「ヤマモガシ 宮島の植物と自然」の版間の差分

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ヤマモガシ科 Proteaceae,ヤマモガシ属 ''Helicia''
 
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== 解説 ==
 
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高さ10 m程度になる常緑高木.幼木やひこばえでは葉に粗い鋸歯があるが,成熟した葉は無毛.葉脈のうち主脈が葉の表側にも突出すること,葉身の基部が葉柄に流れることなどが特徴となる.宮島では花期は7月下旬-8月中旬.花は総状花序で,白い花を多くつけ,よく結実する.果実は長さ約1 cmの楕円形の球形で,晩秋から冬に黒紫色に熟し,年末ごろまで残る.種子はよく発芽するが,個体数はあまり多くない.西南日本,琉球,台湾,中国,インドシナに分布.本科は約80属1500種が知られ,多くは南半球に分布する.日本には本種のみが分布する.広島県RDBの指定種で,県内では宮島以外に小黒神島などの島嶼部で生育が確認されている.宮島は分布の北限に近く,植物地理学的に貴重である.ドライフラワーに利用されるプロテアや食用とするマカダミアナッツ(''Macadamia integrifolia''の種子)も同じ科.和名は「山のモガシ」の意味で,モガシとはホルトノキのこと.
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高さ10 m程度になる常緑高木.幼木やひこばえでは葉に粗い鋸歯があるが,成熟した葉は無毛.葉脈のうち主脈が葉の表側にも突出すること,葉身の基部が葉柄に流れることなどが特徴となる.宮島では花期は7月下旬-8月中旬.花は総状花序で,白い花を多くつけ,よく結実する.果実は長さ約1 cmの楕円形の球形で,晩秋から冬に黒紫色に熟し,年末ごろまで残る.種子はよく発芽するが,個体数はあまり多くない.西南日本,琉球,台湾,中国,インドシナに分布.本科は約80属1500種が知られ,多くは南半球に分布する.日本には本種のみが分布する.広島県RDBの指定種で,県内では宮島以外に[[小黒神島]]などの島嶼部で生育が確認されている.宮島は分布の北限に近く,植物地理学的に貴重である.ドライフラワーに利用されるプロテアや食用とするマカダミアナッツ(''Macadamia integrifolia''の種子)も同じ科.和名は「山のモガシ」の意味で,モガシとはホルトノキのこと.
  
本文中に追記.マカダミアナッツは''Macadamia integrifolia''と''Macadamia tetraphylla'',および両種の雑種から生産される.
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本文を補足.マカダミアナッツは''Macadamia integrifolia''と''Macadamia tetraphylla'',および両種の雑種から生産される.
  
 
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* 48-49 pp.
 
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== 文献(引用) ==
 
== 文献(引用) ==
* Briggs B. G. 1995. ヤマモガシ科. Proteaceae. 朝日百科, 植物の世界 44: 4-250.
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* Briggs B. G. 1995. ヤマモガシ科. Proteaceae. 朝日百科, 植物の世界 44: 4-250.
* [[広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所_2009|広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所(編), 坪田博美・向井誠二.  2009.  宮島の植物と自然, 8版.  160 pp.  広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所, 廿日市.]]
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* [[広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所_2009|広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所(編), 坪田博美・向井誠二.  2009.  宮島の植物と自然, 8版.  160 pp.  広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所, 廿日市.]]
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2021年7月8日 (木) 19:40時点における最新版

広島大学 > デジタル自然史博物館 > 宮島の植物と自然 > 目次 > 宮島の代表的な植物 > ヤマモガシ

廿日市市宮島町 Miyajima Isl., Hiroshima, SW Japan(撮影: 坪田博美.August 200x)

ヤマモガシ Helicia cochinchinensis Lour.

分類

ヤマモガシ科 Proteaceae,ヤマモガシ属 Helicia

解説

高さ10 m程度になる常緑高木.幼木やひこばえでは葉に粗い鋸歯があるが,成熟した葉は無毛.葉脈のうち主脈が葉の表側にも突出すること,葉身の基部が葉柄に流れることなどが特徴となる.宮島では花期は7月下旬-8月中旬.花は総状花序で,白い花を多くつけ,よく結実する.果実は長さ約1 cmの楕円形の球形で,晩秋から冬に黒紫色に熟し,年末ごろまで残る.種子はよく発芽するが,個体数はあまり多くない.西南日本,琉球,台湾,中国,インドシナに分布.本科は約80属1500種が知られ,多くは南半球に分布する.日本には本種のみが分布する.広島県RDBの指定種で,県内では宮島以外に小黒神島などの島嶼部で生育が確認されている.宮島は分布の北限に近く,植物地理学的に貴重である.ドライフラワーに利用されるプロテアや食用とするマカダミアナッツ(Macadamia integrifoliaの種子)も同じ科.和名は「山のモガシ」の意味で,モガシとはホルトノキのこと.

本文を補足.マカダミアナッツはMacadamia integrifoliaMacadamia tetraphylla,および両種の雑種から生産される.

「宮島の植物と自然」内のページ

「宮島の植物と自然」(広島大学大学院理学研究科附属宮島自然植物実験所 2009)内で掲載されているページ.

  • 48-49 pp.

関連ページ

文献(引用)


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