小さい. | ||
+ | ;[[オオモミジ]]:鋸歯が揃っているが、鋸歯が不揃いであるヤマモミジと間違えやすい? | ||
+ | ;ミヤジマカエデ:葉縁の鋸歯の深く鋭い型で現在所在不明? | ||
;コハウチワカエデ:葉の裏に白い毛がある | ;コハウチワカエデ:葉の裏に白い毛がある | ||
+ | ;[[ウリカエデ]]:広島県下の山に点々とあり宮島にもあるが少ない・・ | ||
+ | ;[[ウリハダカエデ]]:県下に広く分布し宮島にも多く、宮島の本来の自然のカエデです。 | ||
+ | ;トウカエデ:中国からきたもので、野生はなく、植えられている。 | ||
+ | ;テツカエデ:中国山地にきわめて希に分布し、ウリハダカエデによく似ているが、葉上面に 細かいしわがり、下面の脈上に毛があることで区別できる。 | ||
− | + | = 広島県で報告されているカエデ属 = | |
− | + | * [[カエデ科|広島県から報告されているもの]] | |
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
− | |||
= 旧リンク = | = 旧リンク = |
2013年11月1日 (金) 20:57時点における版
広島大学 > デジタル自然史博物館 > 植物 > 郷土の植物 > 宮島 > 紅葉情報
モミジとその仲間
モミジという標準和名をもつ植物は存在せず,カエデ属Acerの植物の総称としてモミジが用いられる.カエデ属の植物は世界で140種程度あり,おもに北半球に分布する.その中でも,日本や中国といった東アジア地域に多くの種が分布する.カエデ属植物の特徴は,落葉性で,単葉または羽状複葉の葉が向かい合って枝につき(対生),果実は二つに別れ,それぞれ大きな翼をもち,種子を一つ含むことなどである.果実は成熟するとくるくると回りながら落下する.葉は掌状のものが多い.
カエデ科Aceraceaeは約150種ほどがあるが,おもに温帯に分布し,落葉木本が多く,そのほとんどがカエデ属に属す.カエデ科にはカエデ属以外に中国産のキンセンセキ属Dipteroniaなどがある.カエデ科は分子系統学的な研究により,ムクロジ科に含まれることが明らかになっており,APG分類体系ではムクロジ科に含められる.
宮島でみられるモミジ・カエデの仲間
関ほか(1975)によれば,コハウチワカエデとイロハモミジ(タカオカエデ,イロハカエデ),オオモミジ,ヤマモミジ,ミヤジマカエデ,テツカエデ,ウリカエデ,ウリハダカエデ,トウカエデが報告されている.広島大学理学部附属宮島自然植物実験所・比婆科学教育振興会(1997)で,これまで広島県からヤマモミジと報告されたもの(堀川ほか 1959,山下 1988など)はオオモミジであると述べられている.
- イロハモミジ
- 葉縁に一重のぎざぎざ(鋸歯)がある.葉は全体に小さい.
- オオモミジ
- 鋸歯が揃っているが、鋸歯が不揃いであるヤマモミジと間違えやすい?
- ミヤジマカエデ
- 葉縁の鋸歯の深く鋭い型で現在所在不明?
- コハウチワカエデ
- 葉の裏に白い毛がある
- ウリカエデ
- 広島県下の山に点々とあり宮島にもあるが少ない・・
- ウリハダカエデ
- 県下に広く分布し宮島にも多く、宮島の本来の自然のカエデです。
- トウカエデ
- 中国からきたもので、野生はなく、植えられている。
- テツカエデ
- 中国山地にきわめて希に分布し、ウリハダカエデによく似ているが、葉上面に 細かいしわがり、下面の脈上に毛があることで区別できる。