ルーペの使い方

提供: 広島大学デジタル博物館
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ルーペの使い方

ルーペの使い方

ルーペってどんな道具?

ルーペは,高性能の虫めがねです.ただし,虫めがねとは使い方が異なります. 肉眼での観察が難しいコケ植物の様な小さな生物や,葉の裏の腺毛の様な微細な構造などを野外で観察することに適しています. もちろん,観察以外にも骨董品や宝石の鑑定や,精密機械の修理など様々なの用途にも使われます. このページでは,野外観察のためのルーペの使い方について説明していきます.

倍率の決め方

  • 様々な倍率があるため,自らの目的に応じた倍率を使用します.直径が広いものは視野が広いため,観察が容易になります.
  • 10倍の倍率のルーペであれば,幅広い場面で活用できるのでおすすめです.


観察対象による倍率の例

  • コケ植物の観察 10倍
    • 5倍では拡大率が低く,20倍ではピントが合わせにくい.
  • 菌類の観察 15〜25倍
  • 高倍率のものほど,ルーペと観察対象の距離が短くなるため,レンズが傷つかないように注意してください.

ルーペの使い方

  • ルーペは,目のすぐそばに近づけて観察します.
    • 目に近づけることでルーペを通して見える視野の広さが広がるため,観察がしやすくなります.
    • 観察に夢中になると,無意識にルーペが目から離れルーペを動かしてピントを合わせようとしてしまいます.しかし,ルーペを目から遠ざけたり,ルーペの位置を動かして焦点を合わせようとすると往々にして上手く行きません.
    • ルーペを使うときは,まず「目のすぐそばに近づける」ことを特に意識してみてください.
  • ルーペは,観察対象によって使い方が変わってきます.

動かせるものを見るとき

  • 葉っぱや,石の様に手で持つことができるものを観察する時は,頭ではなく観察したいものを持った手を動かしてピントを合わせます.

動かせないものを見るとき

  • 木の樹皮や岩に張り付いたコケ植物や地衣類などの動かすことが難しいものを見る時には,自分の頭を動かしてピントが合うところを探します.
  • 観察の対象のギリギリまで近付いてから,徐々に頭を遠ざけていくとピントが合わせやすいです.

実際に,ルーペを片手に外に出てみよう!

おすすめ(1)エゾスナゴケ

  • 日当たりの良い,やや乾いた場所に生育.ハイゴケとともに生育していることが多い.
  • 霧吹きなどで水をふきかけると,植物体が水を含んで葉が開く.
  • ルーペで見ると,葉先が透明になっていることが分かる.これを透明尖という.
    • よくよく見てみると,透明尖がたくさんの突起(パピラ)があることが分かる.

おすすめ(2)マツゲゴケ

  • サクラやケヤキ, マツなどの樹皮上や古い石垣や墓石上などに生育している葉状の地衣類である.
  • 基部に張り付いているため, 頭を近づけて観察する.
  • 縁の部分に, マツゲの様な器官(シリア)が生えていることが観察できる.
  • 表面が網目状の模様になっていることが観察できる.

参考文献

  • 三浦宏一郎. 1984. 目で見る菌類の採集と観察. 講談社サイエンティフィク.
  • 大村嘉人. 2016.街なかの地衣類ハンドブック.文一総合出版.
  • 大石善隆. 2019. じっくり観察 特徴がわかるコケ図鑑. ナツメ社.
  • 中村俊彦・古木達郎・原田浩. 2002. 野外観察ハンドブック 校庭のコケ. 全国農村教育協会.