植物観察会/KansatsukaiPageMiniLetter443

提供: 広島大学デジタル博物館
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ヒコビアミニレターNo. 443(2015年6月10日)

第567回植物観察会は,2015年6月6-7日の日程で,長崎県長崎市脇岬町の長崎県亜熱帯植物園と長崎市岩屋町岩屋山で開催された.亜熱帯植物園は長崎市の南端に位置し,以前ヒコビア植物観察会の世話をされていた中西弘樹長崎大学名誉教授が名誉園長を担当されている.今回は,中西先生に現地の案内を頂いた.

6月6日.天気は晴れ.参加者11名.慣例に従い,現地である長崎県亜熱帯植物園集合とした.参加者の大半は長崎駅から同じ路線バスに乗車した.12時30分頃,植物園入口に到着.中西先生に挨拶をして,すぐに昼食.昼食後に中西先生から植物園の概略説明があり,その後園内を観察した.亜熱帯植物園は海を一望できる立地にあり,観察会当日も天草諸島や島原半島が見えた.また,気候が温暖であるため野外で生育する熱帯・亜熱帯植物が観察できる.

6月7日.くもり.参加者11名.路線バスや自家用車で移動して,岩屋神社駐車場に9時30分に集合した.


集合場所・時間:6月6日 長崎県亜熱帯植物園,13:30集合

公共交通機関:

6月6日 長崎県亜熱帯植物園までの行き方の例 広島新幹線さくら451号(鹿児島中央行)7:37発→新鳥栖9:10着 新鳥栖かもめ9号(長崎行)9:20発→長崎10:48着 長崎駅前南口バス停(植物園経由岬木場行)11:06発→亜熱帯植物園 12:22着 帰りは,亜熱帯植物園15:56→17:14長崎駅前着(予定) 次便は,亜熱帯植物園17:06→18:24長崎駅前着

6月7日 長崎駅前バス停(虹ヶ丘行)8:43発→虹ヶ丘中央9:09着(終点の1つ手前のバス停) バスの進行方向へ100 mほど行くと,左側に進む道がありそこを入る(妙薫寺の看板あり).その道をまっすぐ進み,妙薫寺に行かずコンクリートの坂道を10分ほど進むと岩屋神社の入り口に到着. 帰りは,虹ヶ丘中央 14:31発→長崎駅前東口14:58着(予定)



今回の観察会では,佐渡の自然とくに生態系の特徴を野外観察にもとづいて理解することをテーマとした.また,同じ島嶼環境である宮島との比較も行うこととした.新潟大学の佐渡ステーションは佐渡島の北部にあたる大佐渡の北部にある.両津港から北回りでも,南回りでもほぼ同じ距離の約54 kmに位置する.この施設は2012(平成24)年に文部科学省の教育関係共同利用拠点に認定され,全国の大学からの実習等を受け入れている.今回,植物観察会が広島大学大学院の演習となっていることから受け入れて頂いた. 6月2日

6月2日.天気は晴れときどきくもり.現地集合の原則に従い,各々思い思いのルートで佐渡島の両津港に16:15に集合.新潟大学の車2台に分乗して佐渡ステーションに向かう.現地周辺には商店がないため,途中のスーパーマーケットで必要品を各自購入.


集合場所の餅ノ木駐車場は広く,三段峡の上流部に手軽に入れる.晴天で,参加者42名,10時から歩き始めるが,明るい林縁部に開花中の植物が多く,渓谷に入るまでに30分以上かかってしまった.何か煙が出ているとの声に目を凝らすと,ヒメコウゾの雄花序から飛ぶ花粉,球形の雌花序には細毛が密生した細い花柱があり,風媒花の仕組みが良く解る.コバノガマズミツリバナサルトリイバラタチシオデコマユミが開花,ウリハダカエデマタタビは葉を展開しているが花はまだ.スギ林内に入るとコケイランの花ざかり,チャルメルソウは果実になっていた.渓谷に入ると,斜面下部に堆積した崩土上にヤグルマソウが目立ち,コイカリソウは果実,渓畔のトチノキリョウメンシダは定番.大きな葉を展開したウスゲクロモジの下にはムラサキマユミサワフタギは咲き始め,ハナイカダには雌花が多い,ヤマアジサイウリノキはつぼみ,エンレイソウは果実が膨らんでいる.ハスノハイチゴが特徴のある葉を広げ,もう少しで開花.足元にサワハコベタニギキョウの白い花,岩の上にオオイワカガミの新葉と淡紅色の花,ウスギヨウラクも咲いている.対岸の渓畔にキシツツジの花,岩上はヒメレンゲが満開で黄一色.路傍にはナツトウダイの奇妙な花と果実,ミズタビラコの花.葉が一枚で特徴のある仏炎苞を持ったオモゴウテンナンショウが点在,1939年に記載された珍種アキテンナンショウとして知られていたが,1932年記載の愛媛県面河渓産と同種であることが判明,異名となった.やや乾いた場所にはオトコヨウゾメヤブニンジンホガエリガヤの花,ミヤマニガイチゴコゴメウツギにつぼみが見られた.三段滝展望台への到着が12時を過ぎたので,ここで昼食,往路を引き返す.本日のコースは標高600—650 mで基本的にはウラジロガシ林の領域であるがイヌブナが多い,崩積地にはトチノキサワグルミ,岩石地にはケヤキが多い.また,多雪地に適応した変種のアシュウスギチャボガヤハイイヌツゲが多いことも特徴である.

(H. Tsubota, Moroishi, Y. Inoue & S. Uchida記)

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