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2016年12月7日 (水) 13:53時点における最新版
ヒコビアミニレター No. 463(2016年11月26日)
2016年11月20日の587回植物観察会は呉市阿賀の神田神社から休山に登るコースで行われた.JR安芸阿賀駅に10時集合.参加者41名.JR安芸阿賀駅から国道185号線沿いに西方に行き,休山トンネルの手前まで進むと神田神社がある.胸高直径60 cmを超えるコジイの大木や,50 cmのシリブカガシやアラカシ,エノキ,ムクノキなどの高木からなる社叢があり,ナナメノキやクロキ,ネズミモチ,サカキ,ヒサカキ,カナメモチ,カクレミノ,マサキ,ヤブツバキなどの常緑広葉樹に加えて南方系植物のカンザブロウノキやタイミンタチバナ,イヌガシ,ヤマビワのような希少種も見られることから神田神社の社叢は呉市の天然記念物に指定されている.特に,ヤマビワは珍しい植物であり,関先生の説明によると中国地方では山口県と広島県に稀に分布し,広島県では大竹市と倉橋島にわずかに見られるに過ぎないということであった.ヤマビワは,ビワという名がついているが,ビワの仲間ではなく,アワブキ科の植物である.ビワは丁度この時期に開花するが,ヤマビワは6月頃開花するとのことであった.休山に登る道沿いの植物は神田神社の社叢とは対照的であり,貧弱な植物相である.海抜高100 m付近までは急傾斜地に人家があり,100 mを超えると森林に入るが,段々畑の放棄地らしいところが続く.急傾斜地であるが畑の跡なので樹木の生長が良く,直径50 cmを超えるクスノキやシリブカガシ,アラカシ,アベマキ,コナラ,ナナメノキなどが見られる.海抜高300 m付近まで段々畑の放棄地が続くが,尾根筋に近づいてはげ山の跡らしいところが目立つようになり,砂防緑化樹のオオバヤシャブシが直径50 cmを超えるほどに大きくなっていた.植生は貧弱なものであるが,しかし,出現植物としては照葉樹林の植物が一通り見られる.アラカシやイズセンリョウ,イタビカズラ,カゴノキ,キヅタ,クスノキ,クロキ,クロガネモチ,コクラン,サカキ,ジャノヒゲ,シロダモ,テイカカズラ,ナワシログミ,ネズミモチ,ビナンカズラ,マンリョウ,ムベ,モチノキ,ヤブツバキ,ヤブニッケイなどが出現した.瀬戸内海沿岸部に良く見られるイヌビワやカクレミノ,マルバウツギ,タチシノブ,ツワブキ,ミツデウラボシなども出現した.倉橋島から東方の島嶼(降水量が少ない)ではあまり生育しないアセビやソヨゴ,リョウブが僅かながら出現した(イヌツゲは見なかった).アカマツやコバノミツバツツジ,ガンピ,コウヤボウキ,カマツカ,ネズ,ネジキ,シャシャンボ,コシダなどのアカマツ二次林の植物が出現するが,量的には少なく,一方,オオバヤシャブシやニセアカシア,ヤマモモなどの砂防緑化植物が豊富に見られ,はげ山が多かったことをしのばせる.
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