東広島キャンパスから出土した遺物/山中池南遺跡第1地点

提供: 広島大学デジタル博物館
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縄文時代

縄文土器

縄文土器は1号・2号住居跡周辺で集中的に出土しています。土器の外面全体に縦方向の縄文を施しており、それらの大半は目が粗いものです。口縁部外面に口縁に沿う形でやや幅の広い沈線文を数条引き、内面にも縦方向の縄文を施すものや口縁端部に刻みを施すものが多数認められます。口縁は平らなものを基本としていますが、波状の口縁(写真左列下段)も認められます。器形は深鉢形を基本としていますが、口縁部が内湾し郷部がくびれるような曲線的なものが目立ちます。これらの土器は縄文時代中期前葉(約5000年前)に位置づけられるものと思われます。

縄文時代の出土石器

縄文時代の石器は、縄文土器と同様に、調査区南部の1号・2号住居跡周辺にもっとも集中して分布していましたが、調査区中央部や炉跡・土坑が分布する調査区北部にもある程度のまとまりが観察されました。 出土の石器は、石鏃(せきぞく)、石錐(いしきり)、楔形石器(くさびがたせっき)、石匙(いしさじ)などが認められます。石鏃(写真上2段)は基部に抉りをもつもの(凹基式、無茎鏃)と三角形状の基部を作り出すもの(凸基式、有茎鏃)がありますが、後者(写真は2段目右端)は1点のみで、この地域では珍しい形式です。基部に抉りをもつものは抉りの深いものと浅いものがあり、前者が主体ですが、後者も一定量が認められます。石錐(上から3段目左端)は錐部を2ヶ所作り出しています。楔形石器(上から3段目中央・左)は使用のため折れています。石匙(最下段)は横型で、内1点はつまみ部を2ヶ所にもつ珍しい形態です。利用の石材はほとんど安山岩(あんざんがん)ですが、水晶、黒曜石(大分県姫島産)がわずかに認められます。1時期の石器の組み合わせがわかる貴重な資料です。

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