「レポートの書き方」の版間の差分
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== レポートの書き方の要点 == | == レポートの書き方の要点 == | ||
− | 用紙はA4判横書きとし,左上1か所をステープラーで留める. | + | *用紙はA4判横書きとし,左上1か所をステープラーで留める. |
− | + | *[[レポート]]には表紙を付け,表紙に,タイトル,学生番号,氏名を記す. | |
− | + | **[[レポート]]の表紙に氏名や学生番号は必ず明記すること. | |
− | + | **電子ファイルで提出の場合,pdfなど指定されたファイル形式で提出すること.メールやLMS(learning management system)で提出する場合,ファイル名に学生番号と氏名,タイトルがわかるようにこれらを含めること. | |
− | 表紙の次のページから本文を書き始める.本文は以下の構成となる. | + | **何の授業の[[レポート]]かわかるように実習名や担当者氏名,実施期間などを記すとなお良い. |
+ | *表紙の次のページから本文を書き始める.本文は以下の構成となる. | ||
===1.序論=== | ===1.序論=== | ||
− | 本論の主題となる問題点,その問題点の背景,その問題点の重要性,実験・実習の目的などを簡潔に解説する. | + | *本論の主題となる問題点,その問題点の背景,その問題点の重要性,実験・実習の目的などを簡潔に解説する. |
===2.方法=== | ===2.方法=== | ||
− | 観察場所,観察日時,採集方法,標本作製法,種の同定方法などを簡潔に記述する. | + | *観察場所,観察日時,採集方法,標本作製法,種の同定方法などを簡潔に記述する. |
===3.結果=== | ===3.結果=== | ||
− | 自身の観察結果(事実)を簡潔に記述する. | + | *自身の観察結果(事実)を簡潔に記述する. |
− | + | **今回の実習では,少なくとも標本リスト(種名のリスト)は1つの結果である.また,それぞれの標本について,自分で観察した結果を書き加えてもよい.あるいは,野外で採集中に観察した事実を書き加えることもできる. | |
− | 今回の実習では,少なくとも標本リスト(種名のリスト)は1つの結果である.また,それぞれの標本について,自分で観察した結果を書き加えてもよい.あるいは,野外で採集中に観察した事実を書き加えることもできる. | + | *結果は,あくまでも自身の観察結果による事実のみを書くのであり,それについての意見や考察は,次の「考察」の中で記述する. |
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− | 結果は,あくまでも自身の観察結果による事実のみを書くのであり,それについての意見や考察は,次の「考察」の中で記述する. | ||
===4.考察=== | ===4.考察=== | ||
− | 自身の観察結果にもとづいた意見や考察を簡潔に論述する.論述する過程で,他の文献で報告された事実を引用する必要がある場合は,自身の観察結果と明確に区別して引用する.たとえば,Dareka氏の論文を引用する場合には,次のような書き方がある. | + | *自身の観察結果にもとづいた意見や考察を簡潔に論述する.論述する過程で,他の文献で報告された事実を引用する必要がある場合は,自身の観察結果と明確に区別して引用する.たとえば,Dareka氏の論文を引用する場合には,次のような書き方がある. |
Dareka(1998)は,宮島の植物は本土の植物と比較して小形であると述べている. | Dareka(1998)は,宮島の植物は本土の植物と比較して小形であると述べている. | ||
宮島の植物は本土の植物と比較して小形になるとの研究報告がある(Dareka 1998). | 宮島の植物は本土の植物と比較して小形になるとの研究報告がある(Dareka 1998). | ||
− | ここで,Dareka(1998)や(Dareka 1998)を文章中に明確に記述することが重要である.もし,Dareka(1998)や(Dareka 1998)を記述しない場合は,論文の盗作ということになってしまう. | + | *ここで,Dareka (1998)や(Dareka 1998)を文章中に明確に記述することが重要である.もし,Dareka(1998)や(Dareka 1998)を記述しない場合は,論文の盗作ということになってしまう. |
− | + | *本文中で文献を引用する場合は,著者の姓とその文献の発行年(西暦)で表記する.著者が2名の場合は,山田・田中(1997)とか,Yamada & Tanaka(1997)のように表記する.著者が3名以上の場合は,最初の著者名のみを記し,山田他(1995)とかYamada et al. (1995)のように表記する[et al.はラテン語et alii(その他の者)の省略形]. | |
− | 本文中で文献を引用する場合は,著者の姓とその文献の発行年(西暦)で表記する.著者が2名の場合は,山田・田中(1997)とか,Yamada & Tanaka(1997)のように表記する.著者が3名以上の場合は,最初の著者名のみを記し,山田他(1995)とかYamada et al. (1995)のように表記する[et al.はラテン語et alii(その他の者)の省略形]. | + | *本文中にDareka (1998)や(Dareka 1998)と引用した文献については,次の「引用文献」中に正確に表記する. |
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− | 本文中にDareka(1998)や(Dareka 1998)と引用した文献については,次の「引用文献」中に正確に表記する. | ||
===5.引用文献=== | ===5.引用文献=== | ||
− | 引用文献とは,本文で引用した文献名のことである.けっして本文を記述するうえで参考にした文献(参考文献)ではない.本文中にDareka(1998)とか(Dareka 1998)と表記した文献のみを,以下の書き方にならって正確に記述する.本文中に表記していない文献は表記することはない. | + | *引用文献とは,本文で引用した文献名のことである.けっして本文を記述するうえで参考にした文献(参考文献)ではない.本文中にDareka(1998)とか(Dareka 1998)と表記した文献のみを,以下の書き方にならって正確に記述する.本文中に表記していない文献は表記することはない. |
単行本の場合: 著者名.発行年.タイトル.ページ数.出版社,出版社所在地名. | 単行本の場合: 著者名.発行年.タイトル.ページ数.出版社,出版社所在地名. | ||
− | (例) 伊藤秀三.1994.島の植物誌.246 pp.講談社,東京. | + | (例) |
+ | 伊藤秀三.1994.島の植物誌.246 pp.講談社,東京. | ||
広木昭三(編).2002.里山の生態学.333 pp.名古屋大学出版会,名古屋. | 広木昭三(編).2002.里山の生態学.333 pp.名古屋大学出版会,名古屋. | ||
植田邦彦.2002.東海丘陵要素の起源と進化.広木昭三(編),里山の生態学,p. 42-57.名古屋大学出版会,名古屋. | 植田邦彦.2002.東海丘陵要素の起源と進化.広木昭三(編),里山の生態学,p. 42-57.名古屋大学出版会,名古屋. | ||
ポーラ ルダル(著),鈴木三男・田川裕美(訳).1997.植物解剖学入門.197 pp.八坂書房,東京. | ポーラ ルダル(著),鈴木三男・田川裕美(訳).1997.植物解剖学入門.197 pp.八坂書房,東京. | ||
− | 著者名は氏名を表記,発行年は西暦表記する.ページ数は全体のページ数が200ある場合は200 pp.とし,その中から30~50ページのみを引用する場合は,p. 30-50のように表記する.出版社所在地名は,本の表紙などに書いてある出版社の住所を見て,その都市名を表記する. | + | *著者名は氏名を表記,発行年は西暦表記する.ページ数は全体のページ数が200ある場合は200 pp.とし,その中から30~50ページのみを引用する場合は,p. 30-50のように表記する.出版社所在地名は,本の表紙などに書いてある出版社の住所を見て,その都市名を表記する. |
+ | *著者名中の(編)はその本の編集者名であることを示し,(訳)は訳者名,(著)は著者名を示す.編集者が特定されていない場合は(著)は省略する. | ||
+ | *著者名が3名以上の場合は,本文中では~他や~et al.と省略したが,引用文献を表記する場合は,全員の氏名を記す. | ||
− | + | 雑誌の場合: 著者名.発行年.タイトル.雑誌名,巻号,ページ. | |
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− | + | (例) | |
+ | 黒田有寿茂・池田誠慈・向井誠二・豊原源太郎.2001.宮島におけるコシダ(Dicranopteris linearis)とウラジロ(Gleichenia japonica)の分布様式とそれら2種の森林群落へ及ぼす影響.Hikobia 13: 387-396. | ||
− | + | *上の例では,Hikobiaという雑誌の13巻の387-396ページにある黒田らの論文を表記している. | |
+ | *くりかえしていうが,(1)文献を引用すること,(2)引用した文献名を本文中に明記すること,(3)本文中に明記した文献を引用文献中に正確に表記すること,の3点は非常に重要である.引用文献を見れば,レポートの著者がどれくらい勉強しているのか,どれくらい問題を解明できたのかなど,ある程度推定することができる. | ||
− | + | ==参考になるサイト== | |
+ | *[https://twc.tsuda.ac.jp/system/upload/file/report(pdf).pdf 飯野朋美・大原悦子(津田塾大学ライティングセンター)] https://twc.tsuda.ac.jp/system/upload/file/report(pdf).pdf | ||
+ | *[[Hikobia]]の[[投稿規定|投稿規定]]([[Contribution_rule|Contribution rule]]) | ||
− | + | ==参考文献== | |
+ | *[[和田_2013|和田秀樹. 2013. 自分の考えを「5分でまとめ」「3分で伝える」技術. 190 pp. KADOKAWA, 東京.]] | ||
+ | *[[河野_2018|河野哲也. 2018. レポート・論文の書き方入門, 第4版. 121 pp. 慶應義塾大学出版会, 東京.]] | ||
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2021年8月14日 (土) 22:19時点における版
レポートの書き方
レポートは感想文ではない.序論・方法・結果・考察・引用文献などから構成されていなければならない.序論では実習の目的など,方法では実習の日程,コース,採集や標本の作成方法,結果では観察や採集した植物,考察では文献を引用しながら観察した結果についての考察を書く.文章は論理的,科学的に記述することを心がける.心情的表現はいっさい不要である.さらに,文章では,(1)自身の観察結果による事実,(2)他者の研究報告による事実,(3)それらの事実にもとづく意見(考察)を明確に区別する.
レポートの書き方の要点
- 用紙はA4判横書きとし,左上1か所をステープラーで留める.
- レポートには表紙を付け,表紙に,タイトル,学生番号,氏名を記す.
- 表紙の次のページから本文を書き始める.本文は以下の構成となる.
1.序論
- 本論の主題となる問題点,その問題点の背景,その問題点の重要性,実験・実習の目的などを簡潔に解説する.
2.方法
- 観察場所,観察日時,採集方法,標本作製法,種の同定方法などを簡潔に記述する.
3.結果
- 自身の観察結果(事実)を簡潔に記述する.
- 今回の実習では,少なくとも標本リスト(種名のリスト)は1つの結果である.また,それぞれの標本について,自分で観察した結果を書き加えてもよい.あるいは,野外で採集中に観察した事実を書き加えることもできる.
- 結果は,あくまでも自身の観察結果による事実のみを書くのであり,それについての意見や考察は,次の「考察」の中で記述する.
4.考察
- 自身の観察結果にもとづいた意見や考察を簡潔に論述する.論述する過程で,他の文献で報告された事実を引用する必要がある場合は,自身の観察結果と明確に区別して引用する.たとえば,Dareka氏の論文を引用する場合には,次のような書き方がある.
Dareka(1998)は,宮島の植物は本土の植物と比較して小形であると述べている. 宮島の植物は本土の植物と比較して小形になるとの研究報告がある(Dareka 1998).
- ここで,Dareka (1998)や(Dareka 1998)を文章中に明確に記述することが重要である.もし,Dareka(1998)や(Dareka 1998)を記述しない場合は,論文の盗作ということになってしまう.
- 本文中で文献を引用する場合は,著者の姓とその文献の発行年(西暦)で表記する.著者が2名の場合は,山田・田中(1997)とか,Yamada & Tanaka(1997)のように表記する.著者が3名以上の場合は,最初の著者名のみを記し,山田他(1995)とかYamada et al. (1995)のように表記する[et al.はラテン語et alii(その他の者)の省略形].
- 本文中にDareka (1998)や(Dareka 1998)と引用した文献については,次の「引用文献」中に正確に表記する.
5.引用文献
- 引用文献とは,本文で引用した文献名のことである.けっして本文を記述するうえで参考にした文献(参考文献)ではない.本文中にDareka(1998)とか(Dareka 1998)と表記した文献のみを,以下の書き方にならって正確に記述する.本文中に表記していない文献は表記することはない.
単行本の場合: 著者名.発行年.タイトル.ページ数.出版社,出版社所在地名.
(例) 伊藤秀三.1994.島の植物誌.246 pp.講談社,東京. 広木昭三(編).2002.里山の生態学.333 pp.名古屋大学出版会,名古屋. 植田邦彦.2002.東海丘陵要素の起源と進化.広木昭三(編),里山の生態学,p. 42-57.名古屋大学出版会,名古屋. ポーラ ルダル(著),鈴木三男・田川裕美(訳).1997.植物解剖学入門.197 pp.八坂書房,東京.
- 著者名は氏名を表記,発行年は西暦表記する.ページ数は全体のページ数が200ある場合は200 pp.とし,その中から30~50ページのみを引用する場合は,p. 30-50のように表記する.出版社所在地名は,本の表紙などに書いてある出版社の住所を見て,その都市名を表記する.
- 著者名中の(編)はその本の編集者名であることを示し,(訳)は訳者名,(著)は著者名を示す.編集者が特定されていない場合は(著)は省略する.
- 著者名が3名以上の場合は,本文中では~他や~et al.と省略したが,引用文献を表記する場合は,全員の氏名を記す.
雑誌の場合: 著者名.発行年.タイトル.雑誌名,巻号,ページ.
(例) 黒田有寿茂・池田誠慈・向井誠二・豊原源太郎.2001.宮島におけるコシダ(Dicranopteris linearis)とウラジロ(Gleichenia japonica)の分布様式とそれら2種の森林群落へ及ぼす影響.Hikobia 13: 387-396.
- 上の例では,Hikobiaという雑誌の13巻の387-396ページにある黒田らの論文を表記している.
- くりかえしていうが,(1)文献を引用すること,(2)引用した文献名を本文中に明記すること,(3)本文中に明記した文献を引用文献中に正確に表記すること,の3点は非常に重要である.引用文献を見れば,レポートの著者がどれくらい勉強しているのか,どれくらい問題を解明できたのかなど,ある程度推定することができる.
参考になるサイト
- 飯野朋美・大原悦子(津田塾大学ライティングセンター) https://twc.tsuda.ac.jp/system/upload/file/report(pdf).pdf
- Hikobiaの投稿規定(Contribution rule)
参考文献
- 和田秀樹. 2013. 自分の考えを「5分でまとめ」「3分で伝える」技術. 190 pp. KADOKAWA, 東京.
- 河野哲也. 2018. レポート・論文の書き方入門, 第4版. 121 pp. 慶應義塾大学出版会, 東京.