「東広島キャンパスの遺跡/西ガガラ第2地点」の版間の差分

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 炭窯跡1基
 
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===旧石器時代の遺構・遺物分布状況===
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旧石器時代の遺構・遺物は、試掘調査の結果もあわせて考えると、丘陵平坦部のほぼ全域に分布していると推定されます。発掘調査区内では、石器ブロック5基が見つかっており、石器ブロックと重複あるいは近接して、土坑、集石などの遺構が位置しています。丘陵平坦部を中心として生活が営まれた様子がうかがえます。発掘調査区の南側には丘陵平坦部が広がっており、試掘調査区を実施しています。石器ブロック4基、土坑1基などが発見されています。出土石器の様相から、第1・2ブロックは後期旧石器時代前半、第3・4ブロックは後期旧石器時代後半に位置づけられます。
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===縄文時代の遺構・遺物分布状況===
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縄文時代の遺構・遺物は、発掘調査地区以外では確認されていませんが、地形から見ると試掘調査区にも広がっている可能性があります。発掘調査区ではほぼ全域に遺物が分布していますが、丘陵平坦部では炉跡が1基位置しているのみです。丘陵平坦部の北西側は埋没谷に接して平坦地形が広がっており、土坑5基が分布しています。雨天時には一部流路となることから生活地としては条件が悪く、遺物の分布もわずかです。土坑の性格は不明ですが、貯蔵穴が含まれている可能性があります。出土遺物は、石鏃、石錐など石器類を主体として、わずかに縄文土器が出土しました。

2021年2月4日 (木) 14:41時点における版

広島大学 > 広島大学デジタル博物館 > 文化財博物館 > 東広島キャンパスの遺跡 > 西ガガラ遺跡第2地点

第2地点は標高215~225mの丘陵平坦部(段丘面)を中心に立地し、旧地形が良好な形で残存しています。遺跡の北部を中心に発掘調査を実施しており、旧石器時代、縄文時代、中世(室町時代?)の遺構・遺物が多数発見されました。旧石器時代では、試掘調査を含めると3時期の遺構・遺物が見つかっていますが、発掘調査では丘陵平坦部を中心に後期旧石器時代の前半期の遺構・遺物が発見されました。縄文時代の遺構・遺物は調査区のほぼ全域に分布していますが、密集度はあまり高くありません。縄文時代早期中頃を中心とする時期のものと思われます。中世では炭窯跡1基が発見されたのみです。 第2地点で発見された遺構を試掘調査も含めてまとめると、次のようになります。

★旧石器時代

 石器ブロック9基、集石1基、土坑4基

★縄文時代

 土坑5基、炉跡1基

★中 世

 炭窯跡1基

旧石器時代の遺構・遺物分布状況

旧石器時代の遺構・遺物は、試掘調査の結果もあわせて考えると、丘陵平坦部のほぼ全域に分布していると推定されます。発掘調査区内では、石器ブロック5基が見つかっており、石器ブロックと重複あるいは近接して、土坑、集石などの遺構が位置しています。丘陵平坦部を中心として生活が営まれた様子がうかがえます。発掘調査区の南側には丘陵平坦部が広がっており、試掘調査区を実施しています。石器ブロック4基、土坑1基などが発見されています。出土石器の様相から、第1・2ブロックは後期旧石器時代前半、第3・4ブロックは後期旧石器時代後半に位置づけられます。

縄文時代の遺構・遺物分布状況

縄文時代の遺構・遺物は、発掘調査地区以外では確認されていませんが、地形から見ると試掘調査区にも広がっている可能性があります。発掘調査区ではほぼ全域に遺物が分布していますが、丘陵平坦部では炉跡が1基位置しているのみです。丘陵平坦部の北西側は埋没谷に接して平坦地形が広がっており、土坑5基が分布しています。雨天時には一部流路となることから生活地としては条件が悪く、遺物の分布もわずかです。土坑の性格は不明ですが、貯蔵穴が含まれている可能性があります。出土遺物は、石鏃、石錐など石器類を主体として、わずかに縄文土器が出土しました。