「東広島キャンパスの生き物」の版間の差分

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*2021.06.13-18 東広島キャンパスでは[[ゲンジボタル_広島大学東広島キャンパス|ゲンジボタル]]が舞っています.主に小川や渓流を生息地とし,日本産ホタルの中でも大型種で光もよく目立ちます.かつてはキャンパス内の湿地で[[ヘイケボタル_広島大学東広島キャンパス|ヘイケボタル]]も多く見られましたが,[[アメリカザリガニ]]の侵入などとともに激減し,現在では数年に一度目撃されるのみになってしまいました.これらの2種に加え,キャンパス内では[[オオマドボタル_広島大学東広島キャンパス|オオマドボタル]]と[[オバボタル_広島大学東広島キャンパス|オバボタル]],[[ムネクリイロボタル_広島大学東広島キャンパス|ムネクリイロボタル]]の計5種が確認されています.後3種は昼行性で,強く発光することはありません.ここでは[[オオマドボタル_広島大学東広島キャンパス|オオマドボタル]]を除いた4種の写真を掲載します.
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ファイル: 20210615ゲンジボタル成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219143s.jpg|250px|thumb|right|発光するゲンジボタルの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=ゲンジボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210616ヘイケボタル成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219197s.jpg|250px|thumb|right|ヘイケボタルの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 16, 2021)|link=ヘイケボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618オバボタル成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220130s.jpg|250px|thumb|right|オバボタルの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=オバボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210601ムネクリイロボタル成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_215645s.jpg|250px|thumb|right|ムネクリイロボタルの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 1, 2021)|link=ムネクリイロボタル_広島大学東広島キャンパス
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*[[アラカシ]]や[[アベマキ]]などのブナ科から染み出す樹液に多くのクワガタムシが集まるようになりました.[[スジクワガタ_広島大学東広島キャンパス|スジクワガタ]]と[[コクワガタ_広島大学東広島キャンパス|コクワガタ]]は同所的に見られ酷似していますが,[[スジクワガタ_広島大学東広島キャンパス|スジクワガタ]]の大型個体(オス)では大顎の内歯が二股に分かれて2本に見え,一方[[コクワガタ_広島大学東広島キャンパス|コクワガタ]]の大型個体(オス)では大顎の内歯が1本だけであることで識別できます.しかし,メスやオスの小型個体では当てはまらないため要注意です.[[ネブトクワガタ_広島大学東広島キャンパス|ネブトクワガタ]]は他の甲虫が集まらない樹種([[モミ]]や[[ケンポナシ]]など)に集まっていることが多いです.
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ファイル: 20210617スジクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219920s.jpg|250px|thumb|right|スジクワガタの成虫(オス).内歯は二股に分かれ,斧のような形状.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=スジクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210601コクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_216222s.jpg|250px|thumb|right|コクワガタの成虫(オス).内歯は1本のみ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 1, 2021)|link=コクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210602ネブトクワガタ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_217391s.jpg|250px|thumb|right|ネブトクワガタの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 2, 2021)|link=ネブトクワガタ_広島大学東広島キャンパス
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*個性的な甲虫たちです.[[アカガネサルハムシ_広島大学東広島キャンパス|アカガネサルハムシ]]はヤマトタマムシのような赤と緑の金属光沢が美しいハムシで,主に[[ノブドウ]]の周囲で観察されます.[[ゴマダラオトシブミ_広島大学東広島キャンパス|ゴマダラオトシブミ]]は揺り籠(葉で巻いた産室)を切り落とさないタイプのオトシブミで,ブナ科植物(主に[[クリ]])の葉上で見られます.[[キノコゴミムシ_広島大学東広島キャンパス|キノコゴミムシ]]は[[アベマキ]]の樹液や硬質菌([[カワラタケ_広島大学東広島キャンパス|カワラタケ]]など)で覆われた枯れ木などに見られるゴミムシで,[[ヨツボシケシキスイ_広島大学東広島キャンパス|ヨツボシケシキスイ]]や[[ミヤマオビオオキノコムシ_広島大学東広島キャンパス|オオキノコムシ類]]に似た斑紋を有します.
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ファイル: 20210615アカガネサルハムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218752s.jpg |250px|thumb|right|アカガネサルハムシの成虫.[[ノブドウ]]に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=アカガネサルハムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210615ゴマダラオトシブミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218890s.jpg|250px|thumb|right|ゴマダラオトシブミの成虫.主に[[クリ]]の葉を食べる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=ゴマダラオトシブミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618キノコゴミムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220214s.jpg |250px|thumb|right|キノコゴミムシの成虫.[[ミヤマオビオオキノコムシ_広島大学東広島キャンパス|オオキノコムシ類]]に似る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=キノコゴミムシ_広島大学東広島キャンパス
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*梅雨期はイラガ科の蛾をよく見かけます.多くの種で幼虫がデンキムシと呼ばれる有毒の派手なケムシですが,成虫は無毒です.[[ヒロヘリアオイラガ_広島大学東広島キャンパス|ヒロヘリアオイラガ]],[[クロシタアオイラガ_広島大学東広島キャンパス|クロシタアオイラガ]],[[アオイラガ_広島大学東広島キャンパス|アオイラガ]]などのアオイラガ類は緑と褐色を基調としており,やや同定が難しいグループです.
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ファイル: 20210616イラガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219205s.jpg|250px|thumb|right|イラガの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 16, 2021)|link=イラガ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210615ヒロヘリアオイラガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218992s.jpg|250px|thumb|right|ヒロヘリアオイラガの成虫.[[アオイラガ_広島大学東広島キャンパス|アオイラガ]]に似るが,前翅外縁の褐色部は一様に色が濃い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 15, 2021)|link=ヒロヘリアオイラガ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618クロシタアオイラガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220140s.jpg|250px|thumb|right|クロシタアオイラガの成虫.[[アオイラガ_広島大学東広島キャンパス|アオイラガ]]や[[ヒロヘリアオイラガ_広島大学東広島キャンパス|ヒロヘリアオイラガ]]に比べ小型(開翅長は30 mmに満たない).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=クロシタアオイラガ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210612ムラサキイラガ交尾_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_222903s.jpg|250px|thumb|right|交尾中のムラサキイラガ.翅と腹部が直角になるようなとまり方をする.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 12, 2021)|link=ムラサキイラガ_広島大学東広島キャンパス
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*葉が茂り見つけづらくはなりましたが,早朝や夕方には夏鳥の活発な姿が見られます.[[ホトトギス]]はオスは「テッペンカケタカ!」と聞きなしされる声でよく鳴いていますが,姿を観察するのはやや難しいです.[[コサメビタキ]]は秋の渡り期まではキャンパス内で見ることができます.[[オオルリ]]は朝に[[ネズ]]の一番上にとまって囀る様子を観察することができました.
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ファイル: 20210611ホトトギスメス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_222526s.jpg |250px|thumb|right|ホトトギス(メス).「ピピピピピ!」と尻上がりに鳴く.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=ホトトギス
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ファイル: 20210611コサメビタキ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_221551s.jpg|250px|thumb|right|コサメビタキ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=コサメビタキ
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ファイル: 20210618オオルリオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220344s.jpg|250px|thumb|right|囀るオオルリ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=オオルリ
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*初夏の間にしか鳴き声を聞くことができないバッタ類の紹介をします.[[ナキイナゴ_広島大学東広島キャンパス|ナキイナゴ]]は[[ススキ]]などが茂る丘陵の草地に多く,オスは日中脚と翅をこすり合わせて「ジキジキジキ...」と鳴きます.[[キンヒバリ_広島大学東広島キャンパス|キンヒバリ]]は[[生態実験園]]や[[ふれあいビオトープ]]の湿地に多く,主に夜間「リッリッリッリーー」と高い声で鳴きます.[[コガタコオロギ_広島大学東広島キャンパス|コガタコオロギ]]は空き地や荒地の物陰で「ビー!!」と鳴き,意識すると夜の広大通りやブールバールでよく鳴いているのがわかります.
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ファイル: 20210617ナキイナゴ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219731s.jpg |250px|thumb|right|ナキイナゴの成虫(オス).メスより黄色く,翅が長い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=ナキイナゴ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210615キンヒバリ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219067s.jpg|250px|thumb|right|葉の裏から身を乗り出して鳴くキンヒバリの成虫(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 20, 2021)|link=キンヒバリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210618コガタコオロギ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影IMG_220049s.jpg |250px|thumb|right|求愛するコガタコオロギ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 18, 2021)|link=コガタコオロギ_広島大学東広島キャンパス
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*ハエの仲間です.[[シオヤアブ_広島大学東広島キャンパス|シオヤアブ]]は飛翔する昆虫を奇襲するムシヒキアブの一種で,[[エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|エサキモンキツノカメムシ]]を捕食していました.[[ハチモドキハナアブ_広島大学東広島キャンパス|ハチモドキハナアブ]]はドロバチやトックリバチにベイツ型擬態しているハナアブで,[[アベマキ]]の樹液に集まります.[[イシハラクロチョウバエ_広島大学東広島キャンパス|イシハラクロチョウバエ]]は林縁部で見られるチョウバエで,葉の上でクルクルとせわしなく動き回ります.
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ファイル: 20210617シオヤアブ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219687s.jpg|250px|thumb|right|シオヤアブの成虫(オス).[[エサキモンキツノカメムシ_広島大学東広島キャンパス|エサキモンキツノカメムシ]]を捕食している.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=シオヤアブ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210611ハチモドキハナアブ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_222180s.jpg|250px|thumb|right|ハチモドキハナアブの成虫.樹液に集まる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=ハチモドキハナアブ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210617イシハラクロチョウバエ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219976s.jpg |250px|thumb|right|イシハラクロチョウバエの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 17, 2021)|link=イシハラクロチョウバエ_広島大学東広島キャンパス
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*6月の上旬~中旬にかけては,[[アカシジミ_広島大学東広島キャンパス|アカシジミ]]や[[ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス|ウラナミアカシジミ]]など樹上性のシジミチョウであるゼフィルスを観察することができました.夕方になると活性が高まり,[[コナラ]]や[[アベマキ]]の周囲を飛翔する姿が見られます.[[ゴイシシジミ_広島大学東広島キャンパス|ゴイシシジミ]]は成虫がササ類につくアブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)の分泌液を吸うため,ササの茂る環境で観察されます.
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ファイル: 20210611アカシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_221909s.jpg |250px|thumb|right|アカシジミの成虫.午前中は不活発.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 11, 2021)|link=アカシジミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ウラナミアカシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220485s2.jpg|250px|thumb|right|ウラナミアカシジミの成虫.萌芽更新が盛んな[[コナラ]]や[[アベマキ]]の周囲に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ウラナミアカシジミ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ゴイシシジミ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220062s.jpg |250px|thumb|right|ゴイシシジミの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ゴイシシジミ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.06.5-06.12 キャンパス内で見られるコマチグモ科3種の紹介です.[[カバキコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|カバキコマチグモ]]は在来種のクモの中でも強い毒をもつとされ,不用意に掴むと咬まれる恐れがあるので,観察の際には要注意です.本種は[[ススキ]]が繁茂する草地で見られることが多いですが,後2種は樹上性です.[[アシナガコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|アシナガコマチグモ]]は雌雄ともに足が長く,夜になると樹上を活発に動きます.[[ヤサコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|ヤサコマチグモ]]は前2種に比べると小型のコマチグモで,メスでは脚が短いです.本種も夜に樹上を徘徊しています.
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ファイル: 20210609カバキコマチグモ幼体_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219899s.jpg|250px|thumb|right|カバキコマチグモの幼体.幼体は体色が青い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=カバキコマチグモ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210606アシナガコマチグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219079s.jpg|250px|thumb|right|アシナガコマチグモの成体(メス).上顎が発達している.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 6, 2021)|link=アシナガコマチグモ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ヤサコマチグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_229970s.jpg|250px|thumb|right|ヤサコマチグモの成体(メス).[[アシナガコマチグモ_広島大学東広島キャンパス|アシナガコマチグモ]]に比べて小型で脚が短い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ヤサコマチグモ_広島大学東広島キャンパス
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*田植えが終わった[[生態実験園]]の水田では、[[ケラ_広島大学東広島キャンパス|ケラ]]が泳ぐ姿を観察することができました.基本地中に生息している本種ですが,水面を滑るように泳ぐこともできます.[[ケラ_広島大学東広島キャンパス|ケラ]]の多い湿地には[[ミイデラゴミムシ_広島大学東広島キャンパス|ミイデラゴミムシ]]も多く見られます.つままれたりすると,腹部の先端から高温のガスを噴射しますがその音が「プーッ!!」とおならのような音であることから「へっぴり虫」と呼ばれてきました.
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ファイル: 20210605ケラ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218588s.jpg|200px|thumb|right|田んぼで泳ぐケラの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 5, 2021)|link=ケラ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210605ミイデラゴミムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218639s.jpg|200px|thumb|right|ミイデラゴミムシの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 5, 2021)|link=ミイデラゴミムシ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ミイデラゴミムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219900s.jpg|200px|thumb|right|ミイデラゴミムシの成虫.死んだミミズを食べている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ミイデラゴミムシ_広島大学東広島キャンパス
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*梅雨時期に見られる蛾を紹介します.[[シンジュサン_広島大学東広島キャンパス|シンジュサン]]はヤママユ科の大型種で,夜に外灯の周りをゆったりと飛翔する姿が見られます.翅には4つの三日月状斑があるのが特徴です.[[アケビコノハ_広島大学東広島キャンパス|アケビコノハ]]は年に数回成虫が出現します.この時期は[[ビロードイチゴ]]などのキイチゴ類の汁を吸うようです.[[ゴマケンモン_広島大学東広島キャンパス|ゴマケンモン]]は地衣類のような模様が特徴で,[[ケンモンミドリキリガ_広島大学東広島キャンパス|ケンモンミドリキリガ]]に似ていますが,本種は梅雨時期にのみ現れ,[[ケンモンミドリキリガ_広島大学東広島キャンパス|ケンモンミドリキリガ]]は晩秋にのみ現れます.
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ファイル: 20210604シンジュサン成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_217982s.jpg|200px|thumb|right|シンジュサンの成虫(メス).メスは翅の形が丸みを帯びる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 4, 2021)|link=シンジュサン_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210606アケビコノハ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_219210s.jpg|200px|thumb|right|[[ビロードイチゴ]]の汁を吸うアケビコノハの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 6, 2021)|link=アケビコノハ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210609ゴマケンモン成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_220543s.jpg|200px|thumb|right|ゴマケンモンの成虫.地衣類のような模様をしている.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 9, 2021)|link=ゴマケンモン_広島大学東広島キャンパス
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*2021.05.24-06.07 [[発見の小径]]では[[ハルゼミ_広島大学東広島キャンパス|ハルゼミ]]がさかんに鳴いています.本種は幼虫成虫ともに[[アカマツ|マツ類]]への依存が強く,基本的にマツ林でしか見られません.また,小径で[[ニホンアナグマ]]を観察することができました.視力がよくないためか撮影者の近くまで寄ってきましたが,シャッター音に驚いて逃げていきました.湿地では[[トノサマガエル]]が鳴いている様子も見られます.
 
*2021.05.24-06.07 [[発見の小径]]では[[ハルゼミ_広島大学東広島キャンパス|ハルゼミ]]がさかんに鳴いています.本種は幼虫成虫ともに[[アカマツ|マツ類]]への依存が強く,基本的にマツ林でしか見られません.また,小径で[[ニホンアナグマ]]を観察することができました.視力がよくないためか撮影者の近くまで寄ってきましたが,シャッター音に驚いて逃げていきました.湿地では[[トノサマガエル]]が鳴いている様子も見られます.
  
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小川で[[キイロサナエ_広島大学東広島キャンパス|キイロサナエ]]が発見されました.砂泥が堆積した緩やかな川に生息します.同属で類似種の[[ヤマサナエ_広島大学東広島キャンパス|ヤマサナエ]]との識別はオスではやや難しいですが,胸のL字斑の形の違いや,尾端付属器の長さの違いなどを総合的に判断して識別します.同じ川では[[グンバイトンボ_広島大学東広島キャンパス|グンバイトンボ]]の産卵も観察することができました.
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*小川で[[キイロサナエ_広島大学東広島キャンパス|キイロサナエ]]が発見されました.砂泥が堆積した緩やかな川に生息します.同属で類似種の[[ヤマサナエ_広島大学東広島キャンパス|ヤマサナエ]]との識別はオスではやや難しいですが,胸のL字斑の形の違いや,尾端付属器の長さの違いなどを総合的に判断して識別します.同じ川では[[グンバイトンボ_広島大学東広島キャンパス|グンバイトンボ]]の産卵も観察することができました.
  
 
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ファイル: 20210526キイロサナエ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_213412s.jpg|200px|thumb|right|キイロサナエの成虫(オス).翅胸前面のL字斑は細く,下方で太くならない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 26, 2021)
 
ファイル: 20210526キイロサナエ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_213412s.jpg|200px|thumb|right|キイロサナエの成虫(オス).翅胸前面のL字斑は細く,下方で太くならない.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 26, 2021)
ファイル: 20210531ヤマサナエ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_215130s.jpg|200px|thumb|right|ヤマサナエの成虫(オス).翅胸前面のL字斑は下方で太くなる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 31, 2021)
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ファイル: 20210531ヤマサナエ成虫オス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_215130s2.jpg|200px|thumb|right|ヤマサナエの成虫(オス).翅胸前面のL字斑は下方で太くなる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 31, 2021)
 
ファイル: 20210528グンバイトンボ産卵_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_214528s.jpg|200px|thumb|right|グンバイトンボの産卵.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 28, 2021)
 
ファイル: 20210528グンバイトンボ産卵_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_214528s.jpg|200px|thumb|right|グンバイトンボの産卵.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 28, 2021)
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*[[ベニボタル_広島大学東広島キャンパス|ベニボタル]]がキャンパスでよく見られる季節になりました.本種は体内に毒をもっているとされ,赤紫色の翅で天敵にアピールしています.そしてこの甲虫にベイツ型擬態(害のある虫に自らの姿を似せる擬態)をしている昆虫がキャンパスでも多く見られます.[[ベニカミキリ_広島大学東広島キャンパス|ベニカミキリ]]は花によく集まるカミキリムシで,幼虫は枯れた竹材を食べます.[[セグロベニトゲアシガ_広島大学東広島キャンパス|セグロベニトゲアシガ]]は蛾でありながら甲虫の[[ベニボタル_広島大学東広島キャンパス|ベニボタル]]によく似ており,幼虫はササ類につくアブラムシを食べます.すでに出現時期が終わりましたが,[[アカハネムシ_広島大学東広島キャンパス|アカハネムシ]]も[[ベニボタル_広島大学東広島キャンパス|ベニボタル]]に似た色と姿形をしています.
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ファイル: 20210605ベニボタル交尾_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_218237s.jpg|200px|thumb|right|交尾中のベニボタル.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 5, 2021)|link=ベニボタル_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210526セグロベニトゲアシガ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_213167s.jpg|200px|thumb|right|セグロベニトゲアシガの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 26, 2021)
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ファイル: 20210519ベニカミキリ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_210396s.jpg|200px|thumb|right|ベニカミキリの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 19, 2021)
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ファイル: 20210412アカハネムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_201795s.jpg|200px|thumb|right|アカハネムシの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Apr. 12, 2021)
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*タマムシ類の紹介です.[[アオマダラタマムシ_広島大学東広島キャンパス|アオマダラタマムシ]]は,[[サクラ]]や[[ソヨゴ]]などの伐採木に集まり,山中池で多く見られます.[[ヒラタチビタマムシ_広島大学東広島キャンパス|ヒラタチビタマムシ]],[[クズノチビタマムシ_広島大学東広島キャンパス|クズノチビタマムシ]]は小型のタマムシで,前者は[[ナガバモミジイチゴ]]や[[ビロードイチゴ]]などのキイチゴ類を食草とし,後者は[[クズ]]を食草とします.
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ファイル: 20210531アオマダラタマムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_215154s.jpg|200px|thumb|right|アオマダラタマムシの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 31, 2021)
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ファイル: 20210602ヒラタチビタマムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_217338s.jpg|200px|thumb|right|ヒラタチビタマムシの成虫.[[ナガバモミジイチゴ]]や[[ビロードイチゴ]]に多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 2, 2021)
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ファイル: 20210525クズノチビタマムシ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_212266s.jpg|200px|thumb|right|クズノチビタマムシの成虫.[[クズ]]の葉に見られる.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 25, 2021)
 
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===5月===
 
===5月===
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*2012.05.25-28 初夏のキャンパスで見られる大型のコガネグモ科です.[[チュウガタコガネグモ_広島大学東広島キャンパス|チュウガタコガネグモ]]は他のコガネグモ類と腹部の模様が異なり,黄色い帯が途切れて斑紋状になっています.夜には[[オニグモ_広島大学東広島キャンパス|オニグモ]]と[[ヤマオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ヤマオニグモ]]が網を張ります.両種ともに生息環境や形態が似ていますが,[[ヤマオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ヤマオニグモ]]は腹部がやや細長く,前方の小白斑が目立ちます.
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ファイル: 20210525チュウガタコガネグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_212311s.jpg|200px|thumb|right|チュウガタコガネグモの成体(メス).初夏の湿地などに網を張る.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 25, 2021)|link=チュウガタコガネグモ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210528オニグモメス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_214058s.jpg|200px|thumb|right|オニグモ(メス).腹部が赤褐色の個体.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 28, 2021)|link=オニグモ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210601ヤマオニグモ成体メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_216260s.jpg|250px|thumb|right|ヤマオニグモの成体(メス).腹部の前方に白斑がある.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 1, 2021)|link=ヤマオニグモ_広島大学東広島キャンパス
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*森林性のゴキブリを紹介します.[[モリチャバネゴキブリ_広島大学東広島キャンパス|モリチャバネゴキブリ]]は小規模な森林でも個体数が多く,成虫は胸部に一対の黒斑があり,幼虫は体に黄色い縁取りがあるのが特徴です.主に初夏の[[ふれあいビオトープ]]で植物の葉の上で観察されるのは[[ヒメクロゴキブリ_広島大学東広島キャンパス|ヒメクロゴキブリ]]であることが多いです.翅脈が白い個体と全体的に黒い個体がいます.夜間樹液などに集まっている大型のゴキブリは[[ヤマトゴキブリ_広島大学東広島キャンパス|ヤマトゴキブリ]]です.オスは翅が長く一般的なゴキブリのイメージに近い姿をしていますが,メスは翅が腹部の半分ほどの長さしかありません.
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ファイル: 20210601モリチャバネゴキブリ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_216099s.jpg|250px|thumb|right|モリチャバネゴキブリの成虫.森林のゴキブリでは最も見る機会が多い.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Jun. 1, 2021))|link=モリチャバネゴキブリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210527ヒメクロゴキブリ成虫_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_213750s.jpg|250px|thumb|right|ヒメクロゴキブリの成虫.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 27, 2021)|link=ヒメクロゴキブリ_広島大学東広島キャンパス
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ファイル: 20210531ヤマトゴキブリ成虫メス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_215601s.jpg|250px|thumb|right|ヤマトゴキブリの成虫(メス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 31, 2021)|link=ヤマトゴキブリ_広島大学東広島キャンパス
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*2021.05.22 今年は例年より早い梅雨入りとなりました.多くの昆虫で出現時期が早まっており,[[カブトムシ_広島大学東広島キャンパス|カブトムシ]]が[[アラカシ]]の樹液に飛来していました.[[ヒラタクワガタ_広島大学東広島キャンパス|ヒラタクワガタ]]や[[コクワガタ_広島大学東広島キャンパス|コクワガタ]]は初夏からでも観察できます.[[オオスズメバチ_広島大学東広島キャンパス|オオスズメバチ]]や[[シロスジトモエ_広島大学東広島キャンパス|シロスジトモエ]],[[ヨツボシケシキスイ_広島大学東広島キャンパス|ヨツボシケシキスイ]]の姿もありました.
 
*2021.05.22 今年は例年より早い梅雨入りとなりました.多くの昆虫で出現時期が早まっており,[[カブトムシ_広島大学東広島キャンパス|カブトムシ]]が[[アラカシ]]の樹液に飛来していました.[[ヒラタクワガタ_広島大学東広島キャンパス|ヒラタクワガタ]]や[[コクワガタ_広島大学東広島キャンパス|コクワガタ]]は初夏からでも観察できます.[[オオスズメバチ_広島大学東広島キャンパス|オオスズメバチ]]や[[シロスジトモエ_広島大学東広島キャンパス|シロスジトモエ]],[[ヨツボシケシキスイ_広島大学東広島キャンパス|ヨツボシケシキスイ]]の姿もありました.
  
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雨が続いているのでキノコや陸生貝類が観察しやすくなっています.[[セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス|セトウチマイマイ]]と[[コベソマイマイ_広島大学東広島キャンパス|コベソマイマイ]]はキャンパスで広く見られますが,大型種の[[イズモマイマイ_広島大学東広島キャンパス|イズモマイマイ]]は生息地が非常に限られています.[[ヤマナメクジ_広島大学東広島キャンパス|ヤマナメクジ]]はかなりの大型種で,キノコを食べている姿を観察できます.[[コツチグリ_広島大学東広島キャンパス|コツチグリ]]や[[スジオチバタケ_広島大学東広島キャンパス|スジオチバタケ]]は林縁部で観察できました.
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*雨が続いているのでキノコや陸生貝類が観察しやすくなっています.[[セトウチマイマイ_広島大学東広島キャンパス|セトウチマイマイ]]と[[コベソマイマイ_広島大学東広島キャンパス|コベソマイマイ]]はキャンパスで広く見られますが,大型種の[[イズモマイマイ_広島大学東広島キャンパス|イズモマイマイ]]は生息地が非常に限られています.[[ヤマナメクジ_広島大学東広島キャンパス|ヤマナメクジ]]はかなりの大型種で,キノコを食べている姿を観察できます.[[コツチグリ_広島大学東広島キャンパス|コツチグリ]]や[[スジオチバタケ_広島大学東広島キャンパス|スジオチバタケ]]は林縁部で観察できました.
  
 
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スズメガ科の蛾です.[[ウンモンスズメ_広島大学東広島キャンパス|ウンモンスズメ]]は[[アキニレ]]や[[ケヤキ]]を食草とし,緑色の斑紋と桃色の後翅が美しい昆虫です.[[コウチスズメ_広島大学東広島キャンパス|コウチスズメ]]は[[スノキ]]を食草とし,後翅の眼状紋が特徴です.[[ホソバスズメ_広島大学東広島キャンパス|ホソバスズメ]]は[[ヌルデ]]を食草とし,黄褐色で細長い体をしています.
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*スズメガ科の蛾です.[[ウンモンスズメ_広島大学東広島キャンパス|ウンモンスズメ]]は[[アキニレ]]や[[ケヤキ]]を食草とし,緑色の斑紋と桃色の後翅が美しい昆虫です.[[コウチスズメ_広島大学東広島キャンパス|コウチスズメ]]は[[スノキ]]を食草とし,後翅の眼状紋が特徴です.[[ホソバスズメ_広島大学東広島キャンパス|ホソバスズメ]]は[[ヌルデ]]を食草とし,黄褐色で細長い体をしています.
  
 
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昆虫以外の節足動物です.[[サワガニ]]や[[マメザトウムシ_広島大学東広島キャンパス|マメザトウムシ]]は冷涼湿潤な沢沿いに多く見られます.[[サワガニ]]は体色の変異が見られます.[[トビズムカデ_広島大学東広島キャンパス|トビズムカデ]]は森や草地など様々な環境に見られ,建物の周辺でもよく出現します.
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*昆虫以外の節足動物です.[[サワガニ]]や[[マメザトウムシ_広島大学東広島キャンパス|マメザトウムシ]]は冷涼湿潤な沢沿いに多く見られます.[[サワガニ]]は体色の変異が見られます.[[トビズムカデ_広島大学東広島キャンパス|トビズムカデ]]は森や草地など様々な環境に見られ,建物の周辺でもよく出現します.
  
 
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クモには甲殻類の名を冠した種やグループが存在します.その一部を紹介します.[[ワカバグモ_広島大学東広島キャンパス|ワカバグモ]]はカニグモ科のクモで,体が扁平で第1歩脚と第2歩脚が長いその姿はたしかに蟹を彷彿とさせるものがあります.[[キンイロエビグモ_広島大学東広島キャンパス|キンイロエビグモ]]はエビグモ科に属し,カニグモに比べやや縦長な印象です.[[ヤドカリグモ_広島大学東広島キャンパス|ヤドカリグモ]]はエビグモ科ヤドカリグモ属に属しますが,外見にヤドカリの要素はほとんどありません.これらに加え,キャンパスではエビグモ科シャコグモ属に分類される[[シャコグモ_広島大学東広島キャンパス|シャコグモ]]も生息します.
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*クモには甲殻類の名を冠した種やグループが存在します.その一部を紹介します.[[ワカバグモ_広島大学東広島キャンパス|ワカバグモ]]はカニグモ科のクモで,体が扁平で第1歩脚と第2歩脚が長いその姿はたしかに蟹を彷彿とさせるものがあります.[[キンイロエビグモ_広島大学東広島キャンパス|キンイロエビグモ]]はエビグモ科に属し,カニグモに比べやや縦長な印象です.[[ヤドカリグモ_広島大学東広島キャンパス|ヤドカリグモ]]はエビグモ科ヤドカリグモ属に属しますが,外見にヤドカリの要素はほとんどありません.これらに加え,キャンパスではエビグモ科シャコグモ属に分類される[[シャコグモ_広島大学東広島キャンパス|シャコグモ]]も生息します.
  
 
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===4月===
 
===4月===
キャンパスで見られた夏鳥や,春を告げる鳥たちです.[[サンショウクイ]]は1月に紹介した留鳥リュウキュウサンショウクイとの識別が困難ですが,鳴き声が異なり,サンショウクイのほうがより声に抑揚があります.[[キビタキ]]や[[クロツグミ]]も代表的な夏鳥で,前者はキャンパスでもしばしば鳴き声を聞きます.そのほか[[センダイムシクイ]]や[[エゾムシクイ]]などのムシクイ類や[[ヤブサメ]]の鳴き声を聞くことができました.
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キャンパスで見られた夏鳥や,春を告げる鳥たちです.[[キビタキ]]や[[クロツグミ]]は代表的な夏鳥で,前者はキャンパスでもしばしば鳴き声を聞きます.そのほか[[センダイムシクイ]]や[[エゾムシクイ]]などのムシクイ類や[[ヤブサメ]]の鳴き声を聞くことができました.
 
[[キジ]]や[[ヒバリ]],[[セグロセキレイ]]は農耕地で見られます.
 
[[キジ]]や[[ヒバリ]],[[セグロセキレイ]]は農耕地で見られます.
  
 
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ファイル: 20210514サンショウクイ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_209454s.jpg|200px|thumb|right|サンショウクイ.「ピリリリ」と尻上がりに鳴く.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 14, 2021)
 
 
ファイル: 20210409キビタキオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_201085s.jpg|200px|thumb|right|キビタキ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Apr. 9, 2021)|link=キビタキ
 
ファイル: 20210409キビタキオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_201085s.jpg|200px|thumb|right|キビタキ(オス).(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Apr. 9, 2021)|link=キビタキ
 
ファイル: 20210423クロツグミオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_205697s.jpg|200px|thumb|right|クロツグミ(オス).[[ツグミ]]と行動を共にしていた.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Apr. 23, 2021)|link=クロツグミ
 
ファイル: 20210423クロツグミオス_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_205697s.jpg|200px|thumb|right|クロツグミ(オス).[[ツグミ]]と行動を共にしていた.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, Apr. 23, 2021)|link=クロツグミ
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ファイル: 20210514リュウキュウサンショウクイ_東広島市鏡山_南葉撮影_IMG_209454s.jpg|200px|thumb|right|リュウキュウサンショウクイ.(広島県東広島市鏡山; 撮影: 南葉錬志郎, May 14, 2021)
 
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95行目: 219行目:
 
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4月に観察されたトンボです.[[トラフトンボ_広島大学東広島キャンパス|トラフトンボ]]は今年キャンパスでの発生数が多く,山中池などでも観察できました.[[シオヤトンボ_広島大学東広島キャンパス|シオヤトンボ]]は例年通り[[ふれあいビオトープ]]や[[生態実験園]]で見られました.[[タベサナエ_広島大学東広島キャンパス|タベサナエ]]と[[フタスジサナエ_広島大学東広島キャンパス|フタスジサナエ]]は前者がアカデミック地区に多く,後者が山中池などのアカデミック地区から少し外れたため池で観察できます.[[ホソミオツネントンボ_広島大学東広島キャンパス|ホソミオツネントンボ]]は越冬明けの青い個体が多く見られ,[[アサヒナカワトンボ_広島大学東広島キャンパス|アサヒナカワトンボ]]は山中谷川で今年も発生しています.
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*4月に観察されたトンボです.[[トラフトンボ_広島大学東広島キャンパス|トラフトンボ]]は今年キャンパスでの発生数が多く,山中池などでも観察できました.[[シオヤトンボ_広島大学東広島キャンパス|シオヤトンボ]]は例年通り[[ふれあいビオトープ]]や[[生態実験園]]で見られました.[[タベサナエ_広島大学東広島キャンパス|タベサナエ]]と[[フタスジサナエ_広島大学東広島キャンパス|フタスジサナエ]]は前者がアカデミック地区に多く,後者が山中池などのアカデミック地区から少し外れたため池で観察できます.[[ホソミオツネントンボ_広島大学東広島キャンパス|ホソミオツネントンボ]]は越冬明けの青い個体が多く見られ,[[アサヒナカワトンボ_広島大学東広島キャンパス|アサヒナカワトンボ]]は山中谷川で今年も発生しています.
  
 
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108行目: 232行目:
 
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春を告げるクモを紹介します.[[アオオニグモ_広島大学東広島キャンパス|アオオニグモ]]は春の代表的なオニグモ類で,民家の庭などでも観察できる身近な種類です.[[ビジョオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ビジョオニグモ]]という類似種も存在しますが,本種は春から初夏にかけて成体が出現するのに対し,[[ビジョオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ビジョオニグモ]]は秋から初冬にかけて成体が見られます.[[サガオニグモ_広島大学東広島キャンパス|サガオニグモ]]はやや暗い森林に見られる縦長のオニグモで,[[ナガコガネグモ_広島大学東広島キャンパス|コガネグモ類]]に類似した「隠れ帯」という装飾を巣の中央につけます.[[ネコハエトリ_広島大学東広島キャンパス|ネコハエトリ]]も身近なハエトリグモの一種で,オスの成体は春だけ観察することができます.
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*春を告げるクモを紹介します.[[アオオニグモ_広島大学東広島キャンパス|アオオニグモ]]は春の代表的なオニグモ類で,民家の庭などでも観察できる身近な種類です.[[ビジョオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ビジョオニグモ]]という類似種も存在しますが,本種は春から初夏にかけて成体が出現するのに対し,[[ビジョオニグモ_広島大学東広島キャンパス|ビジョオニグモ]]は秋から初冬にかけて成体が見られます.[[サガオニグモ_広島大学東広島キャンパス|サガオニグモ]]はやや暗い森林に見られる縦長のオニグモで,[[ナガコガネグモ_広島大学東広島キャンパス|コガネグモ類]]に類似した「隠れ帯」という装飾を巣の中央につけます.[[ネコハエトリ_広島大学東広島キャンパス|ネコハエトリ]]も身近なハエトリグモの一種で,オスの成体は春だけ観察することができます.
  
 
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116行目: 240行目:
 
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マルハナバチや[[キムネクマバチ_広島大学東広島キャンパス|クマバチ]]は,春にフジやツツジの周りで簡単に観察することができます.羽音が大きく怖いという印象を持たれがちですが,むやみに触らなければ基本的に人に危害を加えることはありません.
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*マルハナバチや[[キムネクマバチ_広島大学東広島キャンパス|クマバチ]]は,春にフジやツツジの周りで簡単に観察することができます.羽音が大きく怖いという印象を持たれがちですが,むやみに触らなければ基本的に人に危害を加えることはありません.
  
 
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124行目: 248行目:
 
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マルハナバチと同様にハナムグリ類も花に集まっている様子が観察できます.身近な種として[[コアオハナムグリ_広島大学東広島キャンパス|コアオハナムグリ]],[[アオハナムグリ_広島大学東広島キャンパス|アオハナムグリ]],[[ナミハナムグリ_広島大学東広島キャンパス|ナミハナムグリ]]が生息し,いずれもよく似ていますが色彩や大きさ,毛深さなどから識別可能です.
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*マルハナバチと同様にハナムグリ類も花に集まっている様子が観察できます.身近な種として[[コアオハナムグリ_広島大学東広島キャンパス|コアオハナムグリ]],[[アオハナムグリ_広島大学東広島キャンパス|アオハナムグリ]],[[ナミハナムグリ_広島大学東広島キャンパス|ナミハナムグリ]]が生息し,いずれもよく似ていますが色彩や大きさ,毛深さなどから識別可能です.
  
 
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132行目: 256行目:
 
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シャクガ科の幼虫といえばいわゆる細長い「シャクトリムシ」がイメージされますが,中には大変奇妙な姿をしているものもいます.[[クロモンキリバエダシャク_広島大学東広島キャンパス|クロモンキリバエダシャク]]の幼虫は背面に二股に分かれた突起を持ちます.[[オカモトトゲエダシャク_広島大学東広島キャンパス|オカモトトゲエダシャク]]の幼虫はコブが多く,鳥の糞のような色の体をしています.[[クロスジアオシャク_広島大学東広島キャンパス|クロスジアオシャク]]はブナ科の若芽に似た突起の多い体をしています.
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*シャクガ科の幼虫といえばいわゆる細長い「シャクトリムシ」がイメージされますが,中には大変奇妙な姿をしているものもいます.[[クロモンキリバエダシャク_広島大学東広島キャンパス|クロモンキリバエダシャク]]の幼虫は背面に二股に分かれた突起を持ちます.[[オカモトトゲエダシャク_広島大学東広島キャンパス|オカモトトゲエダシャク]]の幼虫はコブが多く,鳥の糞のような色の体をしています.[[クロスジアオシャク_広島大学東広島キャンパス|クロスジアオシャク]]はブナ科の若芽に似た突起の多い体をしています.
  
 
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140行目: 264行目:
 
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青い翅が美しいチョウ目の昆虫です.[[アオスジアゲハ_広島大学東広島キャンパス|アオスジアゲハ]]は日中活発に飛翔し,様々な花の蜜を吸っていきます.[[オオミズアオ_広島大学東広島キャンパス|オオミズアオ]]と[[オナガミズアオ_広島大学東広島キャンパス|オナガミズアオ]]はやや識別の難しい大型蛾です.詳しい解説はそれぞれの個別ページをご覧ください.
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*青い翅が美しいチョウ目の昆虫です.[[アオスジアゲハ_広島大学東広島キャンパス|アオスジアゲハ]]は日中活発に飛翔し,様々な花の蜜を吸っていきます.[[オオミズアオ_広島大学東広島キャンパス|オオミズアオ]]と[[オナガミズアオ_広島大学東広島キャンパス|オナガミズアオ]]はやや識別の難しい大型蛾です.詳しい解説はそれぞれの個別ページをご覧ください.
  
 
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167行目: 291行目:
 
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夜間の湿地では孵化した[[ニホンアカガエル_広島大学東広島キャンパス|ニホンアカガエル]]の幼生を狙ってか,捕食者の[[アカハライモリ]]やアメリカザリガニが顔を出していました.
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*夜間の湿地では孵化した[[ニホンアカガエル_広島大学東広島キャンパス|ニホンアカガエル]]の幼生を狙ってか,捕食者の[[アカハライモリ]]やアメリカザリガニが顔を出していました.
  
 
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早春の蛾が出現しています.[[オカモトトゲエダシャク_広島大学東広島キャンパス|オカモトトゲエダシャク]]は静止時に翅を折り畳むのが特徴ですが,類似種のクワトゲエダシャクも同時期に出現するので同定には注意が必要です.[[トビモンオオエダシャク_広島大学東広島キャンパス|トビモンオオエダシャク]]は大型のシャクガで,2月-3月にかけて比較的多くの個体を観察することができます.[[シロトゲエダシャク_広島大学東広島キャンパス|シロトゲエダシャク]]はメスの翅が退化しているフユシャクガの一種です.
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*早春の蛾が出現しています.[[オカモトトゲエダシャク_広島大学東広島キャンパス|オカモトトゲエダシャク]]は静止時に翅を折り畳むのが特徴ですが,類似種のクワトゲエダシャクも同時期に出現するので同定には注意が必要です.[[トビモンオオエダシャク_広島大学東広島キャンパス|トビモンオオエダシャク]]は大型のシャクガで,2月-3月にかけて比較的多くの個体を観察することができます.[[シロトゲエダシャク_広島大学東広島キャンパス|シロトゲエダシャク]]はメスの翅が退化しているフユシャクガの一種です.
  
 
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今年の東広島キャンパスにおける飛来数の多かった冬鳥は,[[トラツグミ]],[[マヒワ]]でした.[[トラツグミ]]はやや薄暗い林縁の落ち葉溜まりや草地に降り立ち,ミミズや[[アオドウガネ_広島大学東広島キャンパス|アオドウガネ]]などのコガネムシ類の幼虫を捕食する様子が観察されます.[[マヒワ]]は「クチュクチュ・チュイーン」などと鳴きながら群れで飛翔し,[[ヤシャブシ]]の実を食べることが多いです.[[ベニマシコ]]は[[ヨモギ]]などが茂る草地で「フィッ・フィッ・ホッ」と鳴いています.
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*今年の東広島キャンパスにおける飛来数の多かった冬鳥は,[[トラツグミ]],[[マヒワ]]でした.[[トラツグミ]]はやや薄暗い林縁の落ち葉溜まりや草地に降り立ち,ミミズや[[アオドウガネ_広島大学東広島キャンパス|アオドウガネ]]などのコガネムシ類の幼虫を捕食する様子が観察されます.[[マヒワ]]は「クチュクチュ・チュイーン」などと鳴きながら群れで飛翔し,[[ヤシャブシ]]の実を食べることが多いです.[[ベニマシコ]]は[[ヨモギ]]などが茂る草地で「フィッ・フィッ・ホッ」と鳴いています.
  
 
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植物が密に茂っている藪の中には[[ミソサザイ]]が潜んでいることがあり,[[ウグイス]]に似た声で「チャッ・チャッ」と鳴きながら素早く動き回ります.[[ハイタカ]]はオスがメスより一回り小型で,樹間を敏捷に飛翔し,小鳥などを狩ります.[[ルリビタキ]]は[[ジョウビタキ]]に比べるとやや薄暗い林縁部などに多く,成熟したオスは美しい瑠璃色をしています.
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*植物が密に茂っている藪の中には[[ミソサザイ]]が潜んでいることがあり,[[ウグイス]]に似た声で「チャッ・チャッ」と鳴きながら素早く動き回ります.[[ハイタカ]]はオスがメスより一回り小型で,樹間を敏捷に飛翔し,小鳥などを狩ります.[[ルリビタキ]]は[[ジョウビタキ]]に比べるとやや薄暗い林縁部などに多く,成熟したオスは美しい瑠璃色をしています.
  
 
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留鳥や比較的観察しやすい冬鳥の一覧です.[[アオジ]]は薄暗い林縁や薮を好み,やや鋭い声で「チッ・チッ」と鳴きます.[[ジョウビタキ]]は開けた場所の枝や杭にとまり,尾を振りながら「ヒッ・ヒッ」と鳴きます.[[ヒヨドリ]]は畑や草地で野菜や野草を食べ,[[スズメ]]は群れで集まって棒にとまる様子が見られました.[[ハクセキレイ]]は雪が薄く積もった道を歩いていました.
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*留鳥や比較的観察しやすい冬鳥の一覧です.[[アオジ]]は薄暗い林縁や薮を好み,やや鋭い声で「チッ・チッ」と鳴きます.[[ジョウビタキ]]は開けた場所の枝や杭にとまり,尾を振りながら「ヒッ・ヒッ」と鳴きます.[[ヒヨドリ]]は畑や草地で野菜や野草を食べ,[[スズメ]]は群れで集まって棒にとまる様子が見られました.[[ハクセキレイ]]は雪が薄く積もった道を歩いていました.
  
 
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ががら山で[[サンショウクイ]]の亜種であるリュウキュウサンショウクイを観察することができました.近年分布を北に拡大しており,東広島市では冬鳥のようです.時折「リーーー!!」という鳴き声を発しながら飛翔します.[[トビ]]と[[ノスリ]]は生息環境が似ており見間違えやすい猛禽類ですが,前者は一回り大型で尾羽の先が直線的,かつ翼に一対の白斑があります.一方,後者は腹に茶色い帯があり,翼に一対の茶色い斑があります.
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*ががら山で[[サンショウクイ]]の亜種であるリュウキュウサンショウクイを観察することができました.近年分布を北に拡大しており,東広島市では冬鳥のようです.時折「リーーー!!」という鳴き声を発しながら飛翔します.[[トビ]]と[[ノスリ]]は生息環境が似ており見間違えやすい猛禽類ですが,前者は一回り大型で尾羽の先が直線的,かつ翼に一対の白斑があります.一方,後者は腹に茶色い帯があり,翼に一対の茶色い斑があります.
  
 
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1月30日に[[トモエガモ]]の目撃情報がありました.数羽の群れで入ってきたようです.[[ホシハジロ]]や[[ハシビロガモ]]も観察することができました.
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*1月30日に[[トモエガモ]]の目撃情報がありました.数羽の群れで入ってきたようです.[[ホシハジロ]]や[[ハシビロガモ]]も観察することができました.
  
 
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ががら山で[[コゲラ]]や[[ミヤマホオジロ]]などを観察することができました.各講義棟では[[イソヒヨドリ]]を見かけることがあります.
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*ががら山で[[コゲラ]]や[[ミヤマホオジロ]]などを観察することができました.各講義棟では[[イソヒヨドリ]]を見かけることがあります.
  
 
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常緑広葉樹の葉裏や広葉樹の小枝,冬芽には昆虫が越冬していたり,擬態していたりします.
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*常緑広葉樹の葉裏や広葉樹の小枝,冬芽には昆虫が越冬していたり,擬態していたりします.
  
 
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東広島キャンパスで[[トラツグミ]]を観察することができました.黒い鱗のような模様に覆われている大型のツグミですが,林床などではほとんど目立ちません.頭を動かさず体だけを揺する特徴的な動作を見せることもあります.[[シロハラ]]が越冬中の[[シュレーゲルアオガエル]]を捕らえる様子や,[[ハシブトガラス]]が[[ネズ]]にとまる様子を観察することができました.
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*東広島キャンパスで[[トラツグミ]]を観察することができました.黒い鱗のような模様に覆われている大型のツグミですが,林床などではほとんど目立ちません.頭を動かさず体だけを揺する特徴的な動作を見せることもあります.[[シロハラ]]が越冬中の[[シュレーゲルアオガエル]]を捕らえる様子や,[[ハシブトガラス]]が[[ネズ]]にとまる様子を観察することができました.
  
 
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[[ヤシャブシ]]や[[ハンノキ]]の木が多く生えている場所では[[マヒワ]]の群れを観察することができました。オスは頭頂が黒く,体の黄色みが強いのが特徴です.「クチュクチュクチュ・チュイーン」と鳴きます.[[セイタカアワダチソウ]]や[[ヨモギ]]の生える開けた草地では[[ベニマシコ]]を観察することができました.オスの成鳥は薄紅色をしています.「ピポ・ピポ」と鳴きます.[[エナガ]]はカラ類やメジロとしばしば混群を形成しており,学内でもよく見かけます.
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*[[ヤシャブシ]]や[[ハンノキ]]の木が多く生えている場所では[[マヒワ]]の群れを観察することができました。オスは頭頂が黒く,体の黄色みが強いのが特徴です.「クチュクチュクチュ・チュイーン」と鳴きます.[[セイタカアワダチソウ]]や[[ヨモギ]]の生える開けた草地では[[ベニマシコ]]を観察することができました.オスの成鳥は薄紅色をしています.「ピポ・ピポ」と鳴きます.[[エナガ]]はカラ類やメジロとしばしば混群を形成しており,学内でもよく見かけます.
  
 
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キャンパスで1月に見られた主な猛禽類です.[[ミサゴ]]は学内のため池の上空を飛んでいることが多いです.
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*キャンパスで1月に見られた主な猛禽類です.[[ミサゴ]]は学内のため池の上空を飛んでいることが多いです.
  
 
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2021年6月22日 (火) 12:11時点における版

広島大学 > デジタル自然史博物館 > メインページ > 広島大学の自然 > 東広島キャンパスの動物 > 東広島キャンパスの生き物

キャンパスで現在見られる動物の情報です.名前や写真をクリックすると解説ページに移動します(黄色く反転しているリンクは作成中のページです).

2021

6月

  • 2021.06.13-18 東広島キャンパスではゲンジボタルが舞っています.主に小川や渓流を生息地とし,日本産ホタルの中でも大型種で光もよく目立ちます.かつてはキャンパス内の湿地でヘイケボタルも多く見られましたが,アメリカザリガニの侵入などとともに激減し,現在では数年に一度目撃されるのみになってしまいました.これらの2種に加え,キャンパス内ではオオマドボタルオバボタルムネクリイロボタルの計5種が確認されています.後3種は昼行性で,強く発光することはありません.ここではオオマドボタルを除いた4種の写真を掲載します.
  • アラカシアベマキなどのブナ科から染み出す樹液に多くのクワガタムシが集まるようになりました.スジクワガタコクワガタは同所的に見られ酷似していますが,スジクワガタの大型個体(オス)では大顎の内歯が二股に分かれて2本に見え,一方コクワガタの大型個体(オス)では大顎の内歯が1本だけであることで識別できます.しかし,メスやオスの小型個体では当てはまらないため要注意です.ネブトクワガタは他の甲虫が集まらない樹種(モミケンポナシなど)に集まっていることが多いです.
  • 梅雨期はイラガ科の蛾をよく見かけます.多くの種で幼虫がデンキムシと呼ばれる有毒の派手なケムシですが,成虫は無毒です.ヒロヘリアオイラガクロシタアオイラガアオイラガなどのアオイラガ類は緑と褐色を基調としており,やや同定が難しいグループです.
  • 葉が茂り見つけづらくはなりましたが,早朝や夕方には夏鳥の活発な姿が見られます.ホトトギスはオスは「テッペンカケタカ!」と聞きなしされる声でよく鳴いていますが,姿を観察するのはやや難しいです.コサメビタキは秋の渡り期まではキャンパス内で見ることができます.オオルリは朝にネズの一番上にとまって囀る様子を観察することができました.
  • 初夏の間にしか鳴き声を聞くことができないバッタ類の紹介をします.ナキイナゴススキなどが茂る丘陵の草地に多く,オスは日中脚と翅をこすり合わせて「ジキジキジキ...」と鳴きます.キンヒバリ生態実験園ふれあいビオトープの湿地に多く,主に夜間「リッリッリッリーー」と高い声で鳴きます.コガタコオロギは空き地や荒地の物陰で「ビー!!」と鳴き,意識すると夜の広大通りやブールバールでよく鳴いているのがわかります.
  • 6月の上旬~中旬にかけては,アカシジミウラナミアカシジミなど樹上性のシジミチョウであるゼフィルスを観察することができました.夕方になると活性が高まり,コナラアベマキの周囲を飛翔する姿が見られます.ゴイシシジミは成虫がササ類につくアブラムシ(ササコナフキツノアブラムシ)の分泌液を吸うため,ササの茂る環境で観察されます.
  • 2021.06.5-06.12 キャンパス内で見られるコマチグモ科3種の紹介です.カバキコマチグモは在来種のクモの中でも強い毒をもつとされ,不用意に掴むと咬まれる恐れがあるので,観察の際には要注意です.本種はススキが繁茂する草地で見られることが多いですが,後2種は樹上性です.アシナガコマチグモは雌雄ともに足が長く,夜になると樹上を活発に動きます.ヤサコマチグモは前2種に比べると小型のコマチグモで,メスでは脚が短いです.本種も夜に樹上を徘徊しています.
  • 田植えが終わった生態実験園の水田では、ケラが泳ぐ姿を観察することができました.基本地中に生息している本種ですが,水面を滑るように泳ぐこともできます.ケラの多い湿地にはミイデラゴミムシも多く見られます.つままれたりすると,腹部の先端から高温のガスを噴射しますがその音が「プーッ!!」とおならのような音であることから「へっぴり虫」と呼ばれてきました.


  • 2021.05.24-06.07 発見の小径ではハルゼミがさかんに鳴いています.本種は幼虫成虫ともにマツ類への依存が強く,基本的にマツ林でしか見られません.また,小径でニホンアナグマを観察することができました.視力がよくないためか撮影者の近くまで寄ってきましたが,シャッター音に驚いて逃げていきました.湿地ではトノサマガエルが鳴いている様子も見られます.
  • 小川でキイロサナエが発見されました.砂泥が堆積した緩やかな川に生息します.同属で類似種のヤマサナエとの識別はオスではやや難しいですが,胸のL字斑の形の違いや,尾端付属器の長さの違いなどを総合的に判断して識別します.同じ川ではグンバイトンボの産卵も観察することができました.
  • ベニボタルがキャンパスでよく見られる季節になりました.本種は体内に毒をもっているとされ,赤紫色の翅で天敵にアピールしています.そしてこの甲虫にベイツ型擬態(害のある虫に自らの姿を似せる擬態)をしている昆虫がキャンパスでも多く見られます.ベニカミキリは花によく集まるカミキリムシで,幼虫は枯れた竹材を食べます.セグロベニトゲアシガは蛾でありながら甲虫のベニボタルによく似ており,幼虫はササ類につくアブラムシを食べます.すでに出現時期が終わりましたが,アカハネムシベニボタルに似た色と姿形をしています.

5月

  • 2012.05.25-28 初夏のキャンパスで見られる大型のコガネグモ科です.チュウガタコガネグモは他のコガネグモ類と腹部の模様が異なり,黄色い帯が途切れて斑紋状になっています.夜にはオニグモヤマオニグモが網を張ります.両種ともに生息環境や形態が似ていますが,ヤマオニグモは腹部がやや細長く,前方の小白斑が目立ちます.
  • 森林性のゴキブリを紹介します.モリチャバネゴキブリは小規模な森林でも個体数が多く,成虫は胸部に一対の黒斑があり,幼虫は体に黄色い縁取りがあるのが特徴です.主に初夏のふれあいビオトープで植物の葉の上で観察されるのはヒメクロゴキブリであることが多いです.翅脈が白い個体と全体的に黒い個体がいます.夜間樹液などに集まっている大型のゴキブリはヤマトゴキブリです.オスは翅が長く一般的なゴキブリのイメージに近い姿をしていますが,メスは翅が腹部の半分ほどの長さしかありません.


  • クモには甲殻類の名を冠した種やグループが存在します.その一部を紹介します.ワカバグモはカニグモ科のクモで,体が扁平で第1歩脚と第2歩脚が長いその姿はたしかに蟹を彷彿とさせるものがあります.キンイロエビグモはエビグモ科に属し,カニグモに比べやや縦長な印象です.ヤドカリグモはエビグモ科ヤドカリグモ属に属しますが,外見にヤドカリの要素はほとんどありません.これらに加え,キャンパスではエビグモ科シャコグモ属に分類されるシャコグモも生息します.

4月

キャンパスで見られた夏鳥や,春を告げる鳥たちです.キビタキクロツグミは代表的な夏鳥で,前者はキャンパスでもしばしば鳴き声を聞きます.そのほかセンダイムシクイエゾムシクイなどのムシクイ類やヤブサメの鳴き声を聞くことができました. キジヒバリセグロセキレイは農耕地で見られます.

  • 春を告げるクモを紹介します.アオオニグモは春の代表的なオニグモ類で,民家の庭などでも観察できる身近な種類です.ビジョオニグモという類似種も存在しますが,本種は春から初夏にかけて成体が出現するのに対し,ビジョオニグモは秋から初冬にかけて成体が見られます.サガオニグモはやや暗い森林に見られる縦長のオニグモで,コガネグモ類に類似した「隠れ帯」という装飾を巣の中央につけます.ネコハエトリも身近なハエトリグモの一種で,オスの成体は春だけ観察することができます.
  • マルハナバチやクマバチは,春にフジやツツジの周りで簡単に観察することができます.羽音が大きく怖いという印象を持たれがちですが,むやみに触らなければ基本的に人に危害を加えることはありません.
  • シャクガ科の幼虫といえばいわゆる細長い「シャクトリムシ」がイメージされますが,中には大変奇妙な姿をしているものもいます.クロモンキリバエダシャクの幼虫は背面に二股に分かれた突起を持ちます.オカモトトゲエダシャクの幼虫はコブが多く,鳥の糞のような色の体をしています.クロスジアオシャクはブナ科の若芽に似た突起の多い体をしています.
  • 青い翅が美しいチョウ目の昆虫です.アオスジアゲハは日中活発に飛翔し,様々な花の蜜を吸っていきます.オオミズアオオナガミズアオはやや識別の難しい大型蛾です.詳しい解説はそれぞれの個別ページをご覧ください.

3月

  • 2021.03.01-14 日中は気温が上がるようになってきました.春の陽射しを浴びて昆虫たちが活動を始めています.

ニホンカナヘビの姿を見ることができました.東広島キャンパスでの個体数は多く,素早く逃げていく様子をよく目にします. ニホントカゲと比べてほっそりとした光沢のない体つきと,長い尾が特徴です.

2月

  • 2021.02.13-28 上旬~中旬に産まれたニホンアカガエルの卵塊が孵化しています.現在湿地にはたくさんのオタマジャクシが泳いでいます.
  • 早春の蛾が出現しています.オカモトトゲエダシャクは静止時に翅を折り畳むのが特徴ですが,類似種のクワトゲエダシャクも同時期に出現するので同定には注意が必要です.トビモンオオエダシャクは大型のシャクガで,2月-3月にかけて比較的多くの個体を観察することができます.シロトゲエダシャクはメスの翅が退化しているフユシャクガの一種です.
  • 今年の東広島キャンパスにおける飛来数の多かった冬鳥は,トラツグミマヒワでした.トラツグミはやや薄暗い林縁の落ち葉溜まりや草地に降り立ち,ミミズやアオドウガネなどのコガネムシ類の幼虫を捕食する様子が観察されます.マヒワは「クチュクチュ・チュイーン」などと鳴きながら群れで飛翔し,ヤシャブシの実を食べることが多いです.ベニマシコヨモギなどが茂る草地で「フィッ・フィッ・ホッ」と鳴いています.
  • 植物が密に茂っている藪の中にはミソサザイが潜んでいることがあり,ウグイスに似た声で「チャッ・チャッ」と鳴きながら素早く動き回ります.ハイタカはオスがメスより一回り小型で,樹間を敏捷に飛翔し,小鳥などを狩ります.ルリビタキジョウビタキに比べるとやや薄暗い林縁部などに多く,成熟したオスは美しい瑠璃色をしています.
  • 留鳥や比較的観察しやすい冬鳥の一覧です.アオジは薄暗い林縁や薮を好み,やや鋭い声で「チッ・チッ」と鳴きます.ジョウビタキは開けた場所の枝や杭にとまり,尾を振りながら「ヒッ・ヒッ」と鳴きます.ヒヨドリは畑や草地で野菜や野草を食べ,スズメは群れで集まって棒にとまる様子が見られました.ハクセキレイは雪が薄く積もった道を歩いていました.
  • ががら山でサンショウクイの亜種であるリュウキュウサンショウクイを観察することができました.近年分布を北に拡大しており,東広島市では冬鳥のようです.時折「リーーー!!」という鳴き声を発しながら飛翔します.トビノスリは生息環境が似ており見間違えやすい猛禽類ですが,前者は一回り大型で尾羽の先が直線的,かつ翼に一対の白斑があります.一方,後者は腹に茶色い帯があり,翼に一対の茶色い斑があります.
  • 常緑広葉樹の葉裏や広葉樹の小枝,冬芽には昆虫が越冬していたり,擬態していたりします.

1月

アキサンショウウオは広島県と愛媛県にのみ分布する止水性のサンショウウオです.従来カスミサンショウウオとされていた種ですが,近年9種に再分類された内の一種です.(Matsui et al. 2019)

  • 東広島キャンパスでトラツグミを観察することができました.黒い鱗のような模様に覆われている大型のツグミですが,林床などではほとんど目立ちません.頭を動かさず体だけを揺する特徴的な動作を見せることもあります.シロハラが越冬中のシュレーゲルアオガエルを捕らえる様子や,ハシブトガラスネズにとまる様子を観察することができました.
  • ヤシャブシハンノキの木が多く生えている場所ではマヒワの群れを観察することができました。オスは頭頂が黒く,体の黄色みが強いのが特徴です.「クチュクチュクチュ・チュイーン」と鳴きます.セイタカアワダチソウヨモギの生える開けた草地ではベニマシコを観察することができました.オスの成鳥は薄紅色をしています.「ピポ・ピポ」と鳴きます.エナガはカラ類やメジロとしばしば混群を形成しており,学内でもよく見かけます.
  • キャンパスで1月に見られた主な猛禽類です.ミサゴは学内のため池の上空を飛んでいることが多いです.
  • 2021.01.01 あけましておめでとうございます.

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