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− | * 本州と佐渡島に分布する日本固有種. | + | *本州と佐渡島に分布する日本固有種. |
− | * 広島県では,県中央部から中国山地にかけて分布. | + | *広島県では,県中央部から中国山地にかけて分布. |
− | * 樹上性の中型のカエルで,指先には発達した吸盤がある. | + | *樹上性の中型のカエルで,指先には発達した吸盤がある. |
− | * 虹彩は赤みを帯び,鼻孔から眼,鼓膜にかけて褐色の線が入らない.オスはメスに比べて吻端が尖る. | + | *虹彩は赤みを帯び,鼻孔から眼,鼓膜にかけて褐色の線が入らない.オスはメスに比べて吻端が尖る. |
− | * 背面は鮮やかな黄緑色だが,黒紫色に体色変化をすることもある.背面に黒色や赤褐色の斑紋が出る個体もいる. | + | *背面は鮮やかな黄緑色だが,黒紫色に体色変化をすることもある.背面に黒色や赤褐色の斑紋が出る個体もいる. |
− | * 腹面は白色で,灰褐色の模様が入ることがある. | + | *腹面は白色で,灰褐色の模様が入ることがある. |
− | * 近縁種の[[シュレーゲルアオガエル]]とは,大きさが大型であることや虹彩の色が赤みを帯びることなどで識別できる.小さな幼体が[[ニホンアマガエル]]と間違われるが,鼻孔(びこう)から目,鼓膜(こまく)にかけての褐色の線がないことなどで識別できる. | + | *近縁種の[[シュレーゲルアオガエル]]とは,大きさが大型であることや虹彩の色が赤みを帯びることなどで識別できる.小さな幼体が[[ニホンアマガエル]]と間違われるが,鼻孔(びこう)から目,鼓膜(こまく)にかけての褐色の線がないことなどで識別できる. |
− | * 5月下旬~6月下旬の繁殖期には池の上に張り出した木の枝先や水田の周りの雑草に白い泡状の卵塊(泡巣)を作る. | + | *5月下旬~6月下旬の繁殖期には池の上に張り出した木の枝先や水田の周りの雑草に白い泡状の卵塊(泡巣)を作る. |
− | * メス1匹に対し複数のオスが抱接して産卵が行われる. | + | *メス1匹に対し複数のオスが抱接して産卵が行われる. |
− | * 産みたての卵塊は白くねばねばしているが,日が経つにつれて表面が乾燥し茶褐色に変色する. | + | *産みたての卵塊は白くねばねばしているが,日が経つにつれて表面が乾燥し茶褐色に変色する. |
− | * 卵は白色で,約1週間でふ化する.その後雨が降ると卵塊が溶けて崩れ,幼生(オタマジャクシ)は水中に落ちる. | + | *卵は白色で,約1週間でふ化する.その後雨が降ると卵塊が溶けて崩れ,幼生(オタマジャクシ)は水中に落ちる. |
− | * 幼生は成長しても腹壁が薄く内臓が透けて見える.尾は胴に比べて長く,尾ひれに斑紋はない.成長して後肢が生えると指先に吸盤が発達するためアカガエルの仲間やヌマガエルと区別できる. | + | *幼生は成長しても腹壁が薄く内臓が透けて見える.尾は胴に比べて長く,尾ひれに斑紋はない.成長して後肢が生えると指先に吸盤が発達するためアカガエルの仲間やヌマガエルと区別できる. |
− | * 8~9月には変態を終え陸に上がり樹上生活を始める.非繁殖期は樹上で生活していると思われ,発見は難しい. | + | *8~9月には変態を終え陸に上がり樹上生活を始める.非繁殖期は樹上で生活していると思われ,発見は難しい. |
− | == 天然記念物・RDB == | + | ==天然記念物・RDB== |
− | * 「吉水園のモリアオガエル(よしみずえんのもりあおがえる)」(広島県指定の天然記念物)(昭和27年10月28日) | + | *「吉水園のモリアオガエル(よしみずえんのもりあおがえる)」(広島県指定の天然記念物)(昭和27年10月28日) |
− | == 慣用名・英名・広島県方言 == | + | ==慣用名・英名・広島県方言== |
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− | * モリアオ | + | *モリアオ |
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− | * Forest green tree frog | + | *Forest green tree frog |
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− | * [[広島県のカエル]] | + | *[[広島県のカエル]] |
− | == 参考文献 == | + | ==参考文献== |
− | * 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島. | + | *比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島. |
− | * 前田憲男・松井正文. 1999. 改訂版 日本カエル図鑑. 233 pp. 文一総合出版, 東京. | + | *前田憲男・松井正文. 1999. 改訂版 日本カエル図鑑. 233 pp. 文一総合出版, 東京. |
− | * 松井正文・関 慎太郎. 2008. カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 79 pp. 文一総合出版, 東京. | + | *松井正文・関 慎太郎. 2008. カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 79 pp. 文一総合出版, 東京. |
− | * 大河内 勇. 1979. モリアオガエル. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 170-171. 家の光協会, 東京. | + | *大河内 勇. 1979. モリアオガエル. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 170-171. 家の光協会, 東京. |
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2020年10月1日 (木) 13:13時点における版
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モリアオガエル Rhacophorus arboreus
シノニム
分類
動物界 Animalia > 脊索動物門 Chordata > 脊椎動物亜門 Vertebrata > 両生綱 Amphibia > 無尾目 Anura > アオガエル科 Rhacophoridae > アオガエル属 Rhacophorus > モリアオガエル Rhacophorus arboreus
解説
- 本州と佐渡島に分布する日本固有種.
- 広島県では,県中央部から中国山地にかけて分布.
- 樹上性の中型のカエルで,指先には発達した吸盤がある.
- 虹彩は赤みを帯び,鼻孔から眼,鼓膜にかけて褐色の線が入らない.オスはメスに比べて吻端が尖る.
- 背面は鮮やかな黄緑色だが,黒紫色に体色変化をすることもある.背面に黒色や赤褐色の斑紋が出る個体もいる.
- 腹面は白色で,灰褐色の模様が入ることがある.
- 近縁種のシュレーゲルアオガエルとは,大きさが大型であることや虹彩の色が赤みを帯びることなどで識別できる.小さな幼体がニホンアマガエルと間違われるが,鼻孔(びこう)から目,鼓膜(こまく)にかけての褐色の線がないことなどで識別できる.
- 5月下旬~6月下旬の繁殖期には池の上に張り出した木の枝先や水田の周りの雑草に白い泡状の卵塊(泡巣)を作る.
- メス1匹に対し複数のオスが抱接して産卵が行われる.
- 産みたての卵塊は白くねばねばしているが,日が経つにつれて表面が乾燥し茶褐色に変色する.
- 卵は白色で,約1週間でふ化する.その後雨が降ると卵塊が溶けて崩れ,幼生(オタマジャクシ)は水中に落ちる.
- 幼生は成長しても腹壁が薄く内臓が透けて見える.尾は胴に比べて長く,尾ひれに斑紋はない.成長して後肢が生えると指先に吸盤が発達するためアカガエルの仲間やヌマガエルと区別できる.
- 8~9月には変態を終え陸に上がり樹上生活を始める.非繁殖期は樹上で生活していると思われ,発見は難しい.
天然記念物・RDB
- 「吉水園のモリアオガエル(よしみずえんのもりあおがえる)」(広島県指定の天然記念物)(昭和27年10月28日)
慣用名・英名・広島県方言
慣用名
- モリアオ
英名
- Forest green tree frog
広島県方言
- あおがえる
備考
参考文献
- 比婆科学教育振興会(編). 1996. 広島県の両生・爬虫類. 168 pp. 中国新聞社, 広島.
- 前田憲男・松井正文. 1999. 改訂版 日本カエル図鑑. 233 pp. 文一総合出版, 東京.
- 松井正文・関 慎太郎. 2008. カエル・サンショウウオ・イモリのオタマジャクシハンドブック. 79 pp. 文一総合出版, 東京.
- 大河内 勇. 1979. モリアオガエル. 千石正一(編), 原色両生・爬虫類, pp. 170-171. 家の光協会, 東京.
更新履歴
- 2015.10.12 ページ作成.
- 2015.12.11 参考文献追加.
- 2016.02.23 解説追加.
- 2016.11.29 写真追加.
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